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2012年8月28日 (火)

美術アーカイブ:1994年(5) マーグ・コレクション展

「マーグ・コレクション展」(横浜美術館)の回想を書いてみる。

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冒頭からいきなりマイナスの内容で恐縮だが、アートを愛好する友人たちの間で横浜美術館の企画はつまらないものが多いという評価が下されている。私は神奈川県在住なので地元の美術館を応援したい立場にあるから、そう言われると反抗して同美術館の良い点を探いしたくなる。

その中で「20世紀美術への眼差し- マーグ・コレクション展」(横浜美術館)は観て楽しい展覧会だったので対抗手段として採り上げたい。大規模な企画ではないが、横浜美術館が真剣に取り組んだ成果が出たのではないかと思う。

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一般に外国の美術館やコレクションに絞った展覧会の企画は、内容が総華的になるので自分の趣味にかなった展示は相対的に少ないというきらいがある。先日の「ベルリン国立美術館展」もリーメンシュナイダーに集中して観たが、全体を楽しんだわけではない。

しかしこのマーグ・コレクションの展覧会は予想に反して、かなりの部分を楽しんで鑑賞することができた。近代・現代アート好みの私の趣味とベクトルが合っていたこともあるが、さらに収集した作品が「観て面白いもの」に偏っていたことが私にとってプラスの要因だったかと思う。

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登場した作家については、この人知ってる、あの人も知ってる・・・というように既知の作家が多かった。しかし展示作品を観ると、これまで抱いていた一人一人の作家のステレオタイプな作品から離脱したものも多くあり面白かった。また、知らなかった作家とその作品に関しては、当然のことながら新鮮な喜びをもって鑑賞できた。

例えばチラシ表紙を飾った♪ヴァレリオ・アダミの「円柱」は作家も作品も知らなかったが、観る人を楽しくさせる作品だ。まずは鮮やかな赤と黄の色彩に目を奪われる。そして上部の手の描写を観てベン・シャーンみたいだな、と喜ぶ。途中で切れた円柱がそのまま天井に張り付いたまま落ちないところがポップ調で軽やかだ。

♪アルベルト・ジャコメッティというと細長い身体が定番だが、この「カップル」は異なる趣向で作られている。

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男女の表現が少しエルンスト的だ。もっともエルンストは「王妃とチェスをする王」で代表されるように男性が圧倒的に強大で女性が弱小の存在として表現されている。それに対してジャコメッティの場合は男女がほぼ同等に扱われ、ほのぼのとした雰囲気が漂っている。その後の針金のような身体で見せる緊張感が全く感じられないところが面白い。

♪フェルナン・レジェは黒々とした輪郭線に縁取られた人体像が主体だが、この「三角形の目のある顔」は、全く異なる様相を呈している。

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様々な顔を並べた作品といえば猪熊弦一郎の「顔」の連作が思い出される。このような遊び心をくすぐる作品は気分を良くしてくれる。

♪ジョアン・ミロの「モニュメントのためのプロジェクト」を見よ。

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これはまた何という大胆な作品であろうか。これは英雄を祭る戦勝記念碑をイメージし、それを皮肉って地味に仕上げた作品だと解説されている。いずれにせよ、このたたずまいからミロを想像するのは難しい。アーティストの様々な側面を知らされる作品だ。

このように、既知の作家の知らなかった側面に多数触れることができて楽しかった。このような展覧会をぜひ今後も続けて企画してもらいたい。

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