新曲:シューマンの主題によるカノン
「シューマンの主題による同度・完全・無限カノン」なる曲を作曲した。
みなとみらいホールの練習室で弦楽四重奏仲間の練習があり、今回はチェロを弾く私の弟(仮名デキスギ・デ・ガンバルチーノ)を加えてチェロ2本の弦楽五重奏をやろうということになっていた。友人が用意した楽譜は有名なシューベルトのハ長調だったが、私は手土産代わりに何か1曲作って持ってゆこうと思った。この仲間の集まりでは時々そのような動機で小品を作ることがある。
ダリウス・ミョーが週1回の「六人組」の集まりに出かける際には、必ず約束の新曲を披露したそうだ。他のメンバーが作曲をサボって手ぶらで来ようがどうしようが、ミョーだけは妙に(オヤジギャグ失礼!)真面目に創作を続けたと評伝に書いてある。
私はこのミョーほどの才覚はないが、このような努力を重ねることにより、作曲が手馴れてきて品質も少しは向上するのではないか、と密かに期待しているのだ。その挙句、結果的に巨匠の足元にも及ばないかもしれないが、それはそれで結果論だから仕方がない。
今年はショパンとシューマンのメモリアルイヤーなのでシューマンの弦楽四重奏曲第1番の冒頭から主題を採った。和声は短調の主和音(ラドミ)が続く形なので、完全カノンもたやすく出来る。でもそれだけでは面白くないので、中間部でハ長調に転調し、なおかつ完全カノンを保つという制約条件を自分に課して作った。
5声あるので、短調から長調、長調から短調へ推移する際、ラドミの和音とドミソの和音をどうしても同時に鳴らさなければならない箇所が生じてくる。そこをどう処理するかがこの課題の難しい部分だった。
ラドミの和音とドミソの和音を同時に鳴らすと、「ラドミソ」という七の和音が鳴る。この和音自体は別に込み入ったものではなく、クラシック音楽だけでなくポピュラー音楽でもよく出てくる。問題はこの和音を置く環境(前後関係)の処理である。そこが困難だったが、どうにか形にした。
作曲するなら、ある程度まとまった規模の作品を作りたいが、折にふれこのような小品を作るのもまた楽しい。トレーニングを兼ねて今後も続けたい。
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