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2010年12月 6日 (月)

第14回 アラベスク コンサート

2010年12月5日(日)
第14回 アラベスク コンサート「宇宙(そら)~果てしない未来へ~」(南大沢文化会館 主ホール)に行った。

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楽しいコンサートだ。私はこれで3回目だがリピーターだと思っている。一つのコンサートが終ると「来年もぜひ来たいなあ」という気持になるのだ。アラベスク コンサートの魅力はどこにあるのか?

私は過去の記事で次のような事を書いた:
1)個人の個性とユニットの個性
出演者一人一人が個性あふれる演奏をすると同時に、複数メンバーによるユニットも個性を出している。
2)前回比較
演奏者の成長(前回からのスキルアップ)を共に喜ぶとともに、前回と異なる味付けを探し当てる楽しみがある。
3)ナレーションが活躍する独特の構成
曲と曲の間、椅子・譜面台などをセッティングする。その時間をナレーションにより楽しいひとときにしてしまう。

しかし上記の3つは、それなりに準備すれば形だけでも真似することは可能だと思う。従ってこれらの要因だけがアラベスク コンサートの魅力を支えているのではないと考える。ではそれ以外の決定的要因はあるのか?

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今回、アラベスク コンサートの企画担当♪和田冨士子と話す機会があった。その会話から得た情報により、魅力付けの根源となっているのは入念な企画と時間をかけた準備ではないか、という結論に達した。

◆準備スケジュール
アラベスク コンサートの準備スケジュールがどうなっているか聞いてみた。すると、一つのコンサートの時期に翌年の企画が始まるというサイクルだとわかった。

そのスケジュールをブレイクダウンしてみる(記憶があいまいで、時期に関しては多少前後しているかもしれません。)コンサートは12月頃に行われる。終演後、企画担当は翌年の中心テーマを練り、年明け頃に発表する。各メンバーはそれを踏まえて選曲し、夏頃までに決定する。するとこんどはナレーション担当♪宮本美知枝(「女優さん」というニックネーム)がナレーション作りを開始する。

◆ナレーション作り
夏頃から12月まではだいぶ時間があるじゃないか、と言うなかれ。宮本美知枝はメインテーマと曲目の両方に関連した話題を探す。インターネット、図書館を利用するだけでなく、エピソードに関連した土地を訪ねるという事までしている。そしていくつかの話を作って、それらをふるいにかけて最終的な原稿に落とし込むという作業を行う。レーション作りにはこんなに時間と労力をかけているのだ。

◆練習
そして演奏者は練習に取り掛かる。アラベスクはプロ・アマ混成部隊である。一般的にはアマチュアはプロと比べて力量が劣るかもしれない。でも逆に、招いたプロのゲストに失礼のないように、一生懸命がんばるというのだ。その研鑽の成果として、世界の一流プレイヤーと比べたら劣るかもしれないが、コンサート全体の品格を決して損なわないレベルを保つのである。

招いたプロはバリトンの♪二宮周平。明瞭な発声で堂々と歌ったので迫力があった。ソプラノの♪柳田るり子とのデュエット(ヴェルディ作曲 歌劇「椿姫」第2幕より「天使のように清らかな姫を」)は拍手喝采だった。

フルートの♪浅田明美と♪折田緑による「コンチェルト・デュエット」では二人一緒に速いパッセージを奏する箇所があるが、ピッタリ合っていた。厳しい練習の成果だったのだろう。

◆照明
さらにコンサートの演出で欠かせないのが照明。今回は「宇宙(そら)」というメインテーマに合わせ、冒頭と最後の背景には星がきらめく夜空が映し出され、観客を魅了した。

♪佐々木真美子と♪佐藤順子の息の合ったギターのデュエットによって演奏された「ローズ」の背景はその題名とコラボさせたピンク色。このような色彩の効果もコンサートの楽しさを深めていた。

◆サブテーマ
今回は「宇宙(そら)」がメインテーマだが、それと共にサブテーマも考えられている。今年はシューマンとショパンのメモリアルイヤーだったので、ピアニストの♪升谷奈保はシューマンの「幻想小曲集」、♪今野(今野)恵子はショパンの「ノクターン13番」を弾くことにより、「メモリアルイヤー」というサブテーマを実現させていた。

以上のような「背後に隠された努力」のベースに乗ってアラベスク コンサートは開演される。ここでもう一度過去に私が書いた魅力の理由を並べてみよう。
1)個人の個性とユニットの個性
2)前回比較
3)ナレーションが活躍する独特の構成

こうして、あらためて3つのポイントを眺めてみると、これらが表面的なことではなく、厚みを持って迫ってくる感じがする。そうか、アラベスクの魅力の根源はこういうところにあったのか、と何となく核心に近づいたと思った。

今回の記事では企画面の充実に焦点を当てたため、演奏者と曲目に関し網羅的にコメントすることはできなかった。ご容赦のほど。

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コメント

ジョヴァンニさん、いつも美術と音楽に関する鋭い評論+αを楽しく読ませていただき有難うございます。
先日、平塚美術館で高瀬省三の”流木を使った彫刻展”を見てきました。彼の作品を写真集で見たことはありますが、実物の素晴らしさは予想を超えるものでした。併設されていた茅ヶ崎在住の彫金家、石橋聖肖の作品も、銅板を使ったミニチュアオブジェともいうべきもので、見ごたえがありました。
できればこの展示会に関するジョヴァンニさんの鑑賞記を読ませていただきたいと思い、書き込みさせていただきました。12月23日まで開催しています。http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/exhibit1.htm

クー介さん、コメントありがとうございました。案内を見ると、石橋聖肖さんの作品が私の好みにピッタリの感じがしました。特に「卓上航想」や「水恋」の構成感+幻想性がたまりませんね!

忘年会等の予定が多く、会期中に行けるかどうか(苦笑)。多少の時間的制約があっても、ぜひ観に行こうと思います。ご教示ありがとうございました。

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