イギリス館のクリスマス
横浜の「山手西洋館 世界のクリスマス 2009」の中心であるイギリス館の「スウェーデンボルグへのオマージュ」を観た。メンバーは「かつての少年少女探検隊」(略してKST)有志。
西洋館8館それぞれ各国のクリスマスにちなんだ飾りつけを披露していたが、イギリス館ではその名の通りイギリスのクリスマスが扱われた。スウェーデンボルグとはスウェーデン人の思想家でロンドンでキリストの幻視体験をしたという説明があった。そして3人のコーディネーターがこのスウェーデンボルグへ捧げるオマージュを造ったのだ。
♪「赤い部屋:ガイア」は「円熟・芳醇・earth-energy・自己開花・完結」というテーマで強烈な印象を残す作品が展示されていた。
この大きな図は、レオナルド・ダ・ヴィンチの「人体図」にも似ているが少し違う。チェザーレ・チェザリアーノ版の「建築論」に掲載されている「ウィトルウィウス的人体図」あたりであろうか。人体がそのプロポーションにおいて「円熟」あるいは「自己完結」しているというメッセージのように見える。
そしてその手前には放射状に飾りが並べられている。近づいて見ると、ワイングラスと葡萄の飾りを主体としていることがわかる。
葡萄は「円熟・芳醇」をシンボライズしたものだと思う。そしてワイングラスを配置することにより、キリスト教における血の暗喩がそこにあるのか。花が添えられているが、これは「自己開花」のイメージを強めるためであろう。
この人体図の脇にも左右に1つづつ大きなオブジェがある。
左側に置かれたオブジェは巨大な植物から延びた茎がいつの間にか透明な球体の中に入り込んでいるような形態をしている。床に太い茎が置かれているところを見ると、大地から養分を吸い上げる、つまり、「earth-energy」を譲り受けた植物が生長する様を表現しているのだろうか。また球体の中に入った茎は「完結」を表しているのか。
一方、右側に置かれたオブジェも床から天井に向かって伸び上がるように作られているので「earth-energy」を意識したものであろう。この3つの作品群は迫力がある。
♪もう一つの展示室「白い部屋:アカシア」は「浄化・再生・re-birth・存在・始まり」をテーマとしている。
全体的に白を基調とした色彩は「浄化」をシンボライズしていると思う。そして植物が活き活きと伸びてゆくような形態は「再生・re-birth・存在・始まり」に合致している。では、この床に散乱した玉は何だろう。
植物が生きる営みのために撒き散らされた種子を暗示しているのであろうか。しかしそれらの玉は美しく上品で、小さく目立たない種子にも輝きを与えようとしているかのように思える。
この「白い部屋」は玄関ホールに造られた作品に繋がっているような気がした。
♪階段ホールにも飾りつけが施されていた。これは孔雀をイメージしているように見える。
あるいは、動物(孔雀)と植物が渾然一体となった生命体の全体をシンボライズしているのであろうか。階段の踊場という移動のための場所にも、このような力強い作品が配置されていると楽しい。
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