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2012年7月 1日 (日)

メールアート・プロジェクト “The Future”

「Mail Art Project “The Future”」(アトリエ・キリギリス:藤沢)に行った。

アーティストの中村恵一が世界中のアーティストに声をかけて集めたメールアートを紹介する企画だ。一つ一つの作品が面白く、またその数に圧倒された。

実はかなり前のことになるが、メールアートに似たものを味わっていたのだ。それは厳密にはメールアートとは呼べないかもしれないが、ニック・バントックが絵と文を書いたビジュアル小説「不思議な文通 グリフィンとサビーヌ」だ。

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この架空の文通の絵本を観て、その面白さ・楽しさにより、自分でもやってみたいと当時思ったものだ。しかしその本に載せられた作品の美しさに圧倒され、こんな素晴らしいものは自分では作れないと思い、そのままになっていたのだ。

今回の展覧会を観て、その思いは結果的には同じだった。つまり自分ではこれほど美しいものは作れないだろう、と。しかし最近考え方が少し変わり、下手なら下手なりに楽しんでもいいかな、とも思うようになった。

会場には展示作品とは別に、中村恵一の過去の作品のファイルが並べてあった。それらの中に「コラボレーション」という一冊があった。中村が絵と文を書いた葉書ぐらいの大きさの紙を相方のアーティストに郵送する。相方はその絵と文に自分なりの絵と文を描き加え、中村に返送する。そうする事により、二人のアーティストの合作が産まれるという仕掛けだ。

これはロートレアモンの「解剖台の上での、ミシンと雨傘との偶発的な出会いのように美しい」を想起させる。二人の異なる個性のぶつかり合いによる化学反応によって出来る新しい創造物だ。この「遊び」も楽しそうなので、私はまずはこれからやってみようかと考えた。

音楽ではすでにサックス吹きの相方と私のチェロとで「トマソンズ」という即興ユニットを結成して「主としてジャズ+主としてクラシック」の異分子どうしの化学反応を7回ほど実践していた。これを(不慣れではあるし、ど素人だが)美術の面でも遊んでみようというわけである。

もう一つ面白かったのは今回の企画に参加したカナダのアーティスト アンナ・バナナからの寄稿だ。メールアートの隣に書簡が展示されており、そこに「私はこれを同封するのを忘れたの」と書いてある。意味を中村恵一に聞いたら、切手アートを送るのを忘れたということだった。

一般にメールアートは販売してはいけないというルールがあるらしい。そこで参加アーティスト達は切手になぞらえた作品を作りそれをメールアートに同封し、展覧会場で即売するというシステムになっていたのだ。アンナ・バナナはその切手作品を忘れたということだ。面白いことに、実はアンナ・バナナは切手アートの専門家だった!こんなオチがあるとは思わなかった。

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