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2010年8月16日 (月)

西澤伊智朗陶展

「西澤伊智朗陶展 カンブリアのカンブリアたる理由(わけ)」(茨城県つくば美術館)に行った。

Photo

西澤さんの作品には2年前、そごう美術館で開催された「朝日陶芸展」で初めて接した。その時はあまり印象に残らなかった。でも複数の審査員が高い評価をしていたので、素人の私には良さがわからないのか、ということが気になっていた。

今回あらためて西澤さんの作品群を観たら、前回とは全く異なる強烈なインパクトを受けた。あえて一言で表すと「生命力」ということになるだろうか?内包されたエネルギーが外に向かって放出された瞬間のような、そんな感じだ。

「朝日陶芸展」では単一の展示だったが、今回は多くの作品が「群れ」を形成していた。そのほうが迫力が増すので訴求力も強くなるというのは事実だろう。作品群を見渡して「カンブリアたる理由」を感じ取り、その全体的な「勢い」の流れのなかで個々の作品を鑑賞すると、味わいが違ってくるわけだ。

こうして考えると、「朝日陶芸展」の審査員は単一作品でも、既にその背後にあるものを読み取っていたらしい。それが素人には理解できなかったに違いない。そういえば、個々の事象をそれだけ見るのではなく、前後関係という流れの中に位置付けてみると、より掘り下げた理解が得られる。これは、歴史などの学習で習い覚えたことだったはずだ。それを応用できるかどうかの違いなのかな。

西澤さんの制作でもう一つ印象深かったのは、「ポアンカレ予想」のようは数理的な題材を原初的な作陶で表現した点だ。数学・物理学の内容を表すとしたら、定規・コンパスできちんと線を引いて構成するという先入観がある。しかし西澤さんは土と格闘した跡そのままのような有機的形状でそれを表現していた。

ここで突然大好きな彫刻家ブランクーシを思い出した。ブランクーシの作品は数学的な抽象構成に向かっているようで、同時に原始的・即物的な仕上げを見せる。ちょっとそのような両面的な感じを西澤作品から受けたのだ。

今年、西澤さんは冬虫夏草など新たなシリーズも始められた。今後の作品の展開が楽しみだ。

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コメント

最終日にお会いできて嬉しかったです。展覧会も膨大な数を見ておられるだけあって、視線が違うなと感じました。私も陶芸だけでなく広く良い物を見るように心がけたいと思いました。たくさんお褒めの言葉をいただきましたが、さらに作り続けて宿題の答えが出るようにしたいと思っています。有り難うございました。

お会いできてよかったです。惰性で作らず、1作づつ取り組みなおすという姿勢は立派ですね。面倒で大変でしょうけど、それが作品に力を持たせていると思います。今後の作品にも期待します。ありがとうございました。

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