2011年6月23日 (木)

今日の英語:展開

「展開」という日本語も英語にしにくい。例えばITを駆使した新しいサービスを構築し、まず本店営業部で他店に先駆けて試験稼動させたとする。その後そのサービスを「全国展開」するといった場合に用いられる言葉だ。

「展開」を「deployment」と訳すと、まるで軍隊みたいで印象が悪い。「implementation」が最も無難な表現かと思う。これでも日本語のニュアンスとは違うような気がするけど、他によい訳語が見当たらない。

この表現を使えば「一次展開」は「preliminary implementation」、「二次展開」は「full implementation」というように、比較的しっくり訳せる。

あるいは、ちょっとひねって「一次展開」を「pilot projects」と訳しても良さそうだ。この表現は前後関係に注意しなければならないようだが。

また「今後の展開方法」は、もう一ひねりして「Further Steps and Actions」という感じか。

2011年6月 9日 (木)

今日の英語: 取り組み

「推進」と並んで英語に訳しにくい言葉が「取り組み」。これほどやっかいな日本語はあまり多くない。

平易で実態に即した訳語は♪「activities」ではなかろうか。「活動」という意味だが、現実の社会では真面目に取り組んでいるならば活動しているはずだから、まあ許容される訳だと思う。

また「重点的な取り組み」を♪「priority measures」と訳した例もある。これも実態と合致している点で受け入れてもらえそうだ。

「自主的な取り組み」を♪「autonomous efforts」というように「effort」という単語を使った例も見られる。努力ということで、これは日本語原文にイメージが近いかもしれない。

会社が経営方針を打ち出す資料では「全社的な取り組み」という言い方をすることが多い。これは♪「corporate initiatives」という訳例がある。

一方、「取り組み姿勢」となると♪「approaches」という違った方向の訳になってくる。どちらかと言うと、「姿勢」が前面に出ている感じがする。

「取り組み状況」は単に♪「progress」で済ませるのがかえって良い訳だと思う。progress of xxx でもいいのかもしれないが、前後関係によるだろう。

以上で6通りの訳し方を列挙した。とりあえずこれらの表現を使い回しすれば普通の文章を英訳するには困らないと思う。もっと他にもあると思うので、我こそと思う方はぜひご教示ください。

2011年3月 3日 (木)

今日の英語:阿吽(あうん)

久しぶりにこのテーマで記事を書いてみたくなった。きっかけは最近読んだ日本語の文献だ。

日本語原文: 阿吽(あうん)の呼吸で達成する
その英訳: Accomplish through implicit communication

この一節は、ビジネスを進める際、日本人は明確な言葉を交わさなくても互いに通じ合って事を成し遂げることができる、という事を欧米人に説明する目的で書かれたものだ。

上記の英訳はよく出来ていると思うし、それに対して私の下手な英語でとやかく言うことはできない。ただ私が懸念するのは、この英語を日本の実情について全く知らない外国人が読んで意味がわかるだろうか?という点である。まあでもこの文献は、日本についてある程度の知識を持つ欧米人を対象にしているから、実際には問題が起きないだろう。

それより気になるのは「implicit」という単語の持つイメージだ。「阿吽」という日本語を英語に訳すと「implicit」となり、それをまた日本語に訳し戻すと「黙示的」となる。すると直ちに連想するのが「黙示録」だ。デューラーの版画が眼に浮かんでくる。このように「訳し戻し」をすると興味深いことがいろいろ出てきて面白い。

「阿吽」というと、比較的軽い日常的コミュニケーションの雰囲気があるが、「黙示的」というと突然宗教的になり固くかつ重くなる。欧米人は上記の英語を読んでどのようなイメージを抱くのであろうか?考えてみると奥が深くて不思議だ。

2008年7月31日 (木)

今日の英語:ホッチキスの針

ホッチキスの針って英語で何て言うか?

ホッチキスは発明者の名前=会社名で、英語では「Stapler」だよね。それはそうと、その針は何て言うんだろう?

針だから「Needle」か?本当かなあ。何か怪しい。

子供の頃、ホッチキスをピストルに見立てて、ガチャガチャ針を飛ばして遊んでいた。(もったいない!)当時は針ではなく「たま」と呼んでいた。銃から打つ弾丸をイメージしていたんだね。じゃあ「Bullet」か?そりゃあ違うだろう。

使用目的から推してみよう。書類を綴じる物なのだが、糸は違うと思う。では「Wire」か?確かに針金みたいだけど、違うだろうなあ。

困ったのでMAX社の英語サイトを見た。そしたら何てことない。ホッチキス(Stapler)の針は「Staple」だった。なあんだ。

なお辞書を引いたらStapleには「主要産物」という別の意味もあった。金属を加工した製品だから、そういうのが得意な地域では本当に主要産物(製品)になりそうだ。この辺の奇妙な符合は面白い。

2006年12月20日 (水)

今日の英語:朝令暮改

職場で仕事上のドンデン返しがあったので「朝令暮改」を英語で何と言うか、というのが話題になった。しかし同僚からは「Morning decision, evening change」など、真面目くさった案しか出ず、あまり面白くなかった。 ウェブで調べてみたら、あるオンライン辞書には「chops and changes」とか「swings and roundabouts」と出ていた。別の辞書には「frequent change of regulations」と書いてあった。なるほど、そんな感じもするなあ。また「fickle/inconsistent」という単語での表現も紹介されていた。でも英語としてこなれているけど、朝と暮という原典の意味から離れすぎているし、やはり全然面白くない。両者の中間的な言い回しはないものだろうか。正月休みでボーっとしている時にでも考えてみるか。

2006年12月12日 (火)

「推進」:英訳しにくい言葉

日本語の書類を英語に訳す際、いつも訳語に困る言葉がある。その一つがこの「推進」。前後関係によって異なるけど、とりあえず置いておくのが「implementation」だ。日本語の本当の意味に近いと思う。そういえば昔は「推進」を「promotion」なんて訳していたなあ。でも、もっと的確な訳語はないものだろうか?誰か教えてください。

2006年12月 5日 (火)

今日の英語:朝飯前

今朝、出社するなり同僚が「朝飯前」を連発していた。英語で「a piece of cake」という事も含めて。面白いので辞書を調べたらいろいろな言い回しが見つかった。

This is a piece of cake.

It’s easy as pie. (または easy as apple pie

こういう表現はアメリカ人が言い出したんだろうな。お菓子が好きだから。

Duck soup

うーむ、これは飲むと重そうだがなあ。軽いのかなあ?

Like taking lunch for you.

お昼をおごるのは朝飯前にできないじゃないか、というのは屁理屈かな?

Cinch(馬の腹帯)

締める作業は大変そうだが、どうしてこれがたやすいのだろう?

As easy as kiss one’s thumb

As easy as kissing someone’s hand

そう簡単でもないぞ。かわいい女の子が相手だとあがってしまい、なかなかできないぞ。

Child’s play to me.

最近の子供の遊びは結構難しいぞ。ゲームなんかは。

Crip

これは cripple(手足の不自由な人)の短縮形らしいから差別用語になりそうだ。使わないほうが無難だろう。

Simple matter.

It’s easy as ABC.

It’s not a big deal. (またはIt’s no big deal.)

Very easy job.

うぅ、つまらない。この辺で止めよう。

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