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2013年6月25日 (火)

美術アーカイブ:2000年(18) 四谷シモン-人形愛

「四谷シモン-人形愛: 時のない国で、永遠を生きている。」(小田急美術館:新宿)の回想。

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百貨店での展覧会は1970年代に勢いがあったように思う。その頃は西武百貨店を中心に、新しいアートシーンを楽しむ場としてデパートの企画が美術館や画廊と拮抗していた。それから四半世紀が経過すると、百貨店のアートイベントに陰りが見え始めてきた。

小田急百貨店としても時代の趨勢を読み、このままではジリ貧になるという危機感を抱いていたのではないだろうか。そして、これは推測だが、この四谷シモンの展覧会を現状打開の起爆剤として企画したのではないかと思った。

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四谷シモンの人形を好きかと聞かれて、素直にイエスと答える人は多くないと思う。表現のどぎつさに辟易し、異端の趣味に恐れをなすからだ。しかし四谷シモンの作品には、そのようなハンディを背負っていても、人を惹きつける魔力がある。そう、単なる力ではなく魔力だ。

この展覧会を企画した人も、四谷シモン作品のそのような「異端力」が集客につながると期待したに違いない。シモン・ドールは、間違えると評判を落としかねないリスクと共に多くの観客を集められるかもしれないという「両刃の剣」の効果に賭けたのであろう。

四谷シモンはハンス・ベルメールの人形作品に衝撃を受けて自分でも同じような人形を作り始めたと聞く。確かにベルメールの影響は色濃いが、ベルメールの作品が退廃的な女性的エロスを醸し出しているのに対し、四谷シモンの作品はより耽美的で両性具有的である。

この展覧会の隠れた貢献者として半券を挙げたい。

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半券のデザインも一目を引くが、その裏面に注目して戴きたい。

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半券の裏には、チラシ裏面に書かれた四谷シモンとその作品の簡単な紹介が、そのまま掲載されているのである。このような半券は非常に珍しい。もしかすると、周囲の反対を押し切って作ったのではないだろうか。このいきかたが多くの来場者に効果的であったかどうかわからないが、このような斬新な試みをした企画者に拍手を送りたい。

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