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2013年3月29日 (金)

VOCA展2013

「VOCA展」(上野の森美術館)に行った。

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「現代美術の展望―新しい平面の作家たち」というキャッチフレーズは平板であまりにも説明的だが、名が正確に体を表しているから良いのかもしれない。

ベテランも参加できる「損保ジャパン美術賞展」は展示されたほとんどの作品が面白い。それに比べて40才以下という制約を設け、若手の作品だけを並べたこの展覧会は、正直なところ面白い作品が少ない。その中からピカっと光る新人と作品を見出すというのが趣旨なのであろうから、これは当然のことかもしれない。だから逆に新人発掘に注力している人にとっては、こんなに有意義な展覧会はないのかもしれない。

私としてはVOCA奨励賞を獲得した♪柴田麻衣の「Lakeside」が最も気に入った作品だ。

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黄金比を微妙に外した区切り方が新鮮だった。自然の風景を描いているようだし、風景がベースとなっているのかもしれないが、そこに幾何学的な構成の工夫を入れ込むことにより私のような抽象ファンにも受け入れられる具象画となったような感じだ。

佳作となった♪吉田晋之介の「雨」は大震災に終末のイメージを重ねあわせたような幻想画だ。

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もともとシュールが大好きだった私はこういう絵に惹かれてしまう。もしこの作品に震災復興というメッセージが託されているなら、面白い・楽しいを前面に出すのは不謹慎になるかもしれない。しかし面白いのは事実だ。災害によってバラバラになった器物類の山と、SF的な堅牢な白い四角の輪が同居し、対立しながらもよく調和している。

VOCA賞を獲得した♪鈴木紗也香の「あの日の眠りは確かに熱を帯びていた」も幻想的で面白かった。

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私のような構成至上主義者が言うのも変だが、作家は構成に気を砕きすぎたのではないかと思った。熱を帯びた夢なら、もっと均衡を無視した滅茶苦茶な配列のほうがそれらしいからだ。しかし、相矛盾するようだが、この作品は好きだ。理由はわからないが、作家の力量に裏打ちされているのだろう。

大原美術館賞を獲得した♪佐藤 翠の「Reflections of a closet」はクロゼットの中だけを描くというアイデアが目立つ作品だ。

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そのアイデアも優れていると思うが、このような狭い世界を描いて広がりある画面を産み出したのは作家の技量なのだろう。インパクトある作品だった。

以上のように、「損保ジャパン美術賞展」に比べると楽しんだ時間は短かったが、楽しめる作品にいくつか出会ったのが収穫だった。

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