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2011年4月16日 (土)

美術アーカイブ:1973年

この年は前年(1972年)を継承し、キリコ、ルドンという幻想絵画の二人の大家の展覧会に足を運んでいる。そしてどちらも会場は鎌倉近代美術館(現・神奈川県立近代美術館 鎌倉:以下現在の名称で呼ぶ)だった。

私は湘南地方の出身なので、地元の鎌倉近代美術館を誇りに思っている。(私は鎌倉市在住ではないが、近隣の市なので「地元」という表現をご了承戴きたい。)そして当時は日本で先端をゆく近代美術館であった。しかしその後近代・現代美術館が続々と誕生し、今では他館の後塵を拝している。地元としては悔しく思うが、鎌倉近代美術館が一つの時代を切り開いたと考えれば少しは気持が落ち着く。

♪「瞑想の世界を描く世紀の巨匠 デ・キリコによるデ・キリコ展」(神奈川県立近代美術館 鎌倉)

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キリコの作品に初めて出会ったのは、本物ではなく図版.だが中学の美術の授業だった。教科書にあの名作「街の神秘と哀愁」が載っていて、何と不思議な絵だろうと思った記憶がある。

展覧会から帰宅して両親に図録を見せたら、父から「人間をこのように描くとは・・・嫌悪感がある・・・」などと酷いコメントをもらった。父は絵がプロ並みに上手で写生画を得意としていた。だがキリコのような半ば抽象化された描き方には理解を示してくれなかった。母も美術好きではあったが、やはり「ゲンダイカイガ」にアレルギーを持っていたようだ。

♪「静かなる幻視の画家 オディロン・ルドン展」(神奈川県立近代美術館 鎌倉)

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会場では幻想的な作品に魅せられたが、花の連作は面白くなかったという記憶がある。この頃は幻想美術への志向が高まっていたので、その表れであろう。

♪「現代彫刻の巨匠 ジャコメッティ展」(西武百貨店・池袋店)
この時代は池袋の西武が新しいアートの啓蒙で一歩リードしていた感がある。私もずいぶんお世話になった。翌年(1974年)はゾンネンシュターン展、1年おいて1976年はカンディンスキー展、エッシャー展、抽象と幻想の世界展、1977年にはエルンスト展と、わくわくするような企画が連綿と続いていた。

その他同年に行った展覧会を列挙する:
♪「印象派100年 光と色彩の交響 モネ展」(西武百貨店・渋谷店)
♪「神秘の色彩画家 ボナール展」(吉井画廊:銀座)
♪「ブルナール・ビュッフェ美術館開館記念ブルナール・ビュッフェ展」(伊勢丹:新宿)
♪「サンパウロ美術展」(松坂屋上野店)

私は印象派の作品を好まない。構成感が弱いからだ。というか印象派の狙いはキュビズムなどの線の構成ではなく光などの表現だから、そもそも志向していることが違うのだ。好みの問題かな。でもこの時代はそこまで自分の趣味が絞られていなかったので、有名だからという動機でモネ展に行った。しかし結局何がいいのか全くわからなかった。その後ウン十年間、ついに印象派を愛好することなく今日に至ってしまった。

印象派というと、マネやモネより私はむしろボナールのほうにインパクトを感じた。(厳密にはポスト印象派あるいは親密派(アンティミスム)と呼ぶのかもしれないが。)この年に行った展覧会では「逆光の裸婦」あたりの印象が強かった記憶がある。その理由はわからない。描かれたのが裸婦だからだろうか(笑)。

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