「第31回 損保ジャパン美術財団 選抜奨励展」(損保ジャパン東郷青児美術館)に行った。毎年楽しみにしている展覧会だ。
今回は「Final」となっていたので、こんな面白い展覧会が幕を閉じてしまうのかと思ったら、来年から名称を変えて再開するとわかり安心した。
私は抽象を好むので、平面も立体も抽象作品をより重んじてしまう癖がある。自分の気に入った作品を並べてみると、ほとんどみな判で押したように抽象である。趣味だからいいかもしれないが、ブログに書いてしまうと具象作品の作家に悪いなという気持になる。
具象でも心象風景などは好きなのだが、たまたま今回は私の趣味を満たしてくれる具象作品に出会うことができなかった。
平面作品で最も気に入ったのは♪朝山英治の「パウル・クレー『造形思考』より」。
このタイトル、このたたずまい。こういうのに私は弱い。白黒の対比もいいし、細い線の小気味よさがまた格別だ。タイトルが私の好みなのだが、仮にタイトルを除いて勝負しても充分最高点を付けてあげたい作品だ。
ちなみに平面作品で損保ジャパン美術賞を受賞したのは♪小野さおりの「ハジマリノザワザワ」。
私は具象でも幻想的な絵画は好きなので結構気に入っていた。「造形思考」にはかなわなかったが。この作品で素晴らしいと思ったのは、奥行き感。平面なのによく観ると手前に迫ってくる部分と奥に引っ込む部分がある。どう描いたかわからないが、不思議だった。
立体部門で最もいいと思ったのは♪安田 操の「はるかな子守歌」。
まあ私の趣味からすると、他に選択肢が無かったわけだが。柔らかそうな質感と、どの角度から観ても楽しめる造形美が最高だった。
そして立体部門で新作優秀賞を獲得したのは♪小野寺英克の「空に溶け込む動物2」。
幻想的なので絵画だったらもっと好きな作品だったかもしれない。荒削りのようで繊細な感じもあるという、作り込みの見事さは大したものだと思った。
平面部門では他にも好きな作品があった。
♪小俣裕子「観測・星と日」。
こういうのにも弱いんだよね。抽象ではないが、すっきりした構成感が何ともいえず心地よい。色彩においても、赤が全体を引き締めつつ幻想性を醸し出している。いいなあ。
♪山下かじん「孤高」
こういうコラージュも好きだ。渋い色ばかり使っているが、全体が構成されると私には派手なぐらいに楽しく見える。コンポジション好きにはたまらない作品だ。
♪原 尚利「刻」。
これは素晴らしい。この作品は画像ではなく、実物を観ないとその良さがわからないと思う。青地に線が1本縦に引かれているだけ、と言ってしまえばそれまでなのだが、その線の中に埋め込まれた細かい模様の美しさ!こういう作品に出会えて良かった。
♪古川あいか「いつもの事 その3」
アイデアだけを取り上げれば、どうってことはない作品だ。ただ描き方が達者な分、コンポジションが引き締まって観えるのかな、と思った。例えば私みたいな素人がアイデアだけ真似しても、決して描くことが出来ない世界なのだと思う。素晴らしい。
立体でも、興味を引く作品がまだあった。
♪降旗芳美「昨日のおまつり」
最近こういう作品が好きになってきた。構成感もあるし、物語性もある。そしてその物語性が、押し付けがましくない。そこが気に入ったポイントだ。
♪川渕佳子「宙がゆらぐ その前に」
このような造形を打ち出した作品は大好きだ。螺旋の感じも、抑制が効いた美しさを保っているようで好感が持てた。
やっぱり「抽象本位制」を打ち出してしまったなあ。
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