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2010年1月31日 (日)

久々の新曲:弦楽五重奏の為の「泰西組曲」

久しぶりにまとまった楽曲を作った。題して「弦楽五重奏の為の泰西組曲」。

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音楽で泰西(ヨーロッパ)5カ国を旅するという趣向だ。
フランス編 リュリの様式によるフランス風序曲
ドイツ編   バッハの様式による反行、拡大、縮小フーガ
イギリス編 ダウランドの様式・ロビンの主題による5つの変奏曲
イタリア編 ヴィヴァルディおよび合奏協奏曲の様式によるアレグロ
スペイン編 マラゲーニャ風の舞曲(2人のピアニストを迎えて)

私は現在、自分のスタイルを模索しているが未だ見出せずにいる。目下自分の目指すものに近いと思われるのがドビュッシーの非機能和声とバッハのポリフォニーを融合させた様式だ。

しかし今回は時間に追われていたので、手馴れたスタイル(バロック音楽)でまとめてみた。そういうわけで、最後のスペイン編を除き、おおよそバロック音楽の時代様式をベースとしてオリジナルタッチを加えている。スペイン編はバロックよりもう少し後の時代のスタイルにシフトし、弦楽器だけでなくピアノも加えているので、他の曲とは若干路線が変わっている。

実はこのスペイン編は単独の曲として先に出来ていた。そしてこの「泰西組曲」を4カ国めぐりで作った後、もう1カ国スペインを追加するという趣旨で取り込んだのだ。楽器編成が異質な曲が1つ加わったわけだが、あえてそのままで完成させた。

来週2月6日(土)14:00より横浜市イギリス館でのサロンコンサート<入場無料>で初演するので、冷やかしたい人はどうぞ。他にはシューベルトのピアノ五重奏曲「ます」と、メンデルスゾーンのピアノ六重奏曲という珍しい曲を演奏する予定。ジョヴァンニは作曲は出来るが演奏が上手なわけではないので、あらかじめご了承下さい。

ア・ピアチューレ 声楽発表会 Vol.4

昨年12月「かながわ女性センターホール」(江ノ島)で「オペラ・ピアチューレ 第5回本公演」に行った。その演奏会で聴いた、代表・早河明子さん(ソプラノ)の熱唱はまだ記憶に新しい。その早河さんのお弟子さん達の「ア・ピアチューレ 声楽発表会 Vol.4」(藤沢リラホール)があった。しかし私は当事者側に属してしまったので、得意の「曲順評論」(笑)などの駄文が書けなくなってしまった。

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せめて一言だけでも感想を書いておこう。私は1週間前のリハーサルも聴いたのだが、お弟子さん全員、本番のほうが良かった。それは本番が最もテンションが高くなるからだろうと思った。

音楽家、アスリートの中には「練習は本番のつもりで、本番は練習のつもりで」と言う人もいる。これは本番で力が入り過ぎると良い結果を得られないという教訓なのであろう。それも一理ある。

しかしこのグループの場合はもっと率直だったと思う。本番は沢山のお客さんが聴いているし(事実、満員御礼だった)、演奏者もドレスで綺麗に着飾って気合を入れてステージに上がれば、最大のテンションになるというほうが自然だ。そして素晴らしい結果を導いた。お疲れ様でした。

2010年1月25日 (月)

史音(ふみね)の会 vol.3

「史音の会 vol.3」(アコレード:鵠沼)に行った。藤原歌劇団のソプラノ歌手 右近史江さんのお弟子さん達の発表会だ。

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さっそく私の専門(?)「曲順評論」を始めよう。今回のプログラムは第1部が歌曲のみ、第2部が歌曲とオペラアリアの両方で構成されていた。前半が歌曲、後半がオペラアリアというのはよく見られる配置なので、まあ自然でいいかなと思った。

それよりも特に良かったと思ったのは、第1部、第2部の冒頭で全員が合唱を歌ったことだ。これは次のようなメリットがあると考える:
1.場慣れする。
2.来場者を事前チェックできる。
3.直前の発声練習になる。
右近先生は上記のような配慮をされたのだろう。ということで、曲順はよく練られていたと思う。

前回・今回両方を聴いた人が、お弟子さん達はいちだんと上達されていたと言っておられた。このようなコメントはお弟子さん達にとって大変喜ばしいことだろう。ゲスト出演された方々は、実はそうそうたるメンバーだったので演奏を楽しめた。妻(仮名ジョアンナ)は全曲のピアノ伴奏を務めた。

そして右近先生は司会から最後の模範演奏まで大車輪の活躍だった。お疲れ様。

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2010年1月17日 (日)

Domani・明日展2009

「Domani・明日展2009」(国立新美術館)に行った。

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♪久保田繁雄の繊維による立体・平面構成は面白かった。ゲットした絵葉書は「Space of the Red I」。

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個人的にはレリーフ的な作品「The Recurrence」(回帰という意味か?)が心地よかった。「教会内部の空間に歩む人間をイメージした。」と作者自身の言葉が添えられている。そのイメージ通り、教会の支柱らしき形状と僧侶らしき形状が交互に配置されている。純粋抽象構成としても味わい深いし、支柱と僧侶のデフォルメを進めた半抽象としても楽しめる。色彩の感じもいい。図録ではその微妙な色調が損なわれているので、やはりこういう作品は実物を観ないと価値が減じると思った。

♪栗本夏樹は漆を塗った木の板に蒔絵と螺鈿を施した作品を発表した。絵葉書は「上杉の胴服Ⅱ」。

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個人的にはサイズが小さい作品「上杉裂Ⅱ」と「能装束Ⅱ」(どちらも「ジャパン・シリーズ」)が良かった。四角形や三角形のみで構成される画面。価値を生むのはその色彩とマチエール感だ。これが何ともいえず深い。高級レストランなどの壁面を飾るに相応しい作品群だと思った。

♪浅見貴子は墨絵の発表。ゲットした絵葉書「梅に楓図」は私個人の趣味とも一致して嬉しかった。

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墨絵の白黒の世界で独特の世界を打ち出して勝負している。それはどのようにして達成できるのだろう?墨、胡粉、膠、樹脂膠、麻紙などを使用しているのでマチエールが独特だからか?いやそれだけではなさそうだ。「梅」、「楓」という異なる個性の植物をモノクロームの世界においていったん同化させ、再構成しているからか?それらを総合して生まれた作品の新規性を称えたい。

以上が特に印象深かった作家と作品だが、他にも気になる点があったので列挙する。
♪吉仲正直は「「四つめ-裏題「春隣」-」と「詠み人知らず肖像-露拾い-」の2作品が線刻と色彩の両面において印象に残った。
♪呉亜沙の「absence」(不在という意味か?)は集団の中の孤独を感じさせるインパクトがあった。本来私は作品のメッセージ性を嫌うが、それでも無視できない強さがあったように思う。
♪高野浩子は本棚を積んだ巨大なインスタレーションも面白かったが、「旅と神話についての連作」と題されたアクリル絵画の作品群が味わい深かった。

2010年1月15日 (金)

定点観測地点の「影」

愛犬「哲学者」を撮影する定点観測地点には、かつて一対の遊具があった。しかし、そのうち1つが老朽化のため撤去され、あと1つを残すのみとなった。

木製の馬なので風雨にさらされていると、いつか朽ち果てる運命にある。一方「哲学者」も見かけは若いが既に老犬。こちらもいつまで一緒に散歩できるかわからない。そのいとおしさに、つい双方を一緒にカメラに収めたくなるのである。

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この写真には不可思議なところがある。「哲学者」はくっきりとした影を伴い、その影にもちゃんと足がある。しかし背後にある看板の影を見よ。な、なんと足(支柱)の影がない。これはいかなる現象であろうか。看板の影はそのように観る者を不安にさせる妖力を発していたのである。

影は文学者たちを様々な方向に誘う。中村草田男は明快さ、潔さを身上とする。

     冬の水一枝の影も欺かず

これに対して高浜虚子は鑑賞者に疑問を投げかけてくる。

     箒木に影というものありにけり

この定点観測地点の看板は、どちらかというと虚子の方向に近いだろうか。そして、わが「哲学者」はいかなる思索をめぐらしているのであろうか。

2010年1月14日 (木)

ジョアンナの「ケーキの日」

妻(仮名ジョアンナ)は趣味でケーキ作りの習い事をしている。これは本日の成果。美味しかった。

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2010年1月11日 (月)

年末年始の円と正方形

ブルーノ・ムナーリに「円+正方形」という美しい著作がある。私は上松正直の訳本(美術出版社)を持っている。30年ほど前に出版されたものだ。

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なぜこの本を想いだしたかと言うと、年末年始に伊豆を訪ねた際、円と正方形の多くの美しい造形に出会ったからだ。かの仙崖和尚はこれに三角を加えて「○△□」の名作を遺したが、今回は三角とはあまり巡り合わせが無かった。

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♪年末年始における円

新年はしめ飾りで新しい年を迎える気分が醸し出される。しめ縄は円形を描く。

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正月といえば雑煮。他にも丸い器に食材を盛った料理が並ぶ。

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デザートの皿も円。

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そして元旦は満月!樹木がグローブをはめた枝でお月様をキャッチしたようだ。稲垣足穂の影響が色濃いかも。

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稲垣の「一千一秒物語」にはハットがよく似合う。ハットも円。

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♪年末年始における正方形

紅白を観るテレビは正方形。なぜか「哲学者」が立ちはだかる。

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正月といえばおせち料理。その重箱は正方形だ。

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おやつは「方寸」。この包装紙の美しさ。

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散歩の途中で見かけたタイル屋の外壁。正方形の集合体でクレーの絵画のような美しい造形が観られる。

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タイル絵を壁に飾る。額縁もまた正方形なり。

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2010年1月10日 (日)

生麦行き

我、陸蒸気(おかじょうき)に乗りて生麦駅で降りぬ。

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是の駅には「開閉長時間待遮断機」(あかずのふみきり)が隣接せり。

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遮断機と遮断機の狭間には「遮断機歯治療所」(ふみきりしか)有り。

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遮断機を超へ商店街をば進み、杉山神社に詣でし。「神社結界開口部」(とりい)の微妙なる傾斜に心騒がされしも、蛮勇をふるいて境内に向かふ。

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一対の「石造燈火塔」(とうろう)もしかり。若干左方へ傾きし。この地は「神秘現象発生地点」(みすてりいすぽっと)なのであらふか?

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そのやふな異界には「根性植物」がよく似合いし。

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これから先は長い階段を上らねばならぬ。我老齢に近しゆへ、好ましからず。この階段もまた左方への傾きがあるやふに思へり。

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これは「神社開口部守護獣」(こまいぬ)の台座なりと思へど、守護獣おらず。これまで眼にした角度の異変は守護獣不在ゆへのことであらふか?

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流石に「神社主要礼拝建造物」(ほんでん)には顕著なる異変は認められぬとも、わずかではあるが傾きがあるやふに感ぜし。

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神社を後にし、先の道を戻れり。それでも傾斜の異変は残り、商店街および道路全体が傾いているやふに見えし。道ゆく二人の紳士を、「風景描写箱」(かめら)持つ我の影が追い越しぬ。

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我に降りかかった傾斜感は何らかの呪術に起因するものと考へ、師・赤瀬川源平に敬意を評して「建物付随無用物」(とまそん)に祈りを捧ぐ。先に通過した遮断機の傍にそれは有り。

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さらに安全を祈願するため、「地下人工水道開口部蓋」(まんほーるのふた)にも一礼せし。

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街に人有り。人有る所に宣伝有り。是の街では「西班牙(すぺいん)風舞踏術」(ふらめんこ)なるものが流行せしことが判明せり。「布哇(はわい)風舞踏術」(ふらだんす)もしかり。我の如き「中年無用会社員」(そだいごみ)に関する貼紙も有り、心痛めり。

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さらに人有る所に酒有り。酒有る所に酒屋有り。

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是の主人は、「生麦事件参考館」なる名所の長(おさ)を副業となすも、その主客が逆転した模様なり。我国各所にてゼミナリヨを行ひ、好評を博しておるとの話有り。同館にてそのゼミナリヨの「電子映像再生画面」(う”いてぃーあーる)をば鑑賞せし。

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生麦事件こそ我国を極東の田舎国から近代国家に押し上げた契機である旨の論旨有り。大変立派な講演なりにつき、広く我国の人民に観て貰いたし。

そして酒有る所には、勿論「酒類提供社交場」(のみや)有り。「愛好家熱烈信望」(ふぁんすいせん)の「起立方式酒類提供社交場」(たちのみや)の「大番」に行きし。

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さらに「煮炊無海産物提供社交場」(すしや)へ移りし。「春栄寿司」は生麦界隈屈指の社交場なり。

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是の社交場は杉山神社へも奉納せし由緒ある場なり。

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我、享楽と感動を抱き帰途につく也。

2010年1月 8日 (金)

ともよあずさ(ピアノとマリンバ)

堀部ともよ(ピアノ)と中村梓(マリンバ)のユニットによるコンサート「ともよあずさ」(横浜みなとみらいホール 小ホール)に行った。

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とても価値あるコンサートだった。それはマリンバという楽器が聴覚だけでなく視覚も楽しませてくれるからだと思う。演奏の動作を観ているだけで興味深いものがあるから。もう一つの理由は、このユニットが演奏そのものに徹し、トークなどの補助手段を排除して勝負しているからだ。補助手段なしでも充分楽しめるコンサートとして成立しているのは大きい。

強い印象が残ったり、興味深かった点を列挙してみる。

♪「リベルタンゴ」(A.ピアソラ作曲)
演奏者の意図とは無関係に、観客が勝手な方向に行ってしまうことがある。

今回の演奏会では、プログラムにはソナタ形式で書かれ芸術性を求めた楽曲もあれば、娯楽性を持った曲もあり、それらが適度に配置されていた。この「リベルタンゴ」は本来後者に属し、サロンでカクテルを傾けながら聞き流すのが似合いそうな音楽であろう。しかし私は、あたかも堅苦しい音楽を聴くかのように緊張してしまった。それはなぜか?

マリンバ奏者は、両手に2本づつマレットを持って演奏する際、音程の開きに応じてその角度を開いたり狭めたりしている。これは非常に難しそうなので、まずその技巧に注目した。これが緊張の始まり。ところが曲が進むにつれ、それだけではすまされなかった。

それはアーティキュレーションというか、フレージングというか、そういう側面だ。ヴァイオリンなどと異なり、ピアノやマリンバは1つ1つの音を打鍵により鳴らす。そのため隣りどうしの音を繋げるのが困難だ。そういうハンディを背負いながら、マリンバ奏者はスラーをかけてなめらかなフレージングの効果を出そうと努めていたようなのだ。そこにも注目し、緊張感が高まってしまった。

そしてさらに追い討ちをかけられたのは音色である。曲が途切れればマレットを持ち替えることができるが、フレーズが続いている場合は同じマレットのままで演奏を続けなければならない。そしてそういう状況で、同じ音でも音色が違って聴こえてきたのだ。これは叩き方を加減して音色を調節していたのだろう。特に低音のほうで顕著だった。

以上のように、音程、スラー、音色という複数の要素を高度にコントロールしながら演奏していたようだったので、どういう操作でやっているのかと眼を凝らして見ながら聴いているうちに、緊張が高まってしまったのだ。

そんなわけで、「リベルタンゴ」はお気楽どころか、真剣に鑑賞してしまった。私の勝手な憶測では、今回のコンサートでマリンバが最も難しかったのはこの曲ではなかったかと思った。以上の私の推測は、まるで外れているかもしれないが(笑)、少なくともそういうような「いい意味での緊張感」が醸し出されたステージだった。

♪「スカラムーシュ」(D.ミョー作曲)
以前、妻(仮名ジョアンナ)が2台ピアノで演奏したことがあるので、この曲には馴染んでいた。妻によると、マリンバが第1ピアノ、ピアノが第2ピアノのパートを受け持ったらしい。

この演奏で驚いたのは、ピアノとマリンバがよく合っていたことだ。速くて鋭いリズムの箇所でも、ぴったりのタイミングで垂直に合いながら進行していた。同窓のユニットで仲が良く息が合うのだろうと思ったが、それだけではないだろう。技術的なバックボーンがあってのことだと思った。

マリンバ奏者は打楽器専門家だからリズムに鋭敏で、高速でもピアノにぴたっと合わせているのか。いや、このピアニストは普通の奏者と違い、打楽器専門家並みのリズム感を持っているのか。たぶんその両方で、それに同窓の長いつきあいという要素が付いているからなのだろう。

2台ピアノの均一な音色に対し、ピアノとマリンバでは音色の対比もあり色彩感があって楽しかった。

♪「マーリン」(A.トーマス作曲)
実は、この作品は曲名だけ知っていたが一度も聴いたことがなかった。そのため、このステージは楽しみにしていた。この演奏で印象に残った点は「間」である。

「間も音楽になっている」という言葉を聞くことがある。もちろん「間」だけをつないだら音楽にならない。前後に音が鳴っていてこそ、その「間」が音楽の一部として活きてくるのだ。当たり前か(笑)。何が印象に残ったかというと、「間のリズム」である。

この曲は何カ所か「間」があった。ブルックナーではないが、陳腐な演奏だと「ブツ切れ」に聴こえてしまうだろう。しかしこの演奏では、全体がよどみなく流れていたように思った。というか、演奏中は全くそのようなことは考えず、後になって思いかえすと「間」が多かったなという記憶がかすめただけだ。

これはマリンバ奏者の鋭敏なリズム感により、「間」の微妙なタイミングがよくコントロールされていたからなのだろう。私はそれを勝手に「間のリズム」と呼んだ。新しい世界を知った思いだ。

♪「喜びの島」(C.ドビュッシー作曲)
私はピアノのおけいこを始めた年齢から起算すると「ウン十年のキャリア」ということになるのだが、悲しいほど下手で今は「ブルグミューラー」がよく似合う(笑)。まあ弾くのは下手だが、ピアノは好きで、特にドビュッシーは最も好きな作曲家の一人だ。

印象に残ったのは、ピアニストが腕を平行に保ち、上下の無駄な動きが少なかったことだ。途中、左右の手が交差する箇所があるが、片方の手がもう片方の上を越える際、ぴょこんと上がらないで、すっと横すべりするように運んでいた。50m障害走に例えると、ハードルを越える際にぴょんぴょん飛び上がらないで、上体がほとんど上下せずに進んでゆくような感じだ。これは観ていても好感を持てた。

そしてそれはマリンバ奏者も同じだった。マレットを上から振り下ろすような大げさな動作がなく、清楚な印象が強かった。これはこのユニットの魅力の一つかもしれない。

そしてピアニストは没入するような演奏スタイルではなく、楽譜を誠実にたどって「お客さまと一緒にドビュッシーを楽しみましょう」という姿勢を見せてくれていたようだった。これも好感度大。

音も綺麗だったな。ペダルをどのように使っていたのかわからなかったが、乾燥しすぎず、湿りすぎず、ちょうどよい響きという感じだ。抽象的だが、的確な言葉が出て来ないのでご容赦のほど。

その他の曲も聴いて・見て楽しかったのだが、以上のコメントで代用する。このユニットのコンサートは楽しいので、今後すべて足を運びたい。

2010年1月 3日 (日)

2009年 コンサートで賞賛したい人

昨年( 2009年)中に行ったコンサートで賞賛したい人(または団体)を振り返ってみる。

◆ジャパン・クラシカの皆さん(オーケストラ)
「コー・ガブリエル・カメダ日本公演 ヴァイオリン協奏曲の夕べ」(3月7日 東京オペラシティコンサートホール、増田宏昭指揮)、および「第2回定期演奏会」(9月19日 ティアラこうとう)
メンバーのほとんどがアマチュアらしいのだが、音程がいいなど大変達者な演奏だったので詳細したい。

◆吉岡美恵子(フルート)
「アンサンブル・アノー ~多彩な音色の輪~ ヘインズ フルートを愛用する笛吹きのアンサンブル」(4月29日 DACスペースDo)
演奏が上手なのは当然として、トークをほとんど一人でこなすことにより、他メンバーの負担を軽くする等の気遣いも素晴らしかったので賞賛したい。才色兼備でかつ「演気兼備」(演奏と気遣いが両方できること:造語)。

◆竹内聡(フルート)
「竹内聡 フルート・リサイタル」(5月9日 ザ・フェニックスホール)
本職はサラリーマンのアマチュア奏者なのだが、プロ並みの技術であり、かつマラソンのような長時間の演奏に耐え抜いた根性を賞賛したい。

◆中村梓(マリンバ)
「第22回 プロムナードコンサート 音楽の花束」(5月16日 オーシャンプロムナード湘南)
「ピンクパンサー」の演奏において、音が断続的にしか出せないはずの楽器で滑らかなスラーを奏した高度な技術を賞賛したい。

◆伊藤鈴乃(ミュージカル出演)
「ミュージカル 八月の青い空」(8月16日 鎌倉芸術館 小ホール)
通常だと「小さい子にしては上手だ」という言われそうなところで、年長の子供より踊りの「切れ」が良かった。年齢のハンデを考慮せずに高評価という点を賞賛したい。

◆ライブ演奏者の皆さん
「Sunset Live」(8月30日 材木座海岸 Day Dreamer’s Deck)
演奏者が自分だけをアピールせず、引っ込み思案な他メンバーを積極的に盛り立てるなど「真の意味でのコラボ」を実践してくれたことで賞賛したい。

◆明治大学交響楽団の皆さん
「明治大学交響楽団 第86回定期演奏会」(12月25日 新宿文化センター、増田宏昭指揮)
「学生オケなのにうまい」という失礼な表現ができなくなるほど上手な演奏だったので賞賛したい。

*他にも褒め称えたい演奏者がいるのだが、数が多くなるのでこの辺でやめておく。身内・仲間うちなどの場合は、演奏が非常に良くても言及しない事があるので、あしからず。

2010年1月 2日 (土)

2009年音楽活動総括

昨年(2009年)の音楽活動を振り返ってみる。

◆◆◆作曲
不作の年だった。一応体裁が整った曲は次の2曲しかない。
★「弦楽六重奏のためのフーガ」
9月27日「オータムコンサート」(雑司が谷音楽堂)にて初演。
★「シチリアの舟歌」
今年(2010年)のサロンコンサートでのアンコール用として作曲。六拍子だが「シリリアーナ」とも「舟歌」とも呼びにくい中間の性格を帯びていたので、両者を合体させて」シチリアの舟歌」という曲名にしてしまったのだ。

◆◆◆編曲
こちらも実績は少ない。
<編曲・自演>
★「小さい秋みつけた」
「復刻版クロカルコンサート~秋~」(フィリアホール):アンコールとして
★「ああベツレヘムよ」(勤務先のクリスマスイベント):チェロとキーボード
★「オー・ホーリー・ナイト」(同上)

◆◆◆その他の演奏
回数はこなしているが、自作自演以外が少ない分、特筆することは少ない。
<珍しい演奏形態>
★ヘンデル作曲フルートソナタ作品78より第1楽章
「A LITTLE CONCERT」(栄区センター・リリス)にてチェロ独奏に編曲して演奏した。
★ユーミン特集
ユーミンが大好きな友人が店主の料理屋で「ジョヴァンニ・プレイズ・ユーミン」と称し、チェロ独奏を行った。
<その他>
弦楽四重奏・五重奏・六重奏、ピアノ三重奏・四重奏・五重奏・変則六重奏、チェロとピアノ/キーボード、リコーダーとチェロ、リコーダー・チェンバロ・チェロ、リコーダー・ヴァイオリン・チェロ、オーケストラ(弟の所属するオーケストラへエキストラとして出演)。
*以上のなかで自作曲以外で最も意義を感じたのはギョーム・ルクー作曲「ピアノ四重奏曲」であった。

2009年は不作の年だったので、今年(2010年)はぜひ「豊作の年」にしたい。そのためにはアート鑑賞とブログ執筆を控えなければならないか?(初笑)。

2009年アート探訪総括

新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

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さっそく日記開始。まずは昨年(2009年)1年間のアートとの触れ合いを振り返ってみた。

◆◆◆好きなアーティスト
★難波田父子
「難波田龍起・難波田史男」(東京オペラシティアートギャラリー:初台)において、父・難波田龍起に関しては1960年代の作品が最も好ましいことを再確認した。一方、息子の難波田史男に関しては私の大好きな「ある日の幻想」がよく展示される名作のようだということを認識した。
★粟津潔
「複々製に進路を取れ」(川崎市民ミュージアム:川崎)に関しては、初期作品がベン・シャーンの影響、後年の作品は横尾忠則のポスターと似ているという発見をした。
★加山又造
「加山又造展 虚空に煌く美」(国立新美術館:六本木)に関しては墨絵の「月光波濤」の迫力に打ちのめされた。
★パウル・クレー
クレー命なのでいつどの作品を観ても満足だが、「パウル・クレー 東洋への夢」(千葉市美術館:千葉)では限られた予算のなかで充実を図った企画者の能力に感心した。
★ル・コルビジェ
クレー同様「命」。「ル・コルビジェと国立西洋美術館」(国立西洋美術館:上野)で楽しい時間を過ごした。
★宇野亜喜良
気になっていた画家なので、「宇野亜喜良60年代ポスター展」(ポスターハリスギャラリー:渋谷)で作品をまとまって鑑賞できて良かった。
★藤城清治
「藤城清治展」(ウェンライトホール:銀座)において、下絵としての鉛筆画の再認識、軍艦島や原爆ドームなど社会性・地域性の強い対象に真摯に向き合った気迫に加え、ゲイという社会的に排撃されやすい人々に暖かい視線を投げかける優しい人だと知ったことが大きかった。
★束芋
人気が爆発する前から興味があったので、「束芋 断面の時代」(横浜美術館)でその成長過程が見えてよかった。

◆◆◆地域性中心のテーマ
<ベルギー>
★「ベルギー幻想美術館」(Bunkamura・ザ・ミュージアム:渋谷)
<中南米>
★「メキシコ20世紀絵画展」(世田谷美術館:砧)
★「利根山光人とマヤ・アステカの拓本」(同上)
★「黄金の都シカン」(国立科学博物館:上野)
  *「一日ブログ記者」を演じた。
<インド>
★「チャローインディア インド美術の新時代」(森美術館:六本木)
<東洋>
★「台湾の心・台湾の情」(渋谷区松涛美術館:神泉)
<横浜>
★「横浜浮世絵 ~近代日本をひらく~」(高島屋:横浜)

◆特定地域への探訪
<銀座>
★「銀座界隈ワイガヤガヤ青春ショー」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)
★「画廊の夜会」(銀座の20画廊)
★「クリスマスアートフェスタ(銀座の42画廊)
<横浜市>
★、「ニュータウンピクニック」(大塚・歳勝土遺跡公園)
★栄区の屋外彫刻探訪
★中華街ギャラリーめぐり
<藤沢市>
★「まちなかアート」

◆◆◆一般的なテーマ
★だまし絵「だまし絵展」(Bunkamura・ザ・ミュージアム:渋谷)
★驚異の部屋「驚異の部屋へ用こそ展」(町田市立国際版画美術館:町田)
★アーツ・アンド・クラフツ「アーツ・アンド・クラフツ展」(東京都美術館:上野)

◆◆◆新人発掘タイプ
ここしばらく、このタイプの展覧会に対する関心が強くなってきている。
★「選抜奨励展」(損保ジャパン東郷青児美術館:新宿)
★「Domani・明日展」(新国立美術館:六本木)
★「VOCA展」(上野の森美術館:上野)
★「国展」(新国立美術館:六本木)

◆◆◆親しいアーティスト
<絵画>
★平本公男「平本公男展 森の幻想~風の旋律」(湘南画廊:藤沢)
★松本千鶴「松本千鶴 植物画展」(ハスキーズ・ギャラリー:茅ヶ崎)
★神崎憲子「第4回全国公募 21美術展」(東京都美術館:上野)
<写真>
★神谷浩行「神谷浩行 写真展 ~レンズを通して謳(うた)う日本の抒情詩」(ユニグラバス銀座館:銀座)。
<彫刻>
★岩崎幸之助、「国展」(国立新美術館:六本木)「石空間展6」(日本橋高島屋 美術画廊:日本橋)、「Maquette #2」(Galerie SOL:銀座)。
<陶芸>
★茂原淳「茂原淳 作陶展Ⅶ・大地」(クラフトショップ俊:茅ヶ崎)

◆◆◆その他
★「氾濫するイメージ」(夢美術館:八王子)
  *ずっと若い頃の好奇心を取り戻すトリガーとなった。
★「ムットーニ ワールド からくりシアター」(同上)
  *理屈抜きに面白かった!
★「小林かいちの世界」(ニューオータニ美術館:赤坂見附)
  *良かった。ロマンを感じた。
★「院展」そごう美術館
  *この展覧会はいつも多くの力作を観ることができる。

今年(2010年)は見落としがちなシーズンもの(「画廊の夜会」など)の情報をもっと事前にキャッチし、計画的に漏れなくアート探訪をしてゆきたい。

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