鎌倉:瑞泉寺v.s.天園ハイキングコース
「かつての少年少女探検隊」(略称KST)で鎌倉を歩いた。好天に恵まれて少し暑いぐらいだったが、昼下がりの4時間を楽しく過ごせた。起点はJR北鎌倉駅。まずは明月院通りに入る。
瑞泉寺は素晴らしい寺院だ。その境内には様々な美しいものが配置されており、それらがみな個性を発揮している。「天園ハイキングコース」にも負けずに面白いものがあったので、戯れにそれらを対決させてみた。(以下「瑞泉寺」は「寺」、「天園ハイキングコース」は「天園」と略す。)
♪美しい花
さすが「花の寺」と称されるだけあって、寺には花が咲き乱れていた。
これに対して天園には目を奪うように美しい赤い花の光景が見られた。暖かい春の日差しがその間をぬって地上に降り注いでいた。
また天園では凹凸のある山道のため下を向いて歩いていたのだが、桜の花びらが散乱している所があった。ふと上を見上げると、山桜であろうか、背の高い樹にまだ盛りは終ってないと言わんばかりに桜が咲いているのが見えた。
そして、若干ハイキングコースを外れてはいたが、天園にも紅白の合戦があった。
驚くべきことだが、天園にはこのように美しい花が随所に顔を出し、「花の寺」に負けない、いやそれ以上とも思われる魅力を発揮していたのだ。
♪花以外で個性を発揮する植物
寺には三椏(ミツマタ)の群生が見られた。和紙の原料に用いられるこの植物は、清楚な美しさがあり鑑賞にも耐えうる。
一方、天園にはおなじみ「根性植物」が棲息していた。岩の割れ目から浸み出るわずかばかりの水分を頼りにしっかり生きているその姿はいとおしい。
都会の優等生と田舎の野生児の対決になったが、これは両者譲らず引き分けと判定したい。
♪樹木
寺の樹は緑の中にその折れ曲がった肢体を見せていた。よく見ると赤い葉が彩りを添えて美しい。周囲の薄紫色の草花とも上品な調和が感じられる。
一方、天園には「やぐら」(岩をくり抜いた墓の一種)にのしかかるような巨木の根が見られた。これは映画「トゥームレイダー」のロケ地として使われたアンコール・ワットの「タ・プローム」のようだ。
芸術性では寺が勝るが、迫力の点では天園の勝ちだ。
♪やぐら
寺の石庭には大きく掘られたやぐらがあった。洗練された庭の中にあっておかしくないように、形も整えられていた。
天園では山中のあちこちに素朴なやぐらが散在していた。中には五輪の塔のような石塔が置かれ、ささやかではあるが花も供えられていた。
自然の地形を活かした墳墓作りと、山奥にもかかわらず献花があることなどを総合して、天園に良い評価を与えたい。
♪竹
寺の竹林は平行に延び、いっせいに天を目指して伸びてゆくようだ。洗練された美しさがそこにある。またその表皮の白さも鮮やかだ。
一方天園の竹は角度もまちまちで、竹以外の樹木も入り混じって雑木林の感がある。野趣を感じるが、あまり好んで眺めていたくはない。
これは圧倒的に寺の勝利であろう。
♪石碑
瑞泉寺は石碑の宝庫である。階段を上りかけた所には「夢窓国師古道場」という碑がある。夢窓疎石(むそうそせき)という禅僧で、瑞泉寺の庭園の設計をしたお坊さんらしい。
寺門の前には「松蔭吉田先生留跡碑」がある。なぜ吉田松陰の苗字と名前がひっくり返っているのか?それは謎である。
寺門をくぐった直後、久保田万太郎の句碑がある。「いつぬれし松の根方ぞ春しぐれ」と いう句が彫られている。石碑と、俳句の内容を綴った木製の看板と、久保田万太郎の名前を彫った黒い石碑の三点セットが心地よい一角を形成している。
こちらは山崎方代の歌碑。「手の平に豆腐をのせていそいそといつもの角を曲りて帰る」とは何と庶民的な歌だろうか。俳句の山頭火のように放浪の歌人と称されたそうだが、なるほどと思う。またそれを受け止める瑞泉寺の懐の広さも感じられる。
そして吉野秀雄の歌碑。「死をいとひ生をもおそれ人間のゆれ定まらぬこころ知るのみ」は、病弱だった歌人の心の叫びのようでいとおしい。
大宅荘一の碑もあった。
一方、天園には「鎌倉十王岩」なるものが祀られていた。
数といい芸術性といい、石碑に関しては寺に勝ることは難しそうだ。
♪ポスト
瑞泉寺は拝観料を支払う入口から寺門に向かって上りの階段が続いているが、その中間あたりに寺の郵便受けが設置されている。郵便屋さんは手紙を届けるために何段か階段を上らないといけないので不満であろう。一方、僧侶の側から見ると郵便物を取りに階段を下りてゆかねばならず、これも一仕事となる。双方痛み分けの思想なのであろうか?
一方、天園(実際にはハイキングコースから微妙に外れているようだが)には私の大好きな円筒形の赤いポストが佇んでいる。
これは赤いポストが私の趣味に叶ったということで、天園連合軍の勝ち。
♪足の下
瑞泉寺の郵便受け付近で下を見ると、芸術的な石畳が鑑賞できる。秋でもないのに赤く染まった落ち葉と緑の葉とが補色関係のハーモニーを織り成し、それを石の素材感が支えている。
一方、天園はおなじみマンホールの蓋で応戦する。鎌倉市の市紋(ササリンドウ)がきちんと表示されている。「おすい」という文字も、子供にも読めるようにという配慮のあとをうかがわせる。市民の生活を大事にする市政のあり方には好感を持つが、古都鎌倉にしては機能性を優先している感じだ。
アート好きの私としては、これは寺に1票を投じざるを得ないだろう。
以上の「対決」はもちろん冗談であり、寺とハイキングコースのどちらが上かという決着をつけることが目的ではない。その代わりにある結論を導きだすことになった。
寺は自然と共生し自然を活かしているが、建造物や石碑などはアーティストによって創作された人工物である。芸術は人間が生み出すものであるから、たとえ自然を巧みに取り入れていたとしても、それは人工物の美しさだ。
これに対してハイキングコースで見聞したものは自然そのものが多い。人間の統制・制御によって加工・変化させられていない、生(なま)のままの自然がそこにある。時にこの純粋な自然は芸術作品よりも強烈なインパクトを人間に与えることがある。またアーティストはそれに対抗すべく、自然のオーラを作品に封じ込めようとする。これらのせめぎあいは大昔から繰り返されてきたことであろう。
今回の「探検」では、その押したり引いたりする自然と芸術の関係項を実体験したように思う。貴重な一日であった。探検隊のメンバーに感謝。
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投稿: ON THE WAY | 2025年6月 5日 (木) 19時46分