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2012年6月20日 (水)

吉阪隆正 蔵書公開

「本の網:吉阪隆正 蔵書公開 at Tea Lounge AGORA」(ティーラウンジ・アゴラ:東京都港区芝)に行った。妻ジョアンナ(仮名)も一緒だった。

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吉阪隆正といえば日本におけるル・コルビジェの三大弟子の一人。そしてル・コルビジェはその著作によって私が「建築鑑賞」を愛好するきっかけを作ってくれた恩人だ。

特に「モジュロール」から得たインスピレーションは大きかった。今回の蔵書展でも数多く積まれた蔵書の中からまずはこの傑作「LE MODULOR」(フランス語原本)に見入った。

実は私は鹿島出版会・SD選書の「モジュロール」Ⅰ、Ⅱ巻を手元に持っているのだが、フランス語版を見るのは今回が初めてだった。図表は両社に共通なので同じようなものだと思うのだが、やはり原版には独特の味わいがある。

早稲田の建築学科における吉阪の先輩・今和次郎(こん わじろう)の著作「日本の民家」(相模書房)もあった。今和次郎といえば「考現学」。そして考現学は私の愛好する「路上観察」につながる。このようにスケールの大きい「趣味の連鎖」(何じゃそれ?)を体感できたのは嬉しかった。

あれっ?と思ったのは「建築家のスケッチ集」(日本建築学会関東支部)。吉阪をはじめとする建築家のスケッチがひとり1枚づつ収められているのだが、その中に彫刻家の流政之の作品が含まれていたのだ。私は流の彫刻作品が大好きなのだが、流は建築家ではないと思う。しかし流は庭園も手掛けたから、建築家の仲間入りを許されたのだろう。

タイトルが好きなのは宇佐美英治の「石を聴く」(朝日新聞社)。私はこの著書を読んだことがなく、今回の展示でも手に取ってパラパラとページをめくっただけなのだが、その洒落たタイトルにすっかり魅せられてしまったので、中味を読む前に腰砕けになってしまったのだ(苦笑)。

こんな本まで持っていたのかと驚いたのは鈴木牧之著「北越雪譜」(野島出版)。私は岩波文庫版を持っていたのだが、こちらは原典のファクシミリ版のようであり、格調が高い。帰宅してあわてて書棚から岩波文庫版を引っ張り出してその余韻にひたった。

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今回残念だったのは会場での展示方法。置いてあった写真アルバムを見た限りでは、当初は蔵書や写真パネルがいかにも展覧会というように会場に美しく配備・展示されていたのだが、何らかの事情によりそれらの多くが撤去・整理され、蔵書類を重ねて置くだけのシンプルな形にされてしまったということだ。

どんな事情が働いたかわからないが、せっかくの展示なのだから、それらをより見やすく、より美しく展示して戴くことにより、来場者の喜びも倍増すると思う。それが叶わなかったのは誠に残念でならない。

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