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2012年10月23日 (火)

美術アーカイブ:1997年(1) ヴラマンク展

「生誕120年記念 ヴラマンク展」(Bunkamura ザ・ミュージアム)は大規模な展覧会だった。

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1996年の11月から翌1997年の5月までの半年をかけて、私が行った東京展(東急百貨店本店)のほか福島、島根、大阪の3カ所を巡回したのだ。図録も立派なものが作られた。

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私はクールな純粋抽象を愛するので、本来ならヴラマンクの描くような厚塗りの風景画は好きになれないはずだ。しかしヴラマンクは、その強烈な印象により、一目置かざるを得ない。内在する力を秘めている絵画というのは、具象・抽象などの内容にかかわらず、人を感動させるものなのだろう。

亡き母もヴラマンクが好きだった。そういうば母はルオーも好きだったな。どちらも厚塗りの油絵で、それが彼女の趣味だったのだろう。一方、母は素描を好むという一面もあり、ヴラマンクの作品も1枚買い求めていた(本物か贋作か未だにわからない)。いずれにせよ私はそこまで掘り下げた趣味は無い。素人っぽいが、ヴラマンクに関しては、単純に完成した油絵そのものを鑑賞したい。

チラシの裏面には展示作品のいくつかが紹介されている。

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私は冬景色が最もヴラマンクの良さが発揮される題材だと思っている。右上の「雪景色」のような作品のことだ。また独特の渋い色使いという点で左上の「村の街道」のようなものも捨てがたい魅力を持っている。

なお私はキュビズムに通じるセザンヌの作品が大好きだが、展示作品の中の「風景」はセザンヌの作品に似ていて好感が持てた。

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30代半ばの若い頃の作品である。これから先、ヴラマンクにはいくつかの選択肢があったと思うが、キュビズムの方向へは行かず、重厚で荒々しいタッチの風景画へと進んでいったわけだ。

出発点が近いところにあっても、一人一人の画家はそれぞれ自分の個性を求めてゆく。それが美術の多様性を促進し、鑑賞者に豊かな世界を提供してくれているのは嬉しい。

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コメント

突然、失礼します。以前よりこの日のページをお気に入りに入れておいて、たまに拝見しているものです。

私もヴラマンクさんが大好きで、この展覧会には行きました。その後は、新宿の安田火災のビルでしたか、そこでしか行われずにさびしい限りです。

林と雪景色の絵がたいそうお気に入りです。

また、やってくれないかしらん。

さな坊さん、コメントありがとうございました。

先日「成城さくらさくギュアラリー」でヴラマンクの雪の道を描いた作品を観ました。そのように断片的に観る機会はあるのですが、まとまった展覧会はなかなか無いですね。

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