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2012年1月19日 (木)

日本の音楽展 XXXIV

2012年1月19日(水)
「日本の音楽展 XXXIV」横浜特別公演(横浜みなとみらいホール 小ホール)に行った。

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このコンサートに行った動機は、妻ジョアンナ(仮名)が出演したからだが、実はそれ以外にも理由があった。それは後で壊れるのだが・・・。

私は最初この「日本の音楽展」という名称を見て「日本の現代音楽展」と読み換えた。そして本邦初演を含む現代曲がずらっと並んでいる様を想像し、楽しそうだと思い込んでしまったのだ。偶然だが最初の曲は尾形久美の「2本のフルートとピアノのために」だった。予想通りの現代曲だ。次は三善晃の「海の日記帳」。これはスタイル的にはもはや現代曲とは呼びにくいが、まあよし。

ところが3曲目で有名な「宵待草」がたからかに歌われたものだから一瞬あれっ?と思った。これはいくら何でも現代曲ではないだろう。そこでようやくコンサート名称を誤解していたことに気がついた。そうか、このコンサートは日本の楽曲を新旧とりまぜて演奏する催しだったのか(苦笑)。

普通私は新旧の曲が入り混じったコンサートの場合、定番の古典だと眠くなり、未知の現代曲だと真剣に聴く癖がある。ただ今回のようにジョアンナが演奏する場合は別だ。

またこの演奏会はもう一つ特記すべき特質があった。それは主宰の熊谷弘氏の言葉によると、出演者自らが演奏したい曲を選ぶという点だ。それは演奏家のモチベーションを高めるだろうし、それによって演奏の質が向上すれば聴衆にとってもプラスになるはずである。そのような側面を頭の片隅に置いて聴いてみるのもまた一興かと思った。

そのようにして全体をじっくり聴いてみた。私は演奏の巧拙についてはわからないが、先に書いた理由により出演者のヤル気も大きかったであろうから、レベルの高い演奏だったのだろうと思う。

作曲については、♪岩村充起のピアノ独奏曲「音のエッセイⅡ」、「音のエッセイⅢ」が私にとっては充実した内容に思えた。単純なモチーフを順次展開してゆく様はベートーヴェンの作曲スタイルを想起させたし、ポリフォニックなからみも随所に配置されていた。和声の面ではフランス近代的な響きが見られた。以上のどの点に関しても私の好みを満たしてくれた。

♪吉松隆は著作を読んでいたが、作品は一つも聴いたことが無かったので興味があった。しかし作品の内容は私としては気に入らなかった。それは、西洋古典音楽やジャズなどの要素を折衷的に織り交ぜ、ミニマルの味付けを加えて作るスタイルだという理由による。このような作風は私の趣味に合わないからだ。

♪高田三郎は既に高名であり、妻たちによる合唱曲の演奏も多々聴いていたので馴染み深い作曲家だ。今回演奏された歌曲集「パリ旅情」は古典的な作風の域を出ない平板な作りの曲も見られたが、時折モダンな響きが聴こえ、やはりこの作曲家は活躍した当時としては先端を行っていたのだなと想像した。

♪三善晃は大好きな作曲家だ。また今回演奏された子供のためのピアノ曲集「海の日記帳」はジョアンナがハワイのサロンみたいなところで「海のアラベスク」を演奏したこともあり親近感が強かった。逆に私としてはもっと知名度の低い曲を聴く機会が欲しかった。しかし先に述べたように、今回のコンサートは演奏者が自分で好きな曲を選ぶのだから、その意図に逆らってはいけないとも思った。

以上のように、作曲家と作品、そして選曲に関しては少し屈折した感想を書いてしまった。でも、演奏者の意気込みと苦労を感じるコンサートだった。お疲れ様でした。

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