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2012年8月27日 (月)

上村松園と鏑木清方

「上村松園と鏑木清方」(平塚市美術館)に行った。

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私は日本画・西洋画とも人物画にはあまり興味が無い。しかしこの展覧会で観た二人の作品群には恐れ入った。どちらも突き抜けて達者であるばかりでなく、生涯を通じて真摯に何かを求める姿勢が感じられたからだ。

素人の感想になるが、清方の描く女性のほうが美しく見えた。この理由は明確だと思った。松園が伝統的な引目鉤鼻(ひきめかぎばな)あるいはそれに近い表現で描いたのに対し、清方は実際の女性の顔に近い描き方をしたからだろう。

しかしそれでは美人女優の写真を眺めたほうがもっと良いことになってしまう。松園や清方の描く美人画が持つ芸術としての価値は何であろうか。この問いに対する回答を明確に出せる人は相当な通だろう。

全体としては回答を見出せないが、個々の作品の印象から全体を類推することはできないだろうか。例えば松園の「花がたみ」に見られる狂女の表現は凄まじい。この作品は女性の外見だけでなく、異常心理まで描いていることになるだろう。

するとそれが回答あるいは回答の一部になるかもしれない。つまり美人画を芸術として鑑賞するには、外見に惑わされず、モデルの女性の内面まで描こうとした画家の意図を追体験することが必要である、という考えだ。

なお上村松園の「晩秋」はチラシ裏面の解説にもあった通り、色面構成の作品と言ってよいだろう。松園の作品は古風なものばかりだと思っていたが、このように新しい絵画の試みを取り入れていたのだ。松園の発想の柔軟性には驚かされる。

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コメント

鏑木清方の「築地明石町」は出てましたか?

原さん、いつもありがとうございます。
「築地明石町」は下絵だけ展示されていました。傑作の誉れ高い作品のようですね。「ゆるり」でゆるりと語りましょう。

大下絵は見たことあるんですが、もし本画が出てるなら見に行こうと思って・・・

原さん、通ですねえ。私なんかいい加減なもので、松園と清方の区別もできなかったんですから。

今回の展覧会を観て、その場で比べれば両者の違いがわかりました。しかし後日どちらかの作品を一つ見せられ、どっちだ?と聞かれて正しく答えられるかどうか、疑問です。

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