路上観察:なんだ坂、菊名の坂
「チェロとマリンバによる ティータイムコンサート」の会場「ギャラリー&スペース 弥平」は菊名駅から坂を上ったところにある。駅からの道すがら、本職(?)の路上観察を試みた。まずは駅の看板。何てことない普通の看板だ。しかしその上には巨大なヘアピン状のオブジェが貼り付いている。スタートラインからして何やら不気味だ。
くぐろうとしたら、いきなり「壁画」が出現。パチンコ屋の広告が端に見える。壁画といえば今は無き東横線・桜木町駅付近の高架下壁画だ。そして今回も東横線・・・。東横線というのは若き壁画アーティストを引き付ける何かを有しているのだろうか?
その反対側の「壁画」。こちらは「天丼」の旗。エンタメとグルメが対峙しているわけだ。「メ」でくくれば因数分解できるな。
ガードを抜けて目にしたのが「西口商店街」のエントランス風景。この重層的なたたずまいを見よ。この街の一筋縄ではいかない奥深さを象徴しているかのようだ。赤を基調とした色彩構成の強烈なこと。
坂を上りかけると、空間が捻じ曲がり、鎌倉の鶴岡八幡宮にワープ。台風で折れた大銀杏(いちょう)の痛々しい姿を目の当たりにする。
こんどは鎌倉から下水道のネットワークを駆使して菊名に戻り、マンホールの蓋を開けて出てきたところの図。菊名は横浜市だ。横浜と言えばベイブリッジだ。
坂を上ってゆくと随所に紫陽花が美しい姿を見せる。うっとおしい梅雨時、気分を爽やかにしてくれる貴重な存在だ。
同じ植物でもこちらは日陰の存在、おなじみ根性植物。
菊名の根性植物は感情を持っているらしく、環状に並んで楽しそうにダンスを踊っている。色彩に関しても変化に富んでおり、これはもう芸術的意思を持っているとしか考えられない。
根性植物が密生してくると、あたりがアンコールワットのような南国の遺跡跡に見えてくるから不思議だ。右側の三角形状の開口部からは漆黒の地下世界が広がっている、わけないか。
そして上を見上げれば森の中と見間違えそうな樹木の集まり。
横を向くとただの街路樹。しかし道路と比べてこれらの樹木の太さは異常だ。通行に差し支えることだろう。
植物だけが魅力ではない。人工物だって心を打つのだ。コンクリート塀に残された靴の痕跡の美しいこと!
コンクリート塀には折れ曲がった管が、管の国会での迷走を物語っている。
迷走しないように行き先案内板が設置されていた。
石垣に描かれた(?)赤い筋は何か呪術的な印であろうか?
ギャラリー弥平が近づくと、そこは梟(ふくろう)の道であった。同行したヴァイオリニストは「袋小路」(ふくろゥこうじ)と言って喜んでいた。この一言が同行者一同を寒からしめたのだが、蒸し暑い日だったので容認された。
コンサートを聴いたら早く帰宅しよう。「こうじ」で作られた液体が待っている・・・。
« 妻の遺した秘密の絵 関谷富貴の世界 | トップページ | 路上観察:宇都宮ではギョーザ様 »
コメント