絵葉書の世界:日米同時撮影というコラボ
この2枚の写真は展覧会のためにニューヨークと神奈川県藤沢市の2カ所で同時に撮影されたものだ。地球の反対側に居住する二人のアーティストが時間というものにこだわったコラボレーションといえよう。
作家はニューヨーク側が竹田あけみ、日本側が鍋島正世。展覧会の母体は「ISE文化基金」で展覧会は「フロント・プロジェクト・スペース」と総称される。その企画の一つとしてこの日米同時撮影の展覧会が開催されたものだ。2006年に始まり現在まで継続されているという。
これは河原温が行った毎日絵葉書を送り続けるというコンセプチュアル・アートに発想が似ている。異なるところは、河原温が個人プレーであるのに対し、このプロジェクトはアーティスト2人のコラボであるという点だ。
個性が異なる二人のアーティストが撮影した写真の邂逅は、時にシュルレアリスムの「手術台の上のミシンとこうもり傘出会い」に似た新鮮な驚きを引き起こすことが考えられる。
鍋島も展覧会の案内に「ほぼ同時に撮られたということのみで通じ合う2枚の写真は、時として、驚くべき、思いがけないものをみせてくれています。」と書いている。
これら2枚の写真では、左(ニューヨーク)の歩道の縁の直線が、右(日本)の手すりに繋がっている。ニューヨークの街角を歩いていて、ある境界線を超えた途端に日本に瞬間移動してしまう、といった幻想が沸き起こる。また両者では視点の高さが異なるから、境界線を中心に空間がねじれた感覚に襲われる。このような観かたは鑑賞者一人一人で異なるから、他の人の感想を聞くのも楽しいと思う。
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