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2010年4月12日 (月)

第69回 創元展

「第69回 創元展」(国立新美術館)に行った。

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親類が作品を出典していたので、どうしても身内びいきになってしまう。それで親類とは別途ゆっくり感想を話し合うことにして、他の作品の感想を書こう。

■純粋な抽象画
♪甲斐志誠の「黒のコンポジション」(第5室)は、四辺形の組み合わせによる抽象構成だが、渋い色調に徹する代わりに質感、光沢感で多彩な配置をみせ楽しい作品だった。今回の展覧会で最も気に入った作品だ。

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♪土佐マサ子の「記憶」(第5室)は、マチエール感と色彩の構成といった感じの抽象画で好みにかなっていた。

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♪江口菊雄の「燮」(第5室)は、惑星のような球体が丁寧に描かれ、独特の味わいがあって良かった。(あるいは純粋な抽象ではないかもしれないが)。

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■キュビズムあるいは構成感が強い作品
♪西村静美の「亀裂」(第5室)は、水着の女性二人が描かれているが、背景の抽象的構成と溶け合ってキュビズム風(キュビズムではないが)のたたずまいを見せていた。

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♪高橋きみ子の「想」(第5室)は、婦人服のディスプレイの絵と言ってしまえばそれまでだが、その色あい、構成感が実に心地よい。

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♪沼田久雪の「赤のコンチェルト」(第4室)は、楽器主体の構成でよく用いられそうなテーマだ。しかし渋い色調など個性が光り、なかなかの雰囲気を持った作品だ。

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♪吉原政四郎の「古木の囁き」(第14室)は、クレーの線描に似た感じがしたのでつい見入ってしまった。線刻によるコンポジションといった感じだ。

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♪森真一の「ラルゴ」(第28室)は、人物、立像、植物など写実的に描かれたものが巧みに構成されて印象深い。縦にすっと走る亀裂のような細い線が画面を引き締めて小気味いい。具象と抽象の両方の魅力をミックスしたような作品だ。

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♪梨本マスミの「10.卓上のノクターン」(第28室)は、シャガールの題材をセザンヌのように構成し、ラウル・デュフィーのタッチで描いたというような作品だ。実際に複数の巨匠の影響を受けて描いたのかもしれないが、模倣の域を超えて自分自身のスタイルを確立しているように思えた。

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♪斉藤健司の「落下する人」(第5室)は、一部がパピエ・コレ的だ。多数の文字が散りばめられている。個性ある作品だ。

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■具象
♪黒田保臣の「廃墟の島」(第7室)は、どうという事ない写実画なのだが、色の置き方に個性が感じられた。色だけでこんなに微妙な違いが出てくるのか。

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♪千葉実の「石仏の詩」(第17室)は、アンコールワットの石仏群を描いたものであろう。私は同地を訪れたことがあるので、懐かしかった。この作品は実物と若干異なる色彩を施し、それが雰囲気を高めていた。

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♪浜田陽一の「ROSE #4」(第21室)は、ビュッフェのような印象だが、上品で落ち着きがある。

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♪園田道雄の「ヨットハーバー」(第27室)は、たかが風景画と言うなかれ、陽光のきらびやかさの表現が素晴らしい。印象主義のようで少し違う。個性ある絵だ。

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♪石野史郎の「夏過ぎて」(第10室)は、ドライフラワーと化した向日葵と杭のコンポジションという感じだ。構成感あふれる作品だが、枯れた花のリアルな描写は迫力がある。それが心象風景的な色彩を強めている。

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■シュール
♪白石千以子の「樹」(第13室)は、樹木に心臓と思われる器官が取り付けられたようで、少々グロテスクだが目にとまった。樹皮などの表現は素晴らしい。

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♪平尾利裕の「記憶の断片」(第14室)は、シュール的なアッサンブラージュで面白い作品だ。シュール好きの私は、こういう作品に弱い。

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■独自の作品
♪谷貝文恵(やがいふみえ)の「記憶」(第1室)は、去る2007年の春に「第26回 損保ジャパン美術財団 選抜奨励展」で観た作品だ。再会できて嬉しい。

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当時ブログに書いた記事を再掲する:
谷貝文恵の「記憶」はその次に好ましく思った作品だ。渋い色で統一しているので気品があり、かつ構成感も味わうことができる。3人の女性が横に並んでいる姿が明らかだが、背景に溶け込み、抽象絵画として眺めることもできる。「私の中に在る日常的リアリズムを表現したい」と作者は言っている。自分自身の中にある日常とは、心象風景という言葉に置き換えられないだろうか。深読みしたくなる作品だ。

上記の記事で「その次に好ましく」と書いた。この作品よりもっと気に入ったのは、篠原征子の「ある風景」だったのだが、それは純粋な抽象画なのでより私の好みにかなっていたからだ。いずれにしても、谷貝文恵の作品はいつまでも印象が残る。

この展覧会は様々なタイプの作品が多数展示されているから面白い。次回もぜひ観たい。

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