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2011年12月27日 (火)

サロン・コンサート ~ヴィオラとピアノの夕べ~

2011年12月26日(月)
「サロン・コンサート ~ヴィオラとピアノの夕べ~」(鎌倉ギャラリー)に行った。

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山中まりえ(ヴィオラ)、山本悠加(ピアノ)の二人の演奏家がソロと二重奏を行った。この会場は2005年に妻ジョアンナ(仮名)と共に「チェロとピアノのためのマドリガル」を自作自演したところで、雰囲気がよく心地よい響きが楽しめる会場だ。今回は久しぶりに同ギャラリーを訪れた。

作品の感想
西村 朗作曲 無伴奏ヴィオラ・ソナタ 第1番「旋回舞踊」について

私は音の構成そのものに興味があるので「旋回舞踊」というタイトルはとりあえず横に置いておく。この曲は協奏曲のカデンツァの様々な部分が組み合わさって一つの大きなカデンツァを形成しているような構造になっている。

カデンツァのようだと言っても、超絶技巧は要求していない。むしろ演奏者が弾きやすいような配慮がなされている。例えば左手の形を崩さずにそのままずらしてゆきながら分散和音を奏する箇所などである。

和声に関しては、モダンな響きが基調になっている。そして時おり古典的な三和音が鳴るので、はっと驚いてしまう。これは眠そうになった聴き手を起こすための方策であろうか(笑)。

演奏技法については、そんなに奇をてらってはいない。アルコ、ピチカート、フラジオレット、グリッサンドが中心で、それ以上の現代奏法(スル・ポンティチェロとかコル・レーニョなど)はほとんど見当たらなかった。多様な現代奏法オンパレードに走ってないところは好感が持てた。

音型は、分散和音、音階、跳躍する音など様々なパターンがあり、それらが奏法、強弱などと共に順列組み合わせで構成され、全体の形を作っている。こういうのもあります、ああいうのもあります・・・というように、演奏技法と音型の多様さを披露していくような感じだ。

そんな曲なのだが、全体として発散せず(バラバラな感じにならず)よくまとまって出来た作品なのではないかと思った。

さてタイトルだが、そもそも音楽は人間の感情とか事物を表現できない抽象芸術だが、いったんテキストが加えられると、そのテキストが具体的な感情や事物を表すようになる。そして聴き手はそのテキストによって発せられるイメージに誘導される。このタイトル「旋回舞踊」は、踊り子がくるくる回りながら精神の高揚に導かれていくという感じなのだろう。

そのイメージとこの曲の構成を重ね合わせてみようとしたが、あまりフィットしなかった。その理由を考えてみたが、単純な動きの連続による精神的高揚を目指すのであれば、音楽はもっとミニマル的な繰り返し構成のほうが相応しいからだと思う。

それに対してこの曲は同じパターンの繰り返しを避け、適度に変化を持たせながら進んでいく構造になっているので、構成的に飽きないという長所がある反面、連続旋回による高揚には寄与しにくいのではないかと思った。

このあたりに関しては、作曲者に作曲の意図を聞いてみたいと思う。何か他に仕掛けが隠されているのかもしれない。

私は演奏のことはわからないので、ひとこと「良かったと思う」としか言えない。具体性を伴わない感想では演奏者に申し訳ないと思うのだが、演奏の深いところがわからないのでご容赦いただきたい。特に印象に残ったのは、低弦での太い響きと、高音の優しさとの対比であった。

プログラム
♪バッハ:無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV1011
♪ドヴォルジャーク:愛の歌 Op.83 より第1,3番
♪同:ジプシーの歌 Op.55 より第1番
♪エネスコ:演奏会用小品
♪西村 朗:無伴奏ヴィオラ・ソナタ 第1番 <旋回舞踏>
♪ブラームス:ヴィオラ・ソナタ ヘ短調 作品120-1
アンコール
♪ドヴォルジャーク:ジプシーの歌 Op.55 より第4番「我が母の教えたまいし歌」

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コメント

新年、明けましておめでとうございます。
昨年末(12/26)に、こんな素適なコンサートがあったのですね。
12/26は、最後の仕事をしていました。弦楽器では、ヴァイオリンの美しくてしなやかな音も好きなのですが、ヴィオラの深みのある音が好きです。
エネスコの演奏会用小品は、CDがありますが、良い曲ですよね。ブラームスのソナタOp.120は、クラリネットでも演奏されますが、ヴィオラの方が響き的にも好きです。ただ、ピアノパートは、難しいです。
鎌倉ギャラリーももう少し広ければ良いかなと思います。ステージ(舞台)に行く時も失礼しますという感じで、お客様の横を通って、演奏した記憶があります。
次の記事の江ノ島のイルミネーションも素適ですね。久しく出掛けていません(>_<)
本年もどうぞ宜しく御願い申し上げます。
ご健康とご多幸をお祈りしています。

makikoさん、コメントありがとうございました。今年もよろしくお願いいたします。

年末年始は伊豆へ逃避し、元旦の今晩帰宅しました。成果は「風物詩」に集大成します(笑)。

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ここまで具体的に語ると空間がよく分かります。逆にこのくらい詳しく語らないとよく分 [続きを読む]

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