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2012年12月 8日 (土)

美術アーカイブ:1999年(2) バロ展

「レメディオス・バロ展」(伊勢丹美術館)はシュール好みの私にとって大変面白い展覧会だった。

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「シュールレアリスムの夢と幻想」という副題が添えられていたが、これは「昔の武士の侍が、馬から落ちて落馬して」のような重複語ではないかと思う。さらに「バルセロナーパリーメキシコ 美しき亡命画家」というサブ副題が続いているのだが、これらの2つを合わせ「スペインーフランスーメキシコ 美しき亡命シュール画家」とすればすっきりするのではないかと思った。まあこのあたりは重箱の隅をつつくようなものだから、鉾を収めよう。展覧会は楽しんだのだから。

メキシコの女流シュール画家というと、真っ先にレオノーラ・キャリントンが頭に浮かぶ。フリーダ・カーロはもっと高名だが、私は彼女はシュール画家ではないと思っている。その議論はさておいて、この2人しか知らなかった時にバロの展覧会があるというので、興味深々で観に行ったのだ。

会場に入ったら、どの作品も面白い。これは楽しい展覧会に来たなと思った。半券に採用された「オリノコ河の水源の探究」(上記)は、バロの特長がよく表れた作品だと思う。

図録の表紙を飾った「行動する銀行家たち」も何とも言えない魅力が漂っている。ビジネスマンが魔女のように宙を舞い、仕事の遅れを取り戻そうとしているかのような光景は観ていて微笑ましい。

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「無重力現象」は空間の座標のずれを象徴するかのような壁の傾きが面白い。すっきりした楽しい作品だ。

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シュールの巨匠たちと比べ、バロには若干の欠点があると思う。それは次の2点だ:
♪画面が説明的すぎる。もっと暗示的な表現だと高級感が増す。
♪登場人物の顔がみな同じに見える。それがマンネリ感を生む。

以上のような弱点は見られるが、バロの作品は私たちを楽しませてくれた。細かい点でいろいろ批判はしたが、有意義な展覧会の企画に感謝したい。

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