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2013年1月27日 (日)

美術アーカイブ:1999年(5)現代日本絵画の展望展

「現代日本絵画の展望展」(東京ステーションギャラリー)では抽象・具象などのスタイルの偏りがなく、様々なタイプの新しい絵画が集められていた。ほぼ同時代における絵画の広がりを俯瞰するには良い機会だった。

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その反面、悪い意味で「総華的」と解釈できなくもないが、まずは私のような一般的な鑑賞者に現代絵画の幾多のシーンを味わってもらうという趣旨が強いだろうから、この場合は前向きに良い評価をすべきだろう。

今から十数年前の展覧会だが、ここで紹介された中に現在知名度が高い作家が何人かいた。

♪内田あぐり
私の好きな画家の一人だ。展示された「吊るされた男’99」は、その後の内田あぐりの作品に見られる明瞭な線ではなく、不定的だが力強いタッチだった。アンフォルメル、あるいはフォーヴ的という感じだ。

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♪千住 博
いつの間にかスターになっていたようだが、この展覧会で既に「ウォーターフォール」(瀧)が展示されていた。瀑布の持つ力に霊性のようなものが加わった感じがする。すごい迫力だ。

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♪堂本右美
くっきりした直線主体の幾何学的構成(冷たい抽象)とグラデュエーションのかかった曲線(温かい抽象)が同居しているような作品「無題」が展示されていた。こういう作品は好きだなあ。

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上記の3人の他にも気鋭の作家が力作を披露していた。

♪佐藤 武
「都市の記憶」はとても印象深い作品だった。廃墟となった都市の上空に、かつての美しい姿をしていた都市の残像が漂っている。これは廃墟を擬人化し、自分自身がかつて美しく栄えていた時代の夢を見ているようにも解釈できそうだ。

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♪若月公平
「連鎖の森~1」も幻想的な作品だ。モノクロームでこれだけの表現を成し遂げてしまうのがすごいと思う。

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♪西久松吉雄
「鬼伝説の風景」は土俗的な手触り感と、洗練された構成感の両面を併せ持っている。そういう意味では、ブランクーシの彫刻作品のようだ。抑制の効いた色彩もまた素晴らしい。

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この展覧会は展示点数はさほど多くなかったが、インパクトのある作品が多く、楽しめた。

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