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2010年12月30日 (木)

年末の風物詩

2010年12月29日(水)
以下の図像は、我が家の近所で愛犬「哲学者」の散歩(湘南地方)と、友人宅での忘年会(東京都内某所)のハイブリッド。

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2010年12月28日 (火)

古本: 二笑亭奇譚

2010年12月28日(火)
「定本 二笑亭奇譚」(式場隆三郎著:ちくま文庫)の古本を買った。

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以前から欲しかった本なので嬉しかった。私はこの著作の存在を知っていたが、詳しいことは知識が無かった。しかし類推で、あの「路上観察」仲間が加担しているだろうと推測していた。案の定、赤瀬川源平、藤森照信という「巨匠」が参画していたので二重に嬉しさが増した。

今日、最初に目にとまったのは古書店が街に出張して、出店のような形で商売をしている一角だった。「やった、見っけ!」と子供のように喜んで正札を見たら、定価千円のところ1,800円!うーむ高い。それでも買いたいと思うほどの代物だったのだが、思いとどまってそこから5分ほどの古書店に移動した。

そこは綺麗な店構えで主も専門家っぽくない。しかしそういう店にはこのテのレア物は置いてないのが通例だ。しかし、な、何と同じ本があるではないか。しかも売値600円で!先に立ち寄った露店で買わなくて本当に良かった。差しさわりがあるので店や場所の情報は書かないが、一杯おごってくれたら教えてあげるよ(笑)。

あこがれの本を開いてもう一つ嬉しかったことがある。それは「おまけ」だ。この本は二笑亭について書かれたもので、勿論それだけで充分すぎるほどの価値がある。しかしそれに加え、二笑亭周辺(時代的・地理的)のお話も付けられていたのだ。

極めつけは藤森照信の「二笑亭再建せり」。その中には「大正アヴァンギャルド」に関するくだりがあり、あの「マヴォ」グループについての記述があったのだ。しかも「自動切符販売機」の写真付きで!

この程度のことで興奮する私も子供っぽいが、マニアならわかってもらえるだろう。MAVO一派の活動の魅力は何だろうか?この「自動切符販売機」にしろ、見方によっては単なるガラクタの集積にすぎない。でも、その背後には「俺たちが中心となって面白いものを作って見せるぞ!」という血気盛んな若いアーティスト達の思いとエネルギーを感じ取れるのだ。

スポーツ(野球)に例えてみよう。ある投手の投げる球がスピードガンでは140キロに届かないのに打者が打ちあぐんでいる。するとテレビの解説者が「球に気持が乗っているので打てないんでしょう」というあまり科学的・合理的と思えない説明をする。MAVO仲間の活動はこれに似ている。

表現を変えれば、彼らの意気込みが後押ししているので、一見ガラクタに見える作品が輝いて見える、ということになろうか。

二笑亭の素晴らしさもこれに似ている。こんな非合理的な、矛盾だらけの家屋に何の価値があるんだろうか?といったら「終しめえよ」となる。面白いものを造ろうという信念で建造されたニ笑亭、その真意は笑い飛ばして世の中が明るくなるという事ではなかったか。

今では失われたニ笑亭を拝む術が無いが、このような記録・写真によりその真価は永遠に存続するであろう。

2010年12月24日 (金)

コンチェルトの花束

2010年12月24日(金)
「コンチェルトの花束」(ヤマハ藤沢ホール)に行った。正式には「エレクトーンオーケストラによる Winter Concert コンチェルト研究コース研究発表会 ~コンチェルトの花束~」という長い名称だ。

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名称からわかるように、これはヤマハの「コンチェルト研究コース」という過程の修了コンサートだ。出演者は可能ならフルオーケストラを従えて弾きたいだろうけど、予算などの制約が大きい。そこでエレクトーンを活用して擬似オーケストラをバックに演奏する機会を設けているわけだ。

出演者の一人はブログともだち、エレクトーンの一人は小学校の同級生、指揮者は妻(仮名ジョアンナ)がお世話になっている方だ。ここまで深いつながりがあると、批評的なことは何も書けないわけだが、全員素晴らしい演奏だったので心配は無用だ。

ピアノに関しては、ほとんどの演奏者が重く明瞭なタッチで弾いていたので、私の趣味にかなっていた。特にバッハ、ベートーヴェン、ブラームスのいわゆる「三大B」は重い音だと聴いていて嬉しくなる。

ただし私は「世界一バイエルが似合う男」なので、音がどうのこうのと生意気な事を言える立場ではない。すみませんでした。最近少しピアノを練習したので「世界一ブルクミューラーが似合う男」に格上げしてもらいたいが、だめかなあ。

エレクトーンに関しては、多い演奏者は全6曲中5曲も担当していた。この負担は相当なものだろう。お疲れ様でした。

エレクトーンはオーケストラの響きを完全には再現できないが、技術の進歩で楽器によっては非常に近い音色を出していた。例えばホルンは本物の味わいがあった。またコントラバスとチェロのピチカートも意外と本物に近い音がして驚いた。弦楽器の高音はいまだに発展途上という感じだが、これも今後の技術革新で接近してゆくことだろう。

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外観上のことだが、ソリスト(ピアノとフルート)は色鮮やかなドレスをまとい、エレクトーン奏者は黒い衣装で統一していた。これはソリストを引き立てるため、エレクトーン奏者は黒子に徹したというわけか。

それはそれで縁の下の力持ちとして好感が持てる。でも先に書いたとおり、エレクトーン奏者の貢献度はとても大きいのだから、ソリスト同様に着飾ってもいいではないかと思った。

ただし、細かい点だが、エレクトーン奏者はローテーションして交代で譜めくりに回る。もし全員が色ものドレスを着たら、譜めくりの人までドレス姿となり、ステージ全体の色彩がチラチラして求心性が失われてしまうかとも思った。なかなか難しいんだなあ。

また指揮者は普通のコンサートとは異なり、ステージの後ろに立った。これもソリストを立てる形で好感が持てるのだが、右側の客席からはピアノの蓋が邪魔をして指揮者がよく見えなかった。このあたりは、あちらが立てばこちらが立たずで、理想を追うときりがなさそうだ。

そういえばステージ奥に飾られたクリスマスツリーも、ピアノの蓋のために一部の観客席からは見えなかった。これは余計なことか・・・。ああだこうだと言っても、結局は今回の姿がベストのようだとわかった。素人考えで引っ掻き回して失礼しました。

最後のブラームスの感動的な演奏がクリスマスイブのよい思い出を作ってくれた。みなさんお疲れ様でした。

2010年12月23日 (木)

デューラー 版画・素描展

2010年12月23日(木)
「アルブレヒト・デューラー 版画・素描展 -宗教・肖像・自然-」(国立西洋美術館)に行った。

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昨年の7月、同じ場所で開催された「かたちは、うつる 国立西洋美術館所蔵版画展」の入口でいきなり「メランコリア」に遭遇したのは記憶に新しい。

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今回はデューラーに特化した展覧会だったので、作品をたっぷり鑑賞できて良かった。展示会場は3つに分かれているが、入るや否や足早に最後の会場まで突進したのは正解だった。そこにはこの「メランコリア」と「書斎の聖ヒエロニムス」、「騎士と死と悪魔」の「3大版画作品」が揃い踏みしていたからである。

祝日にもかかわらず比較的空いていたので、これらの偉大なる作品をじっくり観ることができたのは嬉しい。またいつもなら悪魔に誘惑され苦悩している聖アントニウスが、のんびり本を読んでいる「聖アントニウス」という珍しい作品にも出会えて良かった。

展覧会場に到着するまで「いいだろうなあ」と期待し、結果的に常に「ああ良かった」と満足する作家は多くない。デューラーはその限られた一人だ。

2010年12月22日 (水)

荒木隆一 創作型絵展

2010年12月21日(火)
「雪国の抒情詩 荒木隆一 画号・俳号 春雪子(しゅんせつし) 創作型絵 作品展」(風海:伊勢原)に行った。

10月に同じ会場で「荒木敏子 布画回顧展」を観た記憶がまだ新しいが、今度は息子さんの個展だ。そして一緒に観たのはその弟さんでチェンバロ製作者の玉利要二さん。お兄さんとその作品について解説してもらった。何という贅沢さだろうか。

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案内葉書に採用された作品は「雪の永平寺」。次の俳句が添えられている:

鐘の音も深雪に沈む永平寺

つまりこれらの作品は、荒木隆一が俳人・画家の一人二役を演じた結晶なのだ。才能あふれるアーティストだ。

「創作型絵」に最も近いのは「切り絵」だという。ではどう違うかというと難しくて私には説明できない。荒木隆一がグラフィックデザイナーとして活躍した過程で産み出していった技法ということだ。

創作型絵は紙をカッターで切って形を作る。一見易しそうに見えるが、どっこいこれが大変困難な作業だそうだ。ちょっとでも切れ込みを入れ過ぎると、もうそれで作品全体が没になるぐらい厳しい世界らしい。

東急車輛のロゴ(丸の中に、逆三角形状のマーク)は荒木隆一がデザインしたそうだ。このアーティストはこんなに身近なところに創作の成果を見せてくれていたのか。荒木隆一の名前があまり知られていないのは、長らく企業所属のデザイナーとして活動していたからだろう。今回の個展は、あまり知られていない荒木隆一の作品をまとまった形で鑑賞する貴重な機会だった。

2010年12月20日 (月)

大忘年会という名の忘年会

2010年12月19日(日)
高校同期の仲間で「大忘年会」なるものを行った。「アトリエ」と呼ばれる仲間の一人の自宅に十数名が集まり、飲んで食べて騒いだ。

ある友人は新潟限定で30種の酒の飲み比べセットを差し入れてくれた。私は酔ってカメラを置き忘れたので写真をアップできない。その代わりに文字を並べて表現してみよう。ダンボール箱の中に次のように5掛ける6=30個のカップ酒がずらり並べられていたのだ。

○ ○ ○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○ ○ ○

しかしこれだと感じが出ないな。文字を置き換えてみよう。

酒 酒 酒 酒 酒 酒
酒 酒 酒 酒 酒 酒
酒 酒 酒 酒 酒 酒
酒 酒 酒 酒 酒 酒
酒 酒 酒 酒 酒 酒

これでどうだ!しかしこれは不正確だ。カップ酒を上から見ても酒は見えない。見えるのはアルミの蓋だけだ。だから正しくは次のようでなければならない。

蓋 蓋 蓋 蓋 蓋 蓋
蓋 蓋 蓋 蓋 蓋 蓋
蓋 蓋 蓋 蓋 蓋 蓋
蓋 蓋 蓋 蓋 蓋 蓋
蓋 蓋 蓋 蓋 蓋 蓋

これでもダメなら、もっと正確に記そう。

カッ  カッ  カッ  カッ  カッ  カッ
プ酒 プ酒 プ酒 プ酒 プ酒 プ酒
カッ  カッ  カッ  カッ  カッ  カッ
プ酒 プ酒 プ酒 プ酒 プ酒 プ酒
カッ  カッ  カッ  カッ  カッ  カッ
プ酒 プ酒 プ酒 プ酒 プ酒 プ酒
カッ  カッ  カッ  カッ  カッ  カッ
プ酒 プ酒 プ酒 プ酒 プ酒 プ酒
カッ  カッ  カッ  カッ  カッ  カッ
プ酒 プ酒 プ酒 プ酒 プ酒 プ酒

あまり文字で遊ぶと「もっとマジメにやれ」と怒られそうだからこの辺でやめよう。

集まったメンバーは、IT企業の社長、不動産業の社長、通訳者、俳人、トーンチャイム演奏家など多彩だ。宴もたけなわの頃、テノール歌手とピアニストの妻(仮名ジョアンナ)が到着し、歌が披露された。

「大忘年会」の名に恥じない充実した会合だった。でも疲れた。

2010年12月19日 (日)

横浜西洋館:路上観察

2010年12月12日(日〉
「かつての少年少女探検隊」(略称KST)が訪れた横浜山手の西洋館には路上観察のターゲットも多数存在した。

KSTメンバーが待ち合わせ、探検の起点としたのは「横浜市イギリス館」。サロンコンサートで使わせてもらったりしてお世話になっている。その玄関外には「自然が造形したクリスマスツリー」が輝いている。

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その下に視線を移すと、そこには赤のアクセントカラーが眩しいレリーフ作品があった。

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「エリスマン邸」には「クリスマスツリーの骨格標本」がある。この異様な美しさの秘密は何だ?私はなぜかチャールズ・デムスの絵画作品「マイ・エジプト」を想いだした。あまり似てはいないのだが・・・。

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路上観察に必須なのはマンホールの蓋。「YOKOHAMA」の文字がくっきり浮き出て、ベイ・ブリッジを盛り立てている。それにしてもフラッシュの反射が写り込むなど、相変わらず私は写真が下手だなあ。

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そして「山手68番館」付近にあるこの石碑。彫られた文字は風雨に晒されるうちに解読困難になってくる。そしてとうとう読めなくなる。さらに年月が経過すると、人々はこれが石碑であったことすら忘れ去っている。

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人間が残そうとする文化の痕跡を自然は容赦なく検閲し、破棄してゆく。エコというのは、自然を大切にするというより、人類が大自然の絶大なる力にようやく気付き、その前にひれ伏してこれまでの非礼を詫びているように思えてきた。これを自然崇拝というのか。現代社会は、大昔とは異なるアニミズムを産み出し始めているようだ。

2010年12月17日 (金)

高瀬省三・石橋聖肖展

2010年12月17日(金)
「高瀬省三・石橋聖肖展」(平塚市美術館)に行った。チラシはA3二つ折リで高瀬、石橋それぞれが表と裏の2ぺージで紹介されている。

本来の私の好みに合っているのは石橋聖肖(まさのり)の作品だ。チラシ表紙に採用されたのは「丘」。山の周囲を螺旋状に取り巻くように階段や道が設けられ、頂上に建造物が置かれたタイプの彫刻作品は魅力でいっぱいだ。

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これに似たタイプの作品としては「国展」で観た菊池伸治の「彼の居場所」や東京画廊で観た杉山功の「神居・SANTUARIO」シリーズなどがある。いずれも素晴らしいが、石橋の場合は彫金ならではのずっしりした質感が好ましい。

チラシの裏の右上に紹介された「水恋」は構成美と幻想という私が最も好む二つの特質を併せ持った作品だ。桟橋を支え海底まで達している多数の支柱が並ぶことにより、心地よいリズムが生まれる。そこにはバッハの音楽のような構成感がある。それと同時に、人の気配がない桟橋に繋がれた小舟と釣り小屋が何とも言えない心象風景を形作っている。

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チラシ裏の左上に紹介された「机上舷想」もまた好きになった作品だ。第一に名前がいい。海から帰った主人が向かうデスクの上に船が乗っている。模型にしては大きすぎ、本物にしては小さすぎる。この中途半端な大きさに眩惑されたら、もう石橋の術中に嵌ってしまっているのだろう。「舷想」は「舷窓」と「幻想」とを掛け合わせた異端児なのであろう。

他には「絵画的空間考察」や「もっと遠く、より近く」が面白いと思った。

石橋に対して、展覧会場に来るまでは高瀬省三はあまりピンと来なかった。チラシ表の「午後の魂 男」を見ても、人間の手が木の枝になり、頭には貝を抱いているという外見上の面白さ以上の内容が見えなかったのだ。

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ところが会場で直接作品を観たら、高瀬作品から強い印象を受けた。チラシ裏の右上に紹介された「海の音」は窓枠に女性が腰掛けている姿を現しているが、会場ではその全体がすっぽりと黒い箱の中に納められていた。箱の正面の開口部から覗き込んで観たその作品は、「コーネルの箱」のような妖気を放っていた。コーネルと異なるのは、内容が実にシンプルだという点だ。シンプルさは静けさにつながる。この作品は静かな独自の世界を作っていた。

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チラシ裏の右の真ん中で紹介された「古代魚もしくはベンチ」は流木を利用した高瀬らしい作品だ。一見、流木にほとんど手を加えず、足を付け足した程度の加工しか施していないように見える。しかし全体のバランスや構成には鋭いセンスを感じる。

他には「海の卵」や「本」などが好ましい作品だった。石橋、高瀬ともにまたいつかまとまった形で作品を観たいと思う。有意義な展覧会だった。

マラト・シェミウノフ個展

2010年12月17日(金)
「マラト・シェミウノフ個展」(ギャラリーT:藤沢市片瀬海岸)に、パフォーマンス開催日に合わせて行った。

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マラト・シェミウノフはレニングラード国立バレエの男性ソリストの一人だが絵も達者だ。今回はシェミウノフが描いた絵画の展示とダンス・パフォーマンスを味わうことができた。

スクリーン代わりに使われた壁面には抽象的な模様がぐるぐる動き回り、シェミウノフはそれに合わせてパフォーマンスを繰り広げた。まるで「動画とのコラボレーション」という感じだった。

パフォーマンスの後、シェミウノフは絵画作品を1点づつ解説した後、自ら壁面に釘を打ちつけて作品を掲示していった。これも一種のパフォーマンスだったかもしれないが、好ましいやり方だと思った。

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パフォーマンスは来場者のほんの2,3メートル前で観ることができたのだから贅沢なものだ。しかも入場無料、しかもシェミウノフ自身による作品解説付き、しかもワイン、シャンパン、お菓子のふるまいあり、しかも写真入りミニパネルのお土産付きというのだから、これは来られなかった人に申し訳ない。そもそもこんなスターダンサーが、小さな町に来て気さくにダンスを演じてくれるなんて思いもしなかった。

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こんな素晴らしい企画が成立したのは、ギャラリーTとその関係者が誠意ある働きかけと対応を続けたお陰だと思う。一方、シェミウノフとしても副業である絵画制作を人に認めてもらいたいという気持があってのことだろうと推測する。お疲れ様でした。

横浜西洋館のクリスマス

2010年12月12日(日)
横浜山手西洋館8館で同時開催された「世界のクリスマス2010」に行った。妻(仮名ジョアンナ)を含む「かつての少年少女探検隊」(略称KST)10名ご一行様だ。

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昨年は強烈な印象を残す現代アートが観られたが、今年はどの館も常識の範囲を超えない飾りつけで地味な感じだった。玄人には受けるかもしれないが、私のような素人は昨年の「逸脱した」作品群のほうが面白いと思った。これは一つの流れなのだろうか。

その中で異彩を放っていたのは「ブラフ18番館」で観たテーブルセッティングだ。シンプルな中に清楚な美しさが際立つ。

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同館のスタッフが、メタルを活用したエコというような説明があった。これは金属と自然保全という一見相反するものを調和させようという試みだから、その具現化はたいへん難しいと思った。結果的にエコに繋がっていたかどうかは判別し難かったが、クールな美を醸し出すことは成功していたと思う。

そういう目で同館の他の飾りつけを見ると、なるほどメタルという主題で一本筋が通っているなと思った。

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これに対し「ベーリック・ホール」(フィンランド特集)では面白い有機的な形状が見られた。「パームルーム」に設営された海底を思わせるオブジェ群が目を引き付ける。

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鮮やかなタピスリーもあり多彩な演出を見せている。

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そうかと思うと、巨大な松ぼっくりをそのままクリスマスの飾りに活用する智恵も働いている。都会的なセンスと大自然とが溶け合っている。北欧ならではの味わいだ。

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このように、今回は地味な中にも、探すと興味深いものが多かった。西洋館8館をまわり、元町でウィンドウショッピングを楽しんだ後はお待ちかねの時間。ビールが美味しかったなあ。

2010年12月11日 (土)

盲導犬チャリティー・コンサート

2010年12月11日(金)
「アンサンブル アスコルタ チャリティー・コンサート」(鎌倉芸術館 小ホール)を裏方として手伝った。日本盲導犬協会を支援するための催しだ。

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プログラムには二つ折りした線の跡が付き、全体にしわくちゃになっている。これは裏方仕事のために折りたたんでポケットに入れたからだよ。

妻(仮名ジョアンナ)が出演し、私は裏方だったので何も書けない。ただ前半の「若い芽のコンサート」に出演した小学生から高校生までの「将来の一流演奏家」の出来が素晴らしかったことを記しておこう。

2010年12月 8日 (水)

成城さくらさくギャラリー開廊一周年記念 秀作展

2010年12月7日(火)
「開廊一周年記念 秀作展」(成城さくらさくギャラリー)に行った。

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まずはギャラリーの外に設置された岩崎幸之助の「太陰暦」に一礼。これは同ギャラリーを訪れた時の一種の儀式だ。

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チラシの上部に使われたヴラマンクについて、もし「好きか」と聞かれたら「いやあ、あまり好きではないんだが、畏怖する」と答えるだろう。このような厚塗りで荒々しいタッチの絵画は本来好まないのだが、それを上回る迫力をヴラマンクの作品は有している。

同じくチラシの中ほどに使われた竹内浩一の「蝶とはねる」は穏やかな表情をしている。画廊店主の青山氏によると、一般的に描かれた猿は怖い顔になることが多いのだそうだ。それが竹内浩一にかかると、柔和なおとなしい顔になっていると説明してくれた。なるほど、そういう意味で個性ある画家だと知った。

この画廊に来ると、毎回美術に関する造詣が深まってゆく感じがする。課外授業を受けているようなものだ。いつもありがとうございます。

2010年12月 6日 (月)

第14回 アラベスク コンサート

2010年12月5日(日)
第14回 アラベスク コンサート「宇宙(そら)~果てしない未来へ~」(南大沢文化会館 主ホール)に行った。

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楽しいコンサートだ。私はこれで3回目だがリピーターだと思っている。一つのコンサートが終ると「来年もぜひ来たいなあ」という気持になるのだ。アラベスク コンサートの魅力はどこにあるのか?

私は過去の記事で次のような事を書いた:
1)個人の個性とユニットの個性
出演者一人一人が個性あふれる演奏をすると同時に、複数メンバーによるユニットも個性を出している。
2)前回比較
演奏者の成長(前回からのスキルアップ)を共に喜ぶとともに、前回と異なる味付けを探し当てる楽しみがある。
3)ナレーションが活躍する独特の構成
曲と曲の間、椅子・譜面台などをセッティングする。その時間をナレーションにより楽しいひとときにしてしまう。

しかし上記の3つは、それなりに準備すれば形だけでも真似することは可能だと思う。従ってこれらの要因だけがアラベスク コンサートの魅力を支えているのではないと考える。ではそれ以外の決定的要因はあるのか?

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今回、アラベスク コンサートの企画担当♪和田冨士子と話す機会があった。その会話から得た情報により、魅力付けの根源となっているのは入念な企画と時間をかけた準備ではないか、という結論に達した。

◆準備スケジュール
アラベスク コンサートの準備スケジュールがどうなっているか聞いてみた。すると、一つのコンサートの時期に翌年の企画が始まるというサイクルだとわかった。

そのスケジュールをブレイクダウンしてみる(記憶があいまいで、時期に関しては多少前後しているかもしれません。)コンサートは12月頃に行われる。終演後、企画担当は翌年の中心テーマを練り、年明け頃に発表する。各メンバーはそれを踏まえて選曲し、夏頃までに決定する。するとこんどはナレーション担当♪宮本美知枝(「女優さん」というニックネーム)がナレーション作りを開始する。

◆ナレーション作り
夏頃から12月まではだいぶ時間があるじゃないか、と言うなかれ。宮本美知枝はメインテーマと曲目の両方に関連した話題を探す。インターネット、図書館を利用するだけでなく、エピソードに関連した土地を訪ねるという事までしている。そしていくつかの話を作って、それらをふるいにかけて最終的な原稿に落とし込むという作業を行う。レーション作りにはこんなに時間と労力をかけているのだ。

◆練習
そして演奏者は練習に取り掛かる。アラベスクはプロ・アマ混成部隊である。一般的にはアマチュアはプロと比べて力量が劣るかもしれない。でも逆に、招いたプロのゲストに失礼のないように、一生懸命がんばるというのだ。その研鑽の成果として、世界の一流プレイヤーと比べたら劣るかもしれないが、コンサート全体の品格を決して損なわないレベルを保つのである。

招いたプロはバリトンの♪二宮周平。明瞭な発声で堂々と歌ったので迫力があった。ソプラノの♪柳田るり子とのデュエット(ヴェルディ作曲 歌劇「椿姫」第2幕より「天使のように清らかな姫を」)は拍手喝采だった。

フルートの♪浅田明美と♪折田緑による「コンチェルト・デュエット」では二人一緒に速いパッセージを奏する箇所があるが、ピッタリ合っていた。厳しい練習の成果だったのだろう。

◆照明
さらにコンサートの演出で欠かせないのが照明。今回は「宇宙(そら)」というメインテーマに合わせ、冒頭と最後の背景には星がきらめく夜空が映し出され、観客を魅了した。

♪佐々木真美子と♪佐藤順子の息の合ったギターのデュエットによって演奏された「ローズ」の背景はその題名とコラボさせたピンク色。このような色彩の効果もコンサートの楽しさを深めていた。

◆サブテーマ
今回は「宇宙(そら)」がメインテーマだが、それと共にサブテーマも考えられている。今年はシューマンとショパンのメモリアルイヤーだったので、ピアニストの♪升谷奈保はシューマンの「幻想小曲集」、♪今野(今野)恵子はショパンの「ノクターン13番」を弾くことにより、「メモリアルイヤー」というサブテーマを実現させていた。

以上のような「背後に隠された努力」のベースに乗ってアラベスク コンサートは開演される。ここでもう一度過去に私が書いた魅力の理由を並べてみよう。
1)個人の個性とユニットの個性
2)前回比較
3)ナレーションが活躍する独特の構成

こうして、あらためて3つのポイントを眺めてみると、これらが表面的なことではなく、厚みを持って迫ってくる感じがする。そうか、アラベスクの魅力の根源はこういうところにあったのか、と何となく核心に近づいたと思った。

今回の記事では企画面の充実に焦点を当てたため、演奏者と曲目に関し網羅的にコメントすることはできなかった。ご容赦のほど。

2010年12月 5日 (日)

鋸山:路上観察

2010年11月28日(日)
道あるところに路上観察のネタあり。道なきところにも路上観察のネタあり。鋸山とその周辺にも多くの路上観察ネタが転がっていた。

東京湾フェリーにはこのようなお洒落な物がある。緑に塗られた甲板と補色関係を形成する赤い栓。そして背後の海の青。海の風景を仕切る白い手すり。

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これは「赤地に赤の楕円」というマレーヴィチの作品?

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陸に上がると定番はマンホールの蓋。教祖は林丈二さん。金谷はハシゴ車のデザインだった。石切場で活躍するからだろうか。それともこれは消防車?でも石の町だから火事は少なそうに思えるが・・・。

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火事を消す水を汲む所は井戸。さすが石の町・金谷だけあって、古井戸の蓋も石だ。

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水不足が怖いので、「根性植物」は排水管に陣取る。

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これは鋸山で切り出した石を通すために石を割って造った切通し。

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仏像群を守る柵に架けられたこの箱には「浄財」と書かれている。これを英語に訳すと「マネー・ロンダリング」になる???

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この2つの看板、どこかしっくりこない。エサはサルにもトンビにも与えてはいけないらしい。でも、食べ物や荷物に襲い掛かるのはトンビだけらしい。そうかサルは襲って来ないんだ・・・。

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看板多しとも、極めつけはこの看板。「宇宙人無数」だと?NASAの重大発表を待たずとも、宇宙人はこの地に既に棲息していたのだ!

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鋸山を下りてたどり着いたJR保田(ほた)駅。その裏手の広場に設置された何の変哲もない4つのベンチ。でもその1つがソッポを向いている。全部揃って同じ方向を向かせると安定感があるかわりに硬直して動きが無くなるから、この方が面白い。これぞ環境のアートだ。

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2010年12月 4日 (土)

鋸山:石の刻道

2010年11月28日(日)
金谷港から鋸山登山道に向かう路上には「石の刻道」と総称される房州石で作られた彫刻が点々と置かれている。これはその起点となる作品で「種」と名付けられている。

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これらは「房州石を使って町の歴史や学生たちの思いを伝える石のオブジェを24体作り町の中を回遊できるようにしよう」という趣旨のもとに発足した「さぁ行こうプロジェクト」という活動により生まれた作品だ。制作したのは北海道出身のアート専攻学生・及川千春と郡司和美の2人だ。

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現在その数は32体に増えているらしいが、今回は鋸山ハイキングが主たる目的だったので全部を観ることは出来なかった。次回来たときは全部制覇したい。

種から出来るのは実。それを味見すると「あじ実」という作品が生まれる。

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栄養のバランスのためにはたんぱく質も採らなければ。そこで「魚」。どうって事ないじゃないか、と思うなかれ。この作品は魚屋さんの前に置かれているのだ。普通の作品とインスタレーションの中間的な作品だ。

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そのノリでガソリンスタンド脇に置かれたのが「タイヤじゃないよ」。よし、その調子。

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影が出来るのは太陽があるから。日差しは「あっ太かい陽」。言葉の遊びが心地よいリズムを奏でている。ハイク仲間を待たせてはいけないので、あわてて撮ったら自分の影が邪魔になってしまった。

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空が私に気を遣い、影が出来ないようにと「雲」を出した。

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石で雲の感触を出すのは難しいだろうなあ。しかし房州石ってどんな感触なんだろう?それを知りたければ「たっちみー」と呼びかけているこの作品に触るとよいかも。

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触ったら情が移って「想い」が深まる。

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そして愛が芽生え、「ふたりかい」の関係に発展する。

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結婚して住むのは「家」。

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そして二人で「明日を創る」。いいねえ。

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かくして「かつての少年少女探検隊」(略称KST)は神様の住む山「カミヤマ」を目指すのであった。

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鋸山:三大奇観

2010年11月28日(日)
1週間前、内房の「鋸山」に行った。私は文章表現が下手なので、その奇観については「わーすごい」としか言いようがない。鋸山とその周辺には路上観察の対象も多くあり、構想がまとまったら記事を書くつもりだが、とりあえずは代表的な景色だけ並べておこう。

まずは「日本寺」の「北口管理所」を入って最初に目にする「百尺観音」。

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そして「山頂展望台」の「地獄のぞき」。

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最後は「東口管理所」付近に鎮座する「大仏」。

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ねっ、すごいでしょ?今回は以上おわり。

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