美術アーカイブ:2001年(5) イスラエル美術の近代/現在
イスラエルの新しいアートを紹介する展覧会が2つの美術館で同時開催された。「第1部 イスラエル美術の近代」(神奈川県立近代美術館)および「第2部 イスラエル美術の現在」(埼玉県立近代美術館)だ。共通のテーマは「新千年紀へのメッセージ」。21世紀の初めを飾るタイムリーな企画だった。
「第1部 イスラエル美術の近代」は「近代」と括っているが、展示作品の制作年は1950年代から2001年にわたっており、実質的には現在アートと呼んでも差し支えない新しさだった。
小冊子の解説に「多くのバウハウスのデザインによる建築が残されていることに驚きを感じる」とある。私もイスラエルと聞いてまず思い浮かべるアートの姿があり、バウハウスの影響ということ自体に違和感をおぼえた。そういう意味で、ステレオタイプな物の考え方を是正するという意義があったと思う。
「第2部 イスラエル美術の現在」では、もはやアートに国境がないという事を体感できた。展示された作品は、前提知識なくいきなり観たら、どの国のアーティストによるものか判別できないであろう。ただしそれらの中で社会的メッセージが強い作品においては、やはり国民性、民族性、地域性という要因が頭をもたげてくるように感じられた。
2つの美術館に両方とも足を運ぶ時間があって良かった。
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