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2012年10月18日 (木)

美術アーカイブ:1995年(3) ピーター・ヴォーコス展

「ピーター・ヴォーコス展」(セゾン美術館)展示・図録ともに充実した素晴らしい展覧会だった。この頃はデパート、特にセゾン美術館の力がまだ衰えていなかったことを象徴するかのようだ。

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この展覧会を観たのが1995年。「ドロップ・アウト」というストーンウェアなどが印象的だった。

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その後2004年には世田谷美術館で開催された「自由の国のオブジェと器 アメリカ現代陶芸の系譜」で再びヴォーコスの作品を観る。

そして2007年、亡き父の友人を訪ねてアメリカ旅行に行き、メトロポリタン美術館でヴォーコスの作品に出会う。「ヌードル(麺)」という作品だ。

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これは上に紹介した「ドロップ・アウト」と似た作品だ。形状といい、大きなサイズといい、兄弟のような作品に見える。ヴォーコスの得意とした一つのパターンなのだろう。

このように割れ目が入り、少し崩れたような作品を観ると、ヴォーコスはアヴァンギャルドな作品だけを作り、正統派の作品は苦手だったのではないかと勘繰りたくなる。しかし彼は「普通の」作品も作っているのだ。例えば「壺」と名付けられた作品を見よ。

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このような作品を観ると、ヴォーコスは「やろうと思えば」伝統的な陶芸作品も作る腕前を持っていたことがわかる。しかしそれに飽きたらず、またそれに甘んじることなく、ゲンダイアート的な作品も追求していったのだろう。そして「抽象表現主義陶磁器作家」と呼ばれるに至ったのだろう。

ヴォーコスの作品は様々な側面を見せる。例えば「陶板」を採り上げよう。

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この作品には何となく郷愁を誘うような雰囲気が漂う。そう、柳宗悦らが推進した民芸運動である。この作品を、バーナード・リーチ、あるいは河井寛次郎の作品だと紹介されたらそのまま信じてしまうだろう。ヴォーコスはアメリカで学び、東洋との接点があまり強いとはいえないにもかかわらず、このような東洋的な味を出すのが不思議である。

ヴォーコスの小品もいい味を出している。これは「アイス・バケット」と呼ばれる作品で、左がその立面。右は底面である。底に彫られた数字と文字が愛らしい。

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この充実した展覧会に足を運んでおいて本当に良かった。

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