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2010年12月28日 (火)

古本: 二笑亭奇譚

2010年12月28日(火)
「定本 二笑亭奇譚」(式場隆三郎著:ちくま文庫)の古本を買った。

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以前から欲しかった本なので嬉しかった。私はこの著作の存在を知っていたが、詳しいことは知識が無かった。しかし類推で、あの「路上観察」仲間が加担しているだろうと推測していた。案の定、赤瀬川源平、藤森照信という「巨匠」が参画していたので二重に嬉しさが増した。

今日、最初に目にとまったのは古書店が街に出張して、出店のような形で商売をしている一角だった。「やった、見っけ!」と子供のように喜んで正札を見たら、定価千円のところ1,800円!うーむ高い。それでも買いたいと思うほどの代物だったのだが、思いとどまってそこから5分ほどの古書店に移動した。

そこは綺麗な店構えで主も専門家っぽくない。しかしそういう店にはこのテのレア物は置いてないのが通例だ。しかし、な、何と同じ本があるではないか。しかも売値600円で!先に立ち寄った露店で買わなくて本当に良かった。差しさわりがあるので店や場所の情報は書かないが、一杯おごってくれたら教えてあげるよ(笑)。

あこがれの本を開いてもう一つ嬉しかったことがある。それは「おまけ」だ。この本は二笑亭について書かれたもので、勿論それだけで充分すぎるほどの価値がある。しかしそれに加え、二笑亭周辺(時代的・地理的)のお話も付けられていたのだ。

極めつけは藤森照信の「二笑亭再建せり」。その中には「大正アヴァンギャルド」に関するくだりがあり、あの「マヴォ」グループについての記述があったのだ。しかも「自動切符販売機」の写真付きで!

この程度のことで興奮する私も子供っぽいが、マニアならわかってもらえるだろう。MAVO一派の活動の魅力は何だろうか?この「自動切符販売機」にしろ、見方によっては単なるガラクタの集積にすぎない。でも、その背後には「俺たちが中心となって面白いものを作って見せるぞ!」という血気盛んな若いアーティスト達の思いとエネルギーを感じ取れるのだ。

スポーツ(野球)に例えてみよう。ある投手の投げる球がスピードガンでは140キロに届かないのに打者が打ちあぐんでいる。するとテレビの解説者が「球に気持が乗っているので打てないんでしょう」というあまり科学的・合理的と思えない説明をする。MAVO仲間の活動はこれに似ている。

表現を変えれば、彼らの意気込みが後押ししているので、一見ガラクタに見える作品が輝いて見える、ということになろうか。

二笑亭の素晴らしさもこれに似ている。こんな非合理的な、矛盾だらけの家屋に何の価値があるんだろうか?といったら「終しめえよ」となる。面白いものを造ろうという信念で建造されたニ笑亭、その真意は笑い飛ばして世の中が明るくなるという事ではなかったか。

今では失われたニ笑亭を拝む術が無いが、このような記録・写真によりその真価は永遠に存続するであろう。

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コメント

昨年末、文化創造の丘をすすめる会の集まりで ジョバンニッキさんのデッサン力の素晴らしさも 向谷さんから 伺いました。いつか 作品を見る機会があれば 幸いです。さて 私は、明日 熊さんのアトリエを 初めて 訪問させて頂きます。こちらで様々な作品を見ること アトリエの雰囲気を見てくるのも とても楽しみです。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

懇親会以来ご無沙汰しております。コメントありがとうございました。私はデッサンを描くことがほとんどないので何かの間違え(あるいは人違い?)でしょうか?

アンコールワットを訪れた際、レリーフを描いたことはありました。拙ブログのカテゴリー「アンコールをアンコール」をクリックすると旅日記が出てきます。その中にありますが、上手ではないと思います。

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