美術アーカイブ:1986年 クラベ展
ハワイから帰国後、初めて観た本格的な展覧会は「アントニ・クラベ展」(東京都庭園美術館)だ。
クラベは「ピカソの後継者」とまで言われた達人なのだが、なぜか名前が埋もれている。私としては素晴らしい芸術家だと思っているので、残念でならない。
クラベは何を作っても素敵だ。絵画作品の代表として「もう一人の戦士」を観てみよう。その色彩と幻想性、そして配慮されてないように見えて配慮されている構成、どれをとっても素晴らしい。
彫刻も良いが、珍しいタイプの作品としてレリーフを紹介したい。「星と手袋」だ。何と素晴らしい作品だろう。無機的な直線と有機的な手の曲線の交錯がこの作品の魅力を増している。
そしてコラージュの「ドン・パブロに捧ぐ」。捧げる相手はもちろんピカソしかいない。この構成感がたまらない。色彩も全体的に地味でありながら、豊かな感じを出しているところが常人の技ではない。
図録には堀田善衛がクラベの生まれ育った町の情景から書き始めて2ページにわたる熱いメッセージを寄せている。最後から6行目に一言「私はクラーベが好きだ」という「宣言」を残している。図録を買っておいて本当に良かった。
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