荒木隆一 創作型絵展
2010年12月21日(火)
「雪国の抒情詩 荒木隆一 画号・俳号 春雪子(しゅんせつし) 創作型絵 作品展」(風海:伊勢原)に行った。
10月に同じ会場で「荒木敏子 布画回顧展」を観た記憶がまだ新しいが、今度は息子さんの個展だ。そして一緒に観たのはその弟さんでチェンバロ製作者の玉利要二さん。お兄さんとその作品について解説してもらった。何という贅沢さだろうか。
案内葉書に採用された作品は「雪の永平寺」。次の俳句が添えられている:
鐘の音も深雪に沈む永平寺
つまりこれらの作品は、荒木隆一が俳人・画家の一人二役を演じた結晶なのだ。才能あふれるアーティストだ。
「創作型絵」に最も近いのは「切り絵」だという。ではどう違うかというと難しくて私には説明できない。荒木隆一がグラフィックデザイナーとして活躍した過程で産み出していった技法ということだ。
創作型絵は紙をカッターで切って形を作る。一見易しそうに見えるが、どっこいこれが大変困難な作業だそうだ。ちょっとでも切れ込みを入れ過ぎると、もうそれで作品全体が没になるぐらい厳しい世界らしい。
東急車輛のロゴ(丸の中に、逆三角形状のマーク)は荒木隆一がデザインしたそうだ。このアーティストはこんなに身近なところに創作の成果を見せてくれていたのか。荒木隆一の名前があまり知られていないのは、長らく企業所属のデザイナーとして活動していたからだろう。今回の個展は、あまり知られていない荒木隆一の作品をまとまった形で鑑賞する貴重な機会だった。
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