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2012年7月22日 (日)

美術アーカイブ:1989年 パウル・クレー展

「没後50年記念 パウル・クレー展 1890年から1920年へ」(伊勢丹美術館)は図録に特色がある。

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その一つはクレーの孫にあたるアレクサンダー・クレー(パウル・クレー財団会長)が序文を寄せていることだ。身内のことを書く際、つい思い入れが強く出てしまうか、あるいはそれを意識するあまり逆に抑制してしまうことが多々あると思う。その点アレクサンダー・クレーは祖父クレーの日記や書簡を豊富に引用し、つとめて中立的な立場を保とうとする努力がうかがわれ、好感を持てた。

もう一つはクレーのチュニジアへの旅に関する特設コラムを設けたことだ。現地の写真と関連するクレーの絵画作品を紹介しながら、この旅がクレーの作風に与えた影響の大きさを疑似体験できるようになっている。クレーに対する理解をいちだんと深めることができるコラムだ。

そして最後に充実した年譜。これも見逃せない。ドローネーからの葉書、息子フェリックスのために作ったであろう指人形など、当時の様子を伝える貴重な写真も随所に散りばめられている。クレーについて何か調べものをする際、大変参考になる年譜である。

このように古い文献となるとネット検索してもなかなかヒットしない。そういう意味で、図録を購入・保管しておいて本当に良かったと思う。近頃は情報がネットに乗ることが多いこともあり、展覧会に行っても図録をあまり買わなくなった。しかしその真の理由は小遣い不足にある(苦笑)。

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