« 創作日記:怒りの日―7 | トップページ | 美術アーカイブ:2000年(1) 猪熊弦一郎展 »

2013年2月12日 (火)

半券の復権12:東京海上フィル定期演奏会

「東京海上フィルハーモニックオーケストラ<TEMPO>第20回定期演奏会」(Bunkamura オーチャードホール)に行った。画廊主に誘われるという珍しいケースだった。

Img

演奏も上手だったのだが、プログラムも素晴らしかった。何よりも良かったのは演奏メンバの舞台配置を紹介したことだ。しかも楽器のイラスト付きなので理解しやすく、楽しい。さらにこの図は今回演奏したすべての曲ごとに別々に作られていたのだ。こんなプログラムは初めて見た。

Img_2

またメンバー紹介のページでは、今回ステージに乗る機会の無かったメンバーも含め、所属も記述することによって充実度を高めている。さらにスタッフ陣の紹介にも手厚い。裏方でがんばった人達を称える意味でも、このようにきちんとした記述は歓迎されると思う。

プログラムと同時に感心したのはチケットである。私はひところ「チラシらしさ」と「半券の復権」というシリーズで記事をよく書いていた。「半券の復権」とは、大きなチラシに対し、ただそのデザインを踏襲するのではなく、小さいスペースなりに独自のデザインを主張するような半券を紹介するシリーズだ。

ところが最近これらのシリーズはご無沙汰気味で、前回「半券の復権」を書いたのは2009年の9月に遡る。おおよそ3年半もの間、遠ざかっていたわけだ。今回東京海上フィルの半券を見て、これは「半券の復権」の記事を書かねば、と思った。その理由は・・・まずは半券そのものを見て戴きたい:

Img_0001

上に紹介したプログラム表紙(モスクワの赤の広場のイラスト)と全く異なるデザインが施されている。まず第一に色調が赤と緑という補色関係だ。そしてプログラムは3番目に演奏したチャイコフスキーの祖国をイメージしている。それに対して半券はシューベルトで対抗している。

なぜシューベルトかと言うと、半券に印刷された譜面は「未完成」の第3楽章のスケッチの一部だからだ。シューベルトは総譜とピアノ用スケッチで第3楽章の楽譜の冒頭部分を遺している。この半券に印刷された譜面は、ピアノ用スケッチの途中の部分だが、デザイン的にも半券によく調和している。

プログラムが良くて、チケットが良くて、演奏も良かったから三拍子揃っている。そういえば「未完成」は第1楽章、第2楽章、途中まで書かれた第3楽章のすべてが3拍子だったなあ。

« 創作日記:怒りの日―7 | トップページ | 美術アーカイブ:2000年(1) 猪熊弦一郎展 »

コメント

吉丸さん経由で松岡さんにチケットをお渡ししましたVn岡本と申します。
今回はご来場いただきありがとうございました!
チラシとチケットをデザインした者が、「まさかチケットの楽譜の意味に気がつく方がいるとは」と驚き喜んでおりました。
またお褒めいただきありがとうございます。団を代表して御礼申し上げます。

岡本さん、コメントありがとうございました。また素晴らしい演奏にも感謝いたします。

未完成の第3楽章は昔から持っていた音楽之友社刊・小型スコアに載っていたので記憶があったのです。このスコア、昭和40年(1965年)発行で値段はなんと160円!

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/163862/49362313

この記事へのトラックバック一覧です: 半券の復権12:東京海上フィル定期演奏会:

« 創作日記:怒りの日―7 | トップページ | 美術アーカイブ:2000年(1) 猪熊弦一郎展 »

最近のトラックバック