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2011年5月 8日 (日)

国展:版画

2011年5月1日(日)
連休中はイベントが目白押しで記事執筆に追われ、彫刻部門だけ手がけた国展の他の部門の感想が宙に浮いていた。やっと再開できるようになったので、次は版画に移ろう。

素晴らしい作品ばかり並んでいるので、どれがいい等という選別ができない。たまたま偶然印象が強かった作品について感想を述べるのがやっとだ。

■音楽を想起させる作品
♪津田恵子の「CRISS CROSS」は最も気にいった作品の一つだ。音楽的な構成とリズムが心地よいし、題材もピアノや鍵盤をイメージしているようだ。作品名の「Criss cross」という言葉は知らなかったが、ジャズなどの音楽用語だと思う。絵葉書を購入して音楽ライターのハシビロコウさんに送った。

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♪好富要の「Port Ⅱ」も音楽的イメージが湧き出そうで楽しい。「Port」(港)という作品名からして長方形の列は港町のビル群、手前は港に停泊する船舶であろう。丸いのは月かな。具象でも抽象でも、どちらの見方をしても鑑賞者を受け入れてくれそうな作品だ。

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♪栗山薫の「理性と愛―A」は「会友賞」を受賞した作品だ。題名から推し量ると音楽的構成感を追及した作品ではなさそうなのだが、私はそのように感じ取った。そして画面の下のほうに並んだ人々が遠くから見るとピアノの鍵盤に見え、二人のピアニストが連弾をしているように見立ててしまった。

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このような鑑賞の仕方はたぶん作者の意図と異なるとは思うのだが、良く出来た作品というものはどのような観かたをしても心地よく観ることができるのだと思う。そういう意味で作品の価値を認めているので、素人の私のアプローチが間違っていたとしても大目にみて下さい。

♪松木恵子の「舞」も好感度が高い抽象作品だった。大きな円環と小さな正方形が織り成すハーモニーという感じだ。

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■ミロのような楽しい抽象
♪斉藤郷子の「Little place」は作者の言葉「想いが ふわふわと漂って落ち着く場所へ・・・」の通り優しく包んでくれるような作品だ。しかし銅版画ってこんなに柔らかい表現が出来たんだっけ?

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♪續山茂樹の「虹の住処 11-2」はとても楽しいコンポジションだ。光がガラスに反射して見づらい写真になってしまったが、どのような作品かわかって戴けると思う。こういう作品が架かっている部屋には幸福が訪れることだろう。

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♪加藤 宏の「郊外」は版画部奨励賞を獲得した作品だ。寒色中心で少々渋いが、そこがまた魅力なのだと思う。コンポジションの面でも魅力あふれる作品だと思う。

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♪池内満子の「鳥の唄」は鳥をデフォルメしていって抽象化にたどり着いたのか、あるいは空を飛ぶ鳥が下界を見下ろした地図みたいな景色を表現したものか、どちらかわからない。でも、どちらであったとしても作品の素晴らしさには影響がないと思う。色彩と形の調和が取れたコンポジションだと思う。

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■渋い抽象
♪岡村和可子の「記憶のむこう」は少々暗い感じがするが、シックで洒落た抽象だ。落ち着きがあるので安心して観ていられる。

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♪鈴木修一の「impression 10-11」も暗い感じだが、面白い形を組合せているので楽しい。ジョヴァンニの影が入り込んでいて失礼!

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■ユーモアに富んだ作品
♪青木鐵夫の「道 Ⅱ」は街路の両側の景色が二人の人物とダブルイメージになっているユーモア溢れる作品だ。構成感もあり、好ましい作品である。

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■その他目についた作品
♪松江喜代寿の「北辺春秋’11 津軽の夜祭あおもり」は「ねぶた」のイメージがストレートに伝わってきて、力強い美しさがあった。

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♪三田宏行の「不垢不浄」は般若心経の言葉だ。「美しいも汚いも人が決めること」というような意味だと思う。作品を観ると、ただひたすら美しいので作品名の意味が理解しかねた。いずれにしても楽しい作品だ。

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♪いわたきよしの「輪廻万華鏡」は4×4の升目に異なるイメージが嵌め込まれ、全体として万華鏡を観ているようなキラキラした印象を残す。結構派手な色彩を用いている割には、全体としては落ち着いた作品に仕上がっているのは作者のセンスの良さかもしれない。

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♪波岸康幸の「子どものいる風景 その2」は不思議なたたずまいだ。シュールのようでもあり、そうでないようでもあり、捉えにくい。逆にそれが個性なのかもしれない。何となく気になった作品だ。

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