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2012年12月16日 (日)

美術アーカイブ:1999年(3)  ピカビア展

ピカビア展(伊勢丹美術館)の回想。

有名アーティストの中で、ピアビアほど捉えにくい画家はいない。生涯にわたり作品のスタイルをめまぐるしく変えたこともあるが、単にそれだけではない。例えばピカソはよく知られた通り「青の時代」、「キュビズムの時代」などスタイルを変遷させたが、それぞれのスタイルの特徴が顕著で、どのような作品かという事を明確に思い起こすことができる。これに対してピカビアは各「時代」の特質が明瞭でなく、はっきりしたイメージが掴めない。

例えば私の愛するキュビズムに傾倒した時も「キュビズムの時代」ではなく「フォーヴ・キュビズム・オルフィスムの時代」というように、様々な要素が混ざり合い、なかなかクリアーな姿を見せてくれない。そしてその後になると、「怪物の時代」、「透明の時代」など、通常の画家が辿る道とは全く異なる様相を呈してくる。

結局、ピカビアとはどんな画家かという課題に取り組んでも、混沌としたものがピカビアだという結論に行き着いてしまう。そしてそれを教えてくれたのがこの展覧会であり、充実した図録であった。

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そして図録には素晴らしい「オマケ」が付いていた。ピカビアがバルセロナを起点とする4都市で19冊刊行したダダの雑誌「391」全巻のコピーだ。この付録だけでもファン垂涎の古書的な価値があると思う。

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いい機会なのでピカビアの作風の変遷を、各時代に属する作品を観ながら辿ってみよう。紹介する作品は、今回この展覧会で展示された作品の中から選んだので、必ずしも代表作ではないことをお断りしておく。

♪印象派の時代(1902-1909)

私は印象派を好まないので、この時代は興味無し。

「ポワッシーの水辺」(1906-07)

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♪フォーヴ・キュビスム・オルフィスムの時代(1909-1914)

キュビズム好きの私としては興味が湧いたが、ピカソ、ブラックなどの精鋭と比べると、鋭さに欠ける。

「大西洋航路のエトワール」(1913)

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♪機械の時代(1915-1924)

この時代の作品は面白い。

「デ・ザヤス! デ・ザヤス!」(1915) 雑誌「291」より

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♪ダダの時代(1915-1924)

この時代も面白い。

「本日休演のプログラム」(1924)

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♪怪物の時代(1924-1927)

この時代の作品はどこがいいのかわからない。

「水浴びする女」(1925-26)

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♪透明の時代(1927-1932)

この時代の作品には若干惹かれるところがある。個性的だし、美しさもある。

「ルナー」(1929)

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♪模索の時代(1932-1939)

具象絵画を描いたり、抽象絵画を描いたりして模索した時代。

「オルガ」(1938)

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「抽象絵画」(1938-39)

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♪具象の時代(1940-1944)

モード雑誌に掲載された写真を元にポートレート的な絵を描いた時代。あまり良いと思わない。元の写真のほうが美しい。

「フレンチ・カンカン」(1942-43)

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上記作品の元となった写真「パリ・マガジン」66号(1937)

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♪抽象の時代(非具象の時代)(1945-1951)

私は抽象を好むが、ピカビアの抽象絵画にはどこか足りないものを感じる。

「包囲」(1950)

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私としては、「ダダの時代」と「機械の時代」の作品が一番面白いと思っている。その他の時代の作品は、どこか中途半端なところがあり、あまり興味がわかない。率直なところ、(ピカソなどの巨匠と比べ)技量が劣る分をアイデアで補っていた画家という感じがする。

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