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2010年9月 6日 (月)

マン・レイ展

2010年9月6日(月)
「マン・レイ展 知られざる創作の秘密」(国立新美術館)に行った。月曜日に開館してくれるのはありがたい。

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今回の成果は、これまであまり観る機会が無かった初期のリトグラフ作品に触れることができた点だ。例えば♪「伝説<回転扉より>」。ミロやクレーの絵のような楽しさに溢れている。マン・レイの絵画作品はあまり高く評価されなかったようだが、この作品を観る限り、なかなか洒落たセンスではないか。

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もう一つ面白かったのは♪「障害物」。洋服ハンガーに2つのハンガーを掛け、その2つのハンガーにそれぞれ2つづつハンガーを掛け・・・と続けると、最下段のハンガーは2,4,8,16,32というように増えていくという説明がまことしやかに書かれている。そのくだらなさが笑える。

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これら2作品が面白かったので絵葉書を購入。そのうち1枚は音楽ライターのハシビロコウさんに送ることにした。

その他の作品も感じ入るものが多かった。そのいくつかにコメントを添えよう。
♪「論理が暗殺する」(リトグラフ):文字のコンポジションといった感じ。バウハウスのセンスを想起させる。
♪「シンフォニー」(ゼラチン・シルバー・プリント):抽象構成が楽しい。撮影の対象物は何なんだろう?
♪「回転扉」(青いパンのついた冊子、ミクストメディア):前出「伝説<回転扉より>」を含む素敵な冊子だ。
♪「ダリウス・ミョー」および「エリック・サティ」(ゼラチン・シルバー・プリント):著名な作曲家を撮影してくれて嬉しい。
♪「孤独」(両手を象ったブロンズ):ロダンの類似の作品「カテドラル」を思い出した。構成的なバランスではロダンがはるかに上だが、マン・レイの作品には独自の味わいがある。
♪「光の担い手、イレーヌのために」(リトグラフ):ピカソの素描のようなタッチが印象的だった。
♪「運」(リトグラフ):キリコの形而上絵画のようなたたずまいが面白かった。
♪「セルフ・ポートレイト、ハリウッド」(ゼラチン・シルバー・プリント):魚眼レンズで撮影したような球状の表現は、エッシャーやアンソニー・グリーンの作品に共通している。誰が誰を真似た、というような事は言及しないが。
♪「イサム・ノグチ」(ゼラチン・シルバー・プリント):二人は接点があったんだ。嬉しいなあ。
♪無題「マグネット式チェスの駒」(インクで書かれた書面):「磁石付きのチェス盤と駒を使うと、揺れる場所(飛行機、電車、船などの中)でも駒が散らばる恐れなく遊べますよ」と大真面目で宣伝しているところが可愛い。でも当時は画期的だったのかな?
♪「窓」(油彩/カンヴァス):数少ない油彩作品。クレーのような趣があってなかなか楽しい。
♪「こんばんは、マン・レイ」(リトグラフ):洒脱で粋な感じだ。

このようにマン・レイの様々な作品を味わうことができて良かった。入場料1,500円は高いが、まあ元を取ったかな。

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コメント

こんにちは。絵はがきを送っていただき、光栄というか恐縮です。確かに、「伝説<回転扉より>」という作品は、絵はがきの文面に触れられていたように、「ミロだよ」と見せられてしまえば、素直にそう受け取ってしまいそうなほど、近いものがありますね。
この作品、1915年の作ということが興味深いです。マン・レイはダダの作家と紹介されますが、トリスタン・ツァラがダダイズム宣言をするのは翌年の1916年ですから、それにニューヨーク時代のもので、まだパリでそうした作家たちにも出会っていませんから、よく知られたマン・レイ的な感触がないということはあるでしょう。でも、この色彩感覚はビンビンに才能が出てますね。
それに、ミロはまだ22歳でバルセロナの美術学校の学生でしたし、もちろんまだパリに出ていません、だから、ミロの影響も受けていないということです。
マン・レイはアメリカ生まれで、ダダやシュールの根源にある第一次世界大戦の影響を直に受けていませんし、でも、パリに行った、ということもこの作品からよくわかります。フランス的なセンスを持っていたように感じられるからです。
この作品を見ていると、マン・レイは今日ではダダの代表的な作家として数えられますが、当時、ダダの中心的人物でもリーダー格でもなかった、そうした時代のファッションに影響を受ける前に、自分のパーソナリティをしっかり持っていた、ずっとマン・レイであり続けられた本質的な創作の才能を感じました。ありがとう。ハシビロコウ

結局「ブレない」というのは強さですね。あの激動の時代でマン・レイは素敵なセンスがぶれなかった。ハシビロコウさんのおっしゃる通り、一見誰かの作品に似ていても、それはマン・レイ自身の個性だったということですね。認識を新たにできました。

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