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2012年10月22日 (月)

美術アーカイブ:1996年(2) 各務鑛三展

この年は仕事が大変忙しく、展覧会に行く暇もない程であった。その中で、「生誕100年記念 クリスタル・輝きへの祈り 各務鑛三展」(岐阜県美術館)は開催地が遠かったのだが、これだけは見逃せないということで出向いた。

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ガラス工芸作家で一番敬愛するのは各務鑛三展である。抽象構成を愛する私の眼には、クリスタルガラスによる純粋造形がとても好ましく映る。各務鑛三展はフォルムの作家だという記述をどこかで読んだことがあるが、私はフォルムより構成感を重んじたい。

(ちなみに各務鑛三の次に愛する作家は「馬上盃」を購入した吉田丈夫だ。構成感・バランス感という点で、各務鑛三と一味違うものがある。)

各務鑛三には「ガラスの生長」(中央公論美術出版)という著作があるが、これはガラス制作技術の歴史をベースとしたガラス工芸概論のような内容であり、作家の芸術観を語ったものではない。各務鑛三は自らの芸術に関しては寡黙な方に属すると思う。出来上がった作品で勝負するタイプの芸術家ではないかと考える。

芸術家と呼ばれる人々の中には自らは机上のデザインしかせず、制作は職人に任せるというタイプの人もいる。これに対して各務鑛三は自らの手でガラスの表面にグラヴィールを施していた。アーティストであると同時に自らが職人でもある。各務鑛三が学んだドイツのマイスターの制度や考えに通じるものがあると思う。

この展覧会に行っておいて本当に良かった。

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