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2010年9月23日 (木)

青木瞳「妄想の毛皮」

2010年9月23日(木)
青木瞳「妄想の毛皮」(Gllery Jin Projects:谷中)に行った。これは案内葉書に採用された個展名称と同じ「妄想の毛皮」という作品。

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青木瞳の作品を初めて観たのは昨年暮れ「Xmasアートフェスタ」に参画したギャラリー坂巻(京橋)での個展だった。その時、青木作品の緻密な描写と幻想性が眼に焼きついたが、今回はその印象が全く薄れていなかった。

海中の動植物と思われる有機体が多様に組み合わさって大きな構造体を形成している。よく見るとそれらの中に人間の女性と思われる形態も潜んでいる。二本の足はまた朝鮮人参のようでもある。いや人間と植物の中間という感じだ。

描かれている対象を名前を挙げてゆくと、グロテスクな幻想絵画のようでもある。しかし青木作品はモノクロームで描かれているからだろうか、不思議な品格が備わっている。それが作品の価値を高めていると思う。

青木瞳は今後ますます「品格ある幻想性」を掘り下げてゆくだろう、と期待している。

日本伝統工芸展

2010年9月23日(木)
「第57回 日本伝統工芸展」(三越日本橋本店)に行った。悪天候で急に寒くなったのできっと空いているだろうと読みを入れたのだ。しかしそれでも来場者が多かった。優秀な作品を多数観られて、しかも入場無料なのだから混みあうのは当然かもしれない。

出品作品一覧をゲットして、一つ一つ観ながら自分の趣味に合う作品に印を付けていった。そして最後に受賞作品と私の好んだ作品との一致・不一致状況をみた。するとあまり相関関係が強くないことがわかった。要するに私はまだ鑑賞眼が確立していないのだろう。

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受賞作品が私の好みとも一致したものを記録しておこう。まずは上のチラシ表に掲載された作品から:
♪陶芸:吉田幸央「金襴手彩色皿」(きんらんでさいしきさら)<高松宮記念賞>
♪漆芸:山岸一男 漆象嵌盤「涼蔭」(うるしぞうがんばん・りょういん)<朝日新聞社賞>

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次にチラシ裏面に掲載された作品より:
♪金工:後藤明良 黄銅四方花器「光彩」(おうどうよほうかき・こうさい)<日本工芸会新人賞>

この展覧会は毎回楽しみだ。

2010年9月21日 (火)

宮前平の散策とフランス料理

2010年9月20日(月)
「ジャパン・クラシカ・オーケストラ第3回演奏会」の後、宮前平駅周辺を散策した。会食まであまり時間が無かったので、レストランから近い「土橋1丁目公園」に行く。この年季が入った看板を見よ。

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ゴミ捨てを戒める看板につる草がまとわりついている。その先端をよく見ると、「いかれたゴミ」という語句が目に飛び込んで来た。「いかれたゴミ」とは何ぞや?こう暑いとゴミまで熱中症になるのか?

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「あそんだら・手をあらってね」は「五・七」調だ。小学校の生徒を伴ってこの公園に来たなら、これに続く5文字を補って俳句か川柳を完成させる課題を与えよう。そして「あそんだら・手をあらってね・やくそくだ」などの素直な作品が生まれたら、迷わず褒めてやろう。

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それに対し、オトナ達はすぐ「麻生ったら・手を洗わずに・足洗う」などと茶化してしまう。悪い癖だ。世の大人達は子供たちの純真さにもっと学ぶ必要がある。

その右下には「砂場に・ペットを・入れないで」とあるが、これは「四・四・五」の調子で、韻律を感じさせる。この同類を探すという課題も面白いかもしれない。回答例として、「生麦・生米・生卵」を挙げておこう。新人アナウンサーの訓練教材になるかもしれない。

公園には時計がある。高い位置に架けられているので、時刻を見るためには上を向く必要がある。すると木漏れ日が目に入る。人々はそれにより、太陽の恵みを思い出し、かつ強い日差しから守ってくれる植物の惠みも再認識する。これが時計を設置する効果なのだ。何という教育効果であろうか!

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切り株に置き去られたワンカップ酒。その向こうでは「かつての子供達」が子供のようにはしゃいでいる。その様子を上から時計が見ており、左のほうには「火気厳禁」の看板もある。この「かつての子供達」は悪気で酒を置いたのではない。遊びに夢中で、つい持ってゆくことを忘れたのだ。

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ワンカップ酒と「かつての子供達」の間に立ちはだかっているのは「ブランコ」。大学の研究室で、揺れ動く板の上の人形を自動制御して倒れないようにする研究を手がけた友人がいた。彼はその装置を白く塗り「エル・コルンピオ・ブランコ」と名付けた。「白いブランコ」という意味である。すると何人かの同僚が、スペイン語で「白い」は「コルンピオ」と言うのか、と見事に引っかかる。このネタは面白かったのでその後も時々使わせてもらった。

そしていよいよ最終目的地のレストラン「茶寮・游旬」(さりょう・ゆうしゅん)へ。看板には「フランス料理」と書かれているが、入口は日本的なたたずまいである。

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テーブルに案内されるまでの待ち時間はお茶のサービスが。なんと本格的に抹茶をたててくれるとは。

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この後のディナーがあまりにも素晴らしかったので、写真を撮ることをすっかり忘れてしまった。宮前平の夜はふけてゆく・・・。

「植木の里」散策もどき

2010年9月20日(月)

川崎市宮前区の「植木の里めぐり」を試みた。しかし出発が遅くなり、中途半端な時間になってしまった。その一端だけでも味わおうと、まずは東急田園都市線「鷺沼」駅で降り、信号を渡ったところにある総合案内板を見る。

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するとパンフレットが駅で入手できると書いてあったので、駅に戻って1部ゲット。このような無駄な動きをしていたら計画性のなさがバレバレだ(苦笑)。

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さらに無計画性に追い討ちをかけたのが昼メシ。「そういえばお腹が空いてきたな」と思い始めたら最後、散策は後回しで店を探す。駅周辺を10分ぐらい徘徊してやっと探し出したのが「駿河鮨」。これが大当たりだった。拙ブログはグルメ専門ではないので詳細データは書かないが、美味しくて・安くて・店の人の感じが良いという三位一体状態だったのだ。

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ただでさえ出遅れたのに、偶然めぐり合った美味しい店でゆっくりしたおかげで、散策の開始時間がさらに遅くなった。まあいいやと駅前から南下してゆく。すると植木の展示場と思われる所に来た。そう、今日のキーワードは植木だ。

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マンションの玄関まわりも豊かな植え込みで囲まれている。

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ここも。看板が無ければ医院とはわからないほど緑が多い。

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暦の上では秋だというのに、夏のシンボルが頑張っているし・・・。

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この「白詰草橋」の向こうも緑でいっぱいだが、そこは川なんだけどなあ。

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そして橋に架けられたレリーフも草花を題材にしている。

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下を向けば、マンホールの蓋もやはり草花がモチーフとなっている。

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「まっしぐら」に頑張るのは選挙なのか、植木栽培なのか・・・。

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なんたって「生産緑地地区」だからなあ。

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この地域の「根性植物」は礼儀正しい。よそでは排水口に群がる植物が、ここでは排水口を塞がないようにと気を遣い、細い隙間に健気に生えている。

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ジャパン・クラシカ・オーケストラ 第3回演奏会

2010年9月20日(月)
「ジャパン・クラシカ・オーケストラ 第3回演奏会」(宮前市民館 大ホール)に行った。1週間前に同じ曲を同じオーケストラが演奏した。その時の指揮はクラスメートの増田宏昭で会場はティアラこうとうだった。残念ながら増田宏昭の指揮は用事があって聴けなかったので、今回(ニーノ・レポーレ指揮)だけとなった。

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クラスメートのうち一人(仮称メビ君)だけが両方のコンサートに行った。彼は同じオーケストラで同じ4曲を、異なる指揮者で聴き比べするという贅沢ができたのだ。

メビ君によると、増田宏昭は全身を使ったダイナミックな指揮でテンポも速かったそうだ。それに対してニーノ・レポーレは手先だけの動きでテンポが遅く、対照的だったとのこと。メビ君は以上のことから増田宏昭のほうが好ましい指揮だと言った。テンポについては、主としてベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」に関する感想だ。

一方、今回のニーノ・レポーレの指揮だけを聴いた私ともう一人のクラスメート(仮称ベル君)はテンポがゆったりなのは良いことではないかという意見で一致した。ただし両者を聴き比べたわけではないから、比較論は言えない。

なおメビ君はニーノ・レポーレの指揮について、「英雄」の第2楽章(葬送行進曲)を増田宏昭より遅く演奏したのは、他の楽章とのコントラストを強調するためではなかったか、という意見を出した。他のクラスメートはなるほどと賛同。

またこれは作曲評論に近づくが、さらにもう一人のクラスメート(仮称マー君)は「英雄」の作りが複雑だなという印象を述べた。楽曲構成に凝った曲が好きな私は我が意を得たりだった。

いきなり脱線し、極論に走って恐縮だが、私はこの時代の交響曲ではブラームスの4曲とこの「英雄」を合わせた5曲を最も好む。個人的には「古典5大交響曲」と称したくなるのだ。ちなみにベートーヴェン本人は自作について「第九」が一番良い出来で、その次が「英雄」だと言っていたらしい。

クラスメートが集まると、それぞれの視点でユニークな意見が飛び出すので面白い。今後もコンサートに一緒に出かけ、楽しい議論を展開したい。

2010年9月19日 (日)

右近史江おしゃべりコンサート

2010年9月18日(土)
「右近史江おしゃべりコンサート」(横浜市栄区文化センター リリスホール)の裏方を担当した。残念ながら客席ではなく舞台の袖で聴いたわけだが、比較的ゆっくり演奏を聴くことができた。

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もともと演奏評は書けない・書かないというポリシーだし、妻(仮名ジョアンナ)が出演したのではなおさらだ。しかし今回は例外がある。

特別ゲスト♪藤田卓也(テノール)が素晴らしい演奏を披露してくれたので、その事をぜひ書きとめておきたかたのだ。右近史江との共演「夕鶴」(團伊玖磨作曲)は、はまり役という印象。「千の風になって」はお世辞でなく紅白より良かった。特に後半、高音のピアニシモで悲しげに歌ったところでは、涙をうるわせた観客も多かったのではないだろうか。

マリンバの♪中村梓は相変わらず達者な演奏技術に加え、今回は身体的パフォーマンスもより豊かになっていた。それがピアソラ作曲「リベルタンゴ」などは、これまでの「清楚な演奏」にダイナミズムと妖艶さが織り交ぜられていた。サラサーテ作曲「サパテアート」ではマレットをひっくり返して柄の先端部分で鍵盤を叩くという奏法が面白かった。これはオリジナル曲(ヴァイオリン独奏)のピチカートの音色を模倣したものだとか。今後の活躍がますます楽しみな演奏家だ。

そしてソプラノの♪右近史江は今回、特に「のびやかさ」を感じた。相方(藤田卓也)との相性の良さが演奏にも好影響を与えているのだろうか。「夕鶴」は前回聴いたときよりさらに真に迫る演技と歌唱で驚いた。サルトリ作曲「Time to say goodbye」では声がよく伸び、プログラムの最後を飾るに相応しい演奏だった。

ピアニストの二人は歌手二人とマリンバ奏者をよく支えていた。このコンサートシリーズは何度聴いても楽しい。

2010年9月15日 (水)

山手111番館アットホームコンサート

2010年9月11日(土)
「アットホーム コンサート ~ロベルト・シューマン」(横浜山手111番館)にトリオ・レヴリーのメンバーとしてチェロで出演した。利き酒会の前日だったのだが、記事をアップする順番が逆になった。

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いつものようにピアニスト「よいこ」が独奏で何曲か披露し、その後ピアノ三重奏の編成で演奏を続けた。曲目は上のプログラムの通り。シューマン生誕200年にあたる年なのでオール・シューマン・プログラムを組んだ。

「幻想小曲集」と「ペダルピアノのカノン風練習曲集」はあまり演奏される機会のない珍しい曲だと思う。そういう意味では意欲的な内容になっていたかな。

終演後、暑かったので会場近くの店に立ち寄りビールを飲んだ。その後「よいこ」は用事があるため打上げに参加できないという。そのためいつもの中華街ではなく、横浜駅周辺に移動して「じゅんちゃん」と居酒屋で一杯。浦霞も飲んだが、この銘柄が翌日の利き酒会につながっているとは夢にも思わなかった。

2010年9月13日 (月)

新たな利き酒会

2010年9月12日(日)
先日の利き酒会から1週間しか経ってないのに、もう次の利き酒会が行われた。

10月にリコーダー、チェンバロ、チェロでテレマンのソナタを演奏するコンサートがあり、その練習の目的で友人宅に集まった。当初は練習の後ちょっと一杯飲もうという軽めの話があったのだが、それが膨張してとうとう利き酒会にまで発展してしまったのだ。

今回のラインナップもすごいぞ:
♪浦霞 生酒 冷やおろし
♪轍(わだち)三年熟成
♪久保田 百寿
♪久保田 碧寿
♪久保田 翠寿

久保田のラインナップに珍しい轍と、名が知られた浦霞という組み合わせだ。これがまた難しかった。結論を言うと2問正解で100点満点では40点。でも過去を振り返ったら、だんだんと実力が向上してきたようだ。

オペラ歌手宅での初めて利き酒会なるものに参加したときは名誉の零点だった。そして前回は1問正解の20点。今回は2問正解の40点。要するに20点の等差数列を形作っていたのだ。これは嬉しい。ならば次回は3問正解の60点か。そしてその後2回で100点満点に達するのだ。(人はこれを取らぬ狸の皮算用と呼ぶ)。

二科展

2010年9月10日(金)
第96回記念「二科展」(国立新美術館)に行った。おなじみF君から招待券をまわしてもらったのだ。F君いつもありがとう。

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今回は忙しい中やっと観に行ったので、時間が足りず全部観ることはできなかった。誠に残念だが、絵画・彫刻は駆け足ながらも全作品を観ることができたのでよしとしなければならない。

それにしても膨大な出展数なので、一つ一つの作品に対してのコメントを記す余裕がない。目にとまった作者を記録するにとどめておこう。(以下、各部門の「速見表」の順)。*印はそれらの中でも印象が強かった作家。素晴らしい作品が多かったなかで、たまたま目についた植地貞夫作品の絵葉書を購入した。

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■絵画
【あ行】*會澤佐智子、青木洋子、*浅賀昌子、朝倉由美、安達均、渥美幸裕、*新井千鶴子、石井善一、石倉妙子、石黒厚子、石橋国夫、石本香織、伊藤よし子、井上邦男、今井ハル子、今村幸子、*岩田一男、岩田博、*植地貞夫(♪絵葉書購入)、上原さつき、臼井み江、内山則、江畑菊枝、大桑和子、太田京子、小川エリ、小川晉二、奥勇、尾崎功、織田清子、落合江美
【か行】香川猛、笠松睦旦、加持友子、加藤由喜子、蒲田宏、加覧裕子、河野悦子、川人和行、*城戸佐和子、*木戸征郎、*木下進、木村利加子、甲津久生、河野眸、古賀恵美子、小島恵美子、小島義男、五反田邦夫、小林優子、五味祥子
【さ行】坂井健児、坂口昭美、櫻井詩乃、*佐々木邦枝、佐々木源治、佐野明子、澤田秋子、篠原征子、嶋田敬子、清水幹男、*杉山重雄、鈴木桂子、鈴木真木子、須田美紀子、関口成夫、*関口省三
【た行】竹井英子、*田中とも惠、田中昌美、田中ルリ子、*田邊和子、田辺正明、*谷美津子、*田村一男、*塚本和美、津田佐千子、*筒井政子、*鶴岡義詮、寺崎陽子、徳弘あずさ、*友政光雄
【な行】中井史郎、中静江、中島薫、仲田惠子、中村ふく子、*中村光彦、永吉規公子、*西村理華子、野口睦幸、野村みそら
【は行】蜂須賀和子、*八田栄子、原木ジョージ、番場美和子、*樋口豊子、平尾泰子、深澤せつ子、深見まさ子、*冨士谷隆、文田哲雄
【ま行】前田芳和、前橋伸哉、*益子佳苗、*真島夏子、町田初惠、松尾進一郎、松口礼子、松田朝旭、光谷良一、南満喜子、三宅敦子、*向井實、森井るみ子
【や行】矢野兼三、山岸睦、*山崎さわ子、山下かじん、山田洋子、山中宣明、山梨雅勇、山本洋子、*吉金幸枝、吉田恵美子、吉田喜代子
【わ行】渡邉丞、*渡辺法子、渡邉仁美、渡邊百合子。

■彫刻
井辻勇樹、糸賀俊明、植村博、岡村謹史、金柱鎬、*媚山侑香、多羅間拓也、土屋賢次、土井満政、登坂秀雄、戸部晴朗、野上公平、長谷川聡、長谷川俊廣、服部多加志、藤沢惠、前田耕成、町川和司、安田明長

■デザイン
*杉本洋一、出水華代、*細松美佐子、松河哲男、*松橋ヒデ子、松本功

次回は時間をたっぷり取って、じっくり鑑賞したいものだ。

2010年9月 9日 (木)

石塚哲也・東川和正 二人展:設景

2010年9月9日(木)
「石塚哲也・東川和正 二人展~版画と作陶による佇まいの設え~設景」(art Truth:横浜・中華街の隣)の初日に行った。どちらの作家の作品も素晴らしかった。

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♪石塚哲也(いしづか てつや:版画)
まず予備知識なしでいきなりこの作品を観たら、人はどう思うだろうか?

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「加山又造だ」というのが一般的な反応ではなかろうか。しかし石塚哲也の作品は巨匠に負けない同等の輝きを持っている。だから高名作家に似ているという形容は失礼に当たる。その証拠に、次の作品を紹介しよう。どうだ!

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これは絵葉書をスキャンした画像なので迫力に欠けるとは思うが、実物は素晴らしい。石塚哲也の作品はなぜ光っているかという説明は難しい。構成、色彩など様々な点に長所があるのだろうけど、それらの総体的なものとして素晴らしいとしか言いようがない。一言でいうと「作家が持つ素晴らしいセンス」ということになるのだろう。

石塚哲也は、もともとデザイナーだったそうだ。その技術とセンスが、具象と抽象の中間で揺れ動くような作品に結実しているのだろう。

♪東川和正(うのかわ かずまさ:作陶)
名前の読み方が難しい作家だ。「うのかわ」と読める人は殆どいないだろう。奈良に生まれ、京都で学んだ陶芸一筋の作家・・・というようなありきたりの紹介をしても、東川の作品の魅力は伝えられない。

東川の作品には様々なタイプのものがあるが、どれも一見地味に見える。黒光りして、あまり奇抜な紋様は付けず、形もそんなに歪んだものは無い。しかし観ていると力を感じる。作品から何か放射されて観る人に向かって飛んでくる感じがするのだ。不思議だ。

東川の素晴らしさに具体的な裏付けが必要なら、アメリカのカリフォルニアで個展を開き、サンタ・クルーズ市の名誉市民として表彰されたと言えば良いだろうか。

この二人の作家は仲がよく、互いに尊敬し合っているそうだ。今回の展覧会はそのような背景もあり、最高のコラボレーションになっていたと思う。

2010年9月 6日 (月)

マン・レイ展

2010年9月6日(月)
「マン・レイ展 知られざる創作の秘密」(国立新美術館)に行った。月曜日に開館してくれるのはありがたい。

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今回の成果は、これまであまり観る機会が無かった初期のリトグラフ作品に触れることができた点だ。例えば♪「伝説<回転扉より>」。ミロやクレーの絵のような楽しさに溢れている。マン・レイの絵画作品はあまり高く評価されなかったようだが、この作品を観る限り、なかなか洒落たセンスではないか。

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もう一つ面白かったのは♪「障害物」。洋服ハンガーに2つのハンガーを掛け、その2つのハンガーにそれぞれ2つづつハンガーを掛け・・・と続けると、最下段のハンガーは2,4,8,16,32というように増えていくという説明がまことしやかに書かれている。そのくだらなさが笑える。

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これら2作品が面白かったので絵葉書を購入。そのうち1枚は音楽ライターのハシビロコウさんに送ることにした。

その他の作品も感じ入るものが多かった。そのいくつかにコメントを添えよう。
♪「論理が暗殺する」(リトグラフ):文字のコンポジションといった感じ。バウハウスのセンスを想起させる。
♪「シンフォニー」(ゼラチン・シルバー・プリント):抽象構成が楽しい。撮影の対象物は何なんだろう?
♪「回転扉」(青いパンのついた冊子、ミクストメディア):前出「伝説<回転扉より>」を含む素敵な冊子だ。
♪「ダリウス・ミョー」および「エリック・サティ」(ゼラチン・シルバー・プリント):著名な作曲家を撮影してくれて嬉しい。
♪「孤独」(両手を象ったブロンズ):ロダンの類似の作品「カテドラル」を思い出した。構成的なバランスではロダンがはるかに上だが、マン・レイの作品には独自の味わいがある。
♪「光の担い手、イレーヌのために」(リトグラフ):ピカソの素描のようなタッチが印象的だった。
♪「運」(リトグラフ):キリコの形而上絵画のようなたたずまいが面白かった。
♪「セルフ・ポートレイト、ハリウッド」(ゼラチン・シルバー・プリント):魚眼レンズで撮影したような球状の表現は、エッシャーやアンソニー・グリーンの作品に共通している。誰が誰を真似た、というような事は言及しないが。
♪「イサム・ノグチ」(ゼラチン・シルバー・プリント):二人は接点があったんだ。嬉しいなあ。
♪無題「マグネット式チェスの駒」(インクで書かれた書面):「磁石付きのチェス盤と駒を使うと、揺れる場所(飛行機、電車、船などの中)でも駒が散らばる恐れなく遊べますよ」と大真面目で宣伝しているところが可愛い。でも当時は画期的だったのかな?
♪「窓」(油彩/カンヴァス):数少ない油彩作品。クレーのような趣があってなかなか楽しい。
♪「こんばんは、マン・レイ」(リトグラフ):洒脱で粋な感じだ。

このようにマン・レイの様々な作品を味わうことができて良かった。入場料1,500円は高いが、まあ元を取ったかな。

利き酒会

2010年9月5日(日)
「利き酒会」なるものを企画してみた。場所は神奈川県内 某所の「アトリエXXX」と呼ばれる友人宅。(XXXはフランス語の素敵な言葉)。音楽、美術、文学など様々なアートを通じて交流するサロンのような場だ。

私は日本酒が飲めるようになったのは5年ほど前なので、まだわからない事が多い。そこで、自分の知識と見識を深めるために、逆に自分が講師になってショートレクチャーをしてみた。人に教えようとするためには、まず自分で勉強しなければならないからだ。

と言っても何も知らない状態だったので、拠り所を探した。そこで見つけたのがこの本。蝶谷初男著「決定版 日本酒がわかる本」(ちくま文庫)だ。

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早速教材作りに取り掛かる。この本の真似をして日本酒度と酸度の相関チャートを描いてみる。

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そして日本酒の分類表も真似して作る。さらに酒屋に行って、大分類に従ってそれぞれの代表選手を1本づつ購入。それらのデータを表に書き加える。日本酒は4種に大分類されるが、吟醸酒はさらに「アル添タイプ」と「純米タイプ」に細分類されるので、合計5分類として720mlボトルを5本購入した。合計ほぼ6千円。1本当たり平均1,200円だ。

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内訳は次のとおり:
♪普通酒:八海山 普通酒
♪本醸造酒:菊水の四段仕込み 本醸造
♪純米酒:浦霞 生一本 特別純米
♪吟醸酒(アル添):出羽桜 桜花 吟醸 生
♪吟醸酒(純米):上善如水 純米吟醸

そして紙コップにA、B、・・・Eの記号を記し、これら5種の酒をどれがどれだかわからないように注ぐ。これを当てっこするのだ。解答用紙まで用意した。1種当たり20点の配点で合計100点満点だ。

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結果は散々だった。参加した5人のうち最高点を獲得した友人(会社社長)が60点。私は第3位で20点(1種しか当たらなかった)。

先般オペラ歌手の自宅で行われた利き酒会では私が名誉の0点を獲得したが、それから勉強を重ねたはずだったにあまり上達していない。私はこの分野には向いてないのか(苦笑)。

今回特にトリッキーだったのは八海山 普通酒。普通酒なのに吟醸並みの香りとまろやかさで、みんな本当の吟醸酒2種との区別がつかずに戸惑っていたようだ。この5種から晩酌に呑むとしたらどれを選ぶか、という問いにみんな八海山 普通酒と言っていた。八海山おそるべし。私は宣伝料をもらっていません(笑)。

次回はまた違った方向で企画してみたい。同じ銘柄で異なる種類を呑みわけるというやり方はどうかな。例えば八海山も普通酒だけでなく、本醸造もあれば吟醸もある。八海山だけの利き酒というのも面白いかもしれない。

というわけで徒歩で帰宅。前回同じ場所から自宅まで、泥酔したために2時間かかった。今回は「利き酒会」というプレッシャーであまり酔いが回らず、1時間でたどり着いた。前回はよほどグルグル回ったんだろうなあ(笑)。

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