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先日「船をとりまくアール・デコ」の記事でカッサンドル作品の絵葉書が手に入らないと書いた。すると早速おなじみF君(私のアートの教育係)から「アトランティック号」のポスターと思われる絵葉書が届いた。
手紙は同封されていなかったが、F君は私に対する美術教育として次の無言のメッセージを込めたのではないかと推測する:
♪1.調査もしないでいい加減な事(カッサンドルの絵葉書が入手できないということ)を書くな。
♪2.「絵葉書の世界」がだいぶご無沙汰だ。そろそろ書け。<ジョヴァンニ注:確かに前回(その10:2007年10月)からなんと2年半も経過している!
それにしても、カッサンドルのポスターはどれもみな個性的で見事なデザインだ。この「アトランティック号」も例外ではない。
巨大客船が大胆にも長方形を基調に描かれている。舳先や煙突などが若干突き出てはいるが、船体のほとんどがこの長方形にすっぽり収められている形状は誠に新鮮だ。そして下方にはタグボートであろうか、小さな船が描かれている。船体こそ小さいが、煙突から出ている煙は画面を斜めに突っ切り、縦横主体の構図に動きを与えている。さらに下方に置かれた「アトランティック号」の文字は造形の一部として画面全体にマッチしている。
F君、ありがとう。もっと修行するね。
「総料理長 宇佐神 茂 料理の夕べ」(ホテルニューグランド:横浜)に行った。
宇佐神が厚生労働大臣賞を受けた記念の企画ということで、友人グループ(仮称「今も美男美女」)で応援団を結成したのだ。
料理の分野は知らない事が多い。そこでこの受賞がどれほど素晴らしいものかを体感しようと思い、ネットでいろいろ調べてみた。すると受賞者数は「制度功労」2名、「業務功労」と73名であることがわかった。宇佐神は「業務功労」で受賞したこの日本全国73名の中に入ったわけである。
宇佐神は「関東総合」の部12名の中に名前があった。地域分類が正確にはわからなかったが、関東地方が「東京」、「北関東」、「関東総合」の3地域に分類されていたので、「関東総合」は4県ぐらいだろう。つまり割り算すると神奈川県で表彰されたのはたった2,3人ということになる。その中に名前を連ねたのだからすごい。
理屈はやめて素直に料理を楽しもう。メニューを読むと「シェフ好みの」とか「今宵限りの」という魅力的な言葉が目に付く。今回のディナーでしか味わえないユニークな料理を楽しめるのは嬉しい。
次々とサーブされる料理に舌鼓を打つのに忙しく、美しい料理を撮影することをすっかり忘れていた。はっと思い出した時はもうデザートの段階に達していた。せめてこれだけ、と「甘酸っぱいフランボワーズ風味のチョコレートムース・伊豆高原産ニューサマーオレンジソルベ添え」をカメラに収める。
そして最後に宇佐神本人が挨拶を兼ねて「マイウェイ」を熱唱。実は宇佐神はNHKのど自慢に出演したほどの達人なのだ。料理でなくこちらの道に進んでも大成しただろう。一芸に秀でる人は他の分野でも優秀だというのは本当だった。
ところでこの催しをコンサートと比較してみたら興味深いことに気がついた。宇佐神本人はもちろん調理が達者だが、今回のような大規模なディナーは他の料理人グループに指示して全体をまとめるという進め方だったと推測する。音楽に例えると作曲家 兼 指揮者だ。ベートーヴェンが自作の交響曲を指揮するようなものだろう。すると実際に調理した料理人は演奏家ということになる。
さて音楽のコンサートの場合は演奏家が有名だと、チラシやプログラムに指揮者と並んで大きく名前が出される。これに対してディナーの場合は作曲家・指揮者(総料理長)の名前のみ記されるが、演奏家(調理人グループ)の名前は言及されない。最後に出口で料理人グループが見送りの挨拶をしてくれたのが観客(私たち)と唯一の接点であった。これは少しかわいそうだと思った。せめてプログラム(メニュー)の片隅に名前だけでも列挙されれば、料理人がそれを家族に見せ、胸を張ることができるだろう。
また音楽のコンサートの場合はプログラムに「曲目解説」が書かれるが、ディナーの場合はそれが無い。もっとも解説となるとレシピを書くのか、ということになるが、それは企業秘密を含んでいるからダメなのか(笑)。では調理方法は多少ぼかして書くとして、味わい方のヒントとか、そういう内容が添えられているともっと料理が深く味わえるのではないかと思った。例えば「鮑(あわび)の菜園風」は西洋的な調理方法だと思うが、日本の調理方法とどう違うとか、そういう説明があると嬉しかった。
また生バンドが入って定番を何曲か流してくれたが、メロディーは知っているのに曲名が思い出せない。演奏曲のリストがあると良かったな。演奏は素晴らしかった。例えばサックスは小さい音を滑らかに続けるところが多かったが、よく吹けるなと思った。
楽しい時間を過ごせました。ありがとうございました。
第24回プロムナードコンサート「音楽の花束」(オーシャンプロムナード湘南)に会場スタッフとして参加し、ピアノの蓋の開閉や写真撮影などを行った。妻(仮名ジョアンナ)はピアノで出演した。
今回目立ったのは珍しい楽器カホン。一見ただの箱である。そういえば「電気無ければただの箱」というテレビのコマーシャルがあったな。しかしカホンは電気を使わないにもかかわらず、ただの箱どころか立派な打楽器なのだ。マリンバ奏者の中村梓が見事な演奏を披露し てくれた。曲は葉加瀬太郎の「情熱大陸」。ピアノ連弾に見事に唱和していた。
カホンに気を取られて得意の曲順評論が後になってしまった。会場にはピアノとマリンバ、カホンその他の打楽器が最初から並べられていた。こうすると曲に合わせて楽器を出し入れする必要が無いので曲順の組み立てが自由になるというわけだ。さもなければ、例えばマリンバを使う曲ばかり続けるということになり、観客も飽きてしまうだろう。
第1部は歌~マリンバ~ピアノ連弾~歌。休憩をはさんで第2部はピアノ独奏~歌~マリンバ~ピアノ連弾~歌という順番で、変化に富んでいた。カホンは最後から2番目で初めて登場し、観客の目を奪った。良い曲順だと思う。
選曲評論も忘れていた。今回のプログラムは声楽に特徴があった。歌曲、童謡などを主体とし、オペラアリアを1曲だけに限定したことだ。これは観客にとって良かったのではないかと思う。アリアは本来舞台の流れの中で聴くものだから、それだけを切り取って演奏しても観客は飽きやすいと考えるからだ。
作曲家の出身国の散らばりも変化をつける意味で良かった点だと思う。また今回はあまり知名度が高くない作曲家の作品を聴く機会でもあった。
♪日本:中田喜直、本居長世、山田耕筰、武満徹、葉加瀬太郎
♪フランス:ビゼー、ドビュッシー
♪イタリア:ビクシオ(注1)、チレア(注2)
♪ドイツ:ブラームス
♪チェコ:ポッパー(注3)
♪アメリカ:P.W.キング(注4)、マンシーニ(注5)、ブリュア(注6)
注1:「マンマ」は有名な曲なので知っていたが、その作曲家ビクシオの名前は知らなかった。
注2:フランチェスコ・チレアは名前も、そして今回アリアが演奏されたオペラ「アドリアーナ・ルクルブール」も知らなかった。ビゼーの作品が有名な「アルルの女」も作曲した人だとか。
注3:ダヴィッド・ポッパーは知っていた。このチェリスト兼作曲家はやたら難しいチェロ曲を残し、私のような下手なチェロ弾きの自信を喪失させるという大罪を犯した極悪人だ。
注4:ピー・ウィー・キングの名前も知らなかったが「テネシー・ワルツ」は有名なので知っていた。このバンドリーダーが作った曲がテネシーの州歌に選ばれたとはすごい。
注5:マンシーニは名前からイタリア人だと思ったが、イタリア系アメリカ人だった。生まれた時はエンリコ・ニコラという名前だったそうだが、後にヘンリーと改名。確かにこの方がアメリカ人らしいな。今回演奏された「ムーンリバー」は有名だから知っていた。
注6:ハリー・ブリュアについては全く知らなかった。2006年にアメリカで行われたあるリサイタルのプログラムの解説を読むと、ニューヨークで活躍した木琴奏者で、ワーナー・ブラザーズやフォックス社のスタジオで仕事をしたこともあったという。アメリカでは有名人かもしれない。今回演奏された「フォー・スティック・ジョー」は文字通り4本のマレットを使う曲だが、それがこの曲の特色だとこのプログラムに書いてある。でも4本マレットは現代ではさほど珍しくはないと思うのだが・・・。なおオリジナル曲は木琴のソロにマリンバ3台が伴奏に付くという贅沢な編成だったらしい。
なお上記のプログラムの読みかじりでは、ザイロフォン(Xylophone)を木琴と訳しています。シロホンとどちらが正しいか迷いました。
茅ヶ崎美術館に行った。「藤沢市 茅ヶ崎市 寒川町 収蔵作品展」と「常設展 春季収蔵作品展」が同時開催されていたのだ。
前者が無料で後者(常設展)が有料というのは逆ではないかと思ったが、2市1町合同の企画を強くアピールするために無料にしたのかなと思った。「湘南広域都市行政協議会」という自治体横断的な組織活動が企画され、その設立記念事業としてこの展覧会が開催されたという。
このような動きは良いことだと思う。各市町村がそれぞれ所蔵しているアート作品にはローカル色があり、それはそれで貴重なことだ。でもそれらを横断的に融通し合えば、地域住民にとっては作品鑑賞の幅が広がるというメリットがある。
展示作品中、最も強い印象を受けたのは山崎隆夫の「青白い月」。
ちょっぴりクレーを想わせるたたずまいだ。自然の形態と人工的な幾何学的構成とが出会い、よくマッチしているというような感じだ。
他に印象深かった作品を列挙しておこう:
「藤沢市 茅ヶ崎市 寒川町 収蔵作品展」
♪加藤東一「鵜」
♪佐々木荘六「バレンシア追想」
♪水越茅村「飛翔」
♪三留幹夫「暮色」
「常設展 春季収蔵作品展」
♪川瀬巴水「二見ケ浦」
♪萬鐵五郎「水浴」→アヴァンギャルドな屏風
♪水越茅村「月窟水」
♪菅野陽「はねるクラウン」
♪岩本和子「瞑漠-炫-」
♪肥沼守「航海譚~ダイダラボッチを見た日~」
茂原淳 作陶展「空へカエル」(クラフトショップ 俊:茅ヶ崎)に行った。
私はこの作者の個展はほとんど全て足を運んでいると思う。通算すると10回を超えており、クラフトショップ 俊での個展はこれが8回目のはずである。
最初今回のテーマが「空にカエル」とだけ聞いて、はたしてどんな意味だろうかと思っていた。しかし作者の言葉「頭上に輝く月を切り取って器にしてみました」を読んでその意図が明確になった。明るい光を放つ実際の月に対し、これらの作品は暗い色なので最初は違和感があったが、光を反射すると月のイメージが醸し出されてきた。
案内の絵葉書には「小鉢・下弦の月」9個が3×3のマトリクス状に配置されているが、会場でもこれと同じ展示がなされていた。
個々の作品は基軸が少し傾いており、それぞれが異なる方向に面を向けている。それら9個全体を眺めると、月齢カレンダーのようでもあり、不思議なリズムのようなものを感じることができた。
自宅の居間にこれらの9個を同じ配列で並べて眺めながら、美酒に酔いしれながらシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」のCDを聴けたら最高だろうな。そう思ってこの9個を「オトナ買い」したいという衝動にかられた。しかし財布と相談したらダメだという。それではと、代替案として小ぶりの「下弦の月 細鉢」を3個購入した。
3つを並べてみると小鉢9個の迫力には劣るが、ある程度その雰囲気を持ち帰ることができた。
「三岸節子展 心の旅路~満開の桜のもとに」(日本橋高島屋)に行った。
VTRのコーナーで節子が自分自身と自分の作品について語った言葉が紹介されていた。自分には才能がないとか、自分の絵は出来が悪いなどと謙遜しており、その中で自分の絵は構成がなってないという内容があった。
しかし今回の展覧会を観て、私は節子の絵に「味のある構成感」を感じていたので本人の言葉が以外だった。これはたぶん節子が理想を追求する画家で、普通の画家のレベルでは満足していなかったからだろうと思った。
「雷が来る」の絵葉書を購入。
すばらしい構成感ではないか。むしろ実際の風景を変えて構成優先に描いたとしか思えない作品だ。これらの代表作を観る限りにおいて節子の作品は構成も、色彩も、質感もすべて水準以上に見える。
招待券を下さった画廊主の方、ありがとうございました。行って良かったと素直に思える展覧会でした。
「船をとりまくアール・デコ」(日本郵船歴史博物館)に行った。
他にも魅力ある展覧会があったのだが、これにを選んだ理由は次の通りである:
♪1.大好きなカッサンドルのポスターが観れるから。
♪2.展覧会のチラシのデザインが大好きな古賀春江の作品「海」の雰囲気を醸し出していたから。
♪3.国際仮装行列「第58回 ザよこはまパレード」を観たついでに立ち寄るのもいいかなと思ったから。
結局カッサンドルの作品は1つだけだったが、影響を受けた日本人デザイナー・里見宗次の作品も併せて観る機会を得たので、まあいいか。
それにしても、いつも思うのは展覧会でカッサンドルの作品が展示されていても絵葉書が手に入らないという事だ。カッサンドルは1968年没なので、没後50年目は2018年だ。著作権が没後50年に消滅するのなら、あと8年ほど待たなければならないのか。著作権が有効な間でも絵葉書は作製できるだろうけど、著作権料が高いので採算割れするのかな。いずれにしても残念だ。
「第84回 国展」(国立新美術館)に行った。毎年必ず観に行く楽しい展覧会だ。
展示作品が多く、私の趣味にかなう作品も多数展示されているので嬉しい。だけど体力の消耗が激しく、全てを同じ熱意で鑑賞することができないのが残念だ。1階の絵画と彫刻から観て、順番に2階、3階と進んでゆくのだが、最後の工芸では疲れて、あまりじっくりと観ていられない。作者に対しても申し訳ないのだが、こればかりはいかんともし難い。
この問題を解決するには観る順番を変えればいいのかもしれない。あるいは入場料700円を2倍払うことになるが、2回に分けて観に来るしかないかな。うーむお金もかかるし、時間も取られるなあ。
数多い作品の中でも特にお目当ては岩崎幸之助の彫刻作品。今回もいつもの「水太鼓」だろうと思っていたら「水太鼓石」というネーミングだった。そして形状もがらっと変わり、円形プールの中に多数の円錐状の石が並べられ、それらを揺すると音が出るという仕掛けになっていた。そして家族に連れられて観に来ていた子供達が楽しそうに遊んでいた。
膨大な数の絵画、版画、彫刻、工芸作品に対しコメントを並べるのは大変なので割愛するが、最も美しいと思った絵画作品だけ紹介しておこう。絵葉書を購入した中村宗茂の「家族1」。堅固な構成感とグラデュエーションを活かした綺麗な色彩で目を引いた。
また来年が楽しみだ。
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