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2013年3月13日 (水)

実験工房展

 「実験工房展」(神奈川県立近代美術館・鎌倉および鎌倉別館)に行った。妻ジョアンナ(仮名)も一緒だった。

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「現代への扉」「戦後芸術を切り拓く」というキャッチコピーが添えられていたが、本当にその通りだと思った。「実験工房」の活動が無かったら、現代の私たちが享受しているアートの賑わいと広がりが、これほどのレベルに達していたかどうか疑わしい。

今回の展覧会で良かったのは、「実験工房」にかかわった主要アーティスト全員のバックグラウンドや作品を同一レベルで認識することが出来た点だ。これまでは、アーティストによって手持ちのデータに差異があり、馴染みの薄いアーティストについては満足な情報を得ていなかったのだ。

例えば、不謹慎な発想で恐縮だが、マドンナ的存在の福島秀子に関しては、その作品も、そして顔写真もほとんど観たことが無かった。今回の展覧会で、その「データの空白」を埋めることが出来て良かった。彼女はフランスの作曲家に例えれば「六人組」のタイユフェールと同じ立場だったのかなあと想いを巡らした。

そして驚いたのは福島秀子の上質な絵画作品。これまで彼女の作品はあまり目にすることが無かったので、他の作家に比べ力量が落ちるからだろうかと勘繰っていた。しかし今回の展覧会でいくつかの絵画作品を観たら、それは大きな間違えであったことがわかった。例えばチラシの裏面に掲載された「紅い風の反応」を見よ。

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福島秀子はこんなに素晴らしい絵画を描いていたのか。それならなぜ彼女の絵はあまり取り上げられないのだろうか?そこが不思議だ。

また「実験工房」で私が最も敬愛するアーティストである北代省三に関しても展示が充実していて嬉しかった。例えば「シーラカンス」はカルダーを見習ったものだと思うが、その美しさはご本家カルダー以上に見える。

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 私は2003年に開催された「風の模型―北代省三と実験工房」(川崎市岡本太郎美術館)を観ており、当然のことながらその個展のほうが北代の作品の展示ははるかに多かった。しかしそれから10年も経過しており、記憶も混濁してきた。そういう意味で、今回の展覧会で北代作品に関する頭の中のデータをリフレッシュできて良かった。

また山口勝弘も無視できない存在だ。「ヴィトリーヌ」のシリーズは、この現代においてもそのモダンな感覚は損なわれていないと思う。今回展示された「ヴィトリーヌNo.37」の美しいこと!

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音楽に関しては、武満徹などの自筆譜が展示されており、これも楽しかった。現在と異なり五線紙にインク書きの楽譜は見ていて味わいがある。またシェーンベルクのあの名曲「月に憑かれたピエロ」をきちんとした形で日本に紹介したのは「実験工房」が最初だったのだろう。

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なお妻ジョアンナ(仮名)は、「実験工房」のメンバー一人ひとりが相当な力量を備えているようだと言っていた。「実験工房」はただ単なる寄り集まりでなく、それなりの知識・経験の基盤をもって立ち上げられた集団活動だったという事を妻の言葉で再認識した。

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