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2009年11月20日 (金)

Percussion Concert in Yokohama

「Percussion Concert in Yokohama」(かなっくホール)に行った。

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最近ファンになったマリンバの斎藤祥子は、作曲家・高橋幸代に委嘱した「for the blue」をソロで演奏した。作曲者自身の説明によると「海」をイメージした作品とのこと。そのテーマのとおり、寄せて返す波のうねりや、海岸のさらさらとした砂を想起させる音が聴こえてきた。

マリンバの前に添えられた小さなテーブルには、ワイングラスが数個置かれていた。中には白ワインのようなものが・・・。これは観客からボランティアを募り、演奏やパフォーマンスに協力した人に振舞うためのものか?

そのような期待は見事に外れた(笑)。これはグラスハーモニカだったのだ。ポーっという澄んだ音が微かに聴こえてきた。全体が静寂に包まれた曲なので、その中では以外な存在感がこの音にあった。

斎藤祥子の演奏は、マレットを持った腕をあまり高く振り上げない。無駄な動きがないように思えた。大音量で荒々しい音を鳴らすには不向きかもしれないが、繊細で優美な音向きなのかと考えた。

ユニークだったのは、リトミックの専門家・杉山智惠子と共演者・石田美智代による身体表現と楽器のコラボレーションだ。視覚と聴覚の両方を同時に刺激するこの形は、単に音を聴いているより総合的な味わいがあった。

杉山智惠子は、またアンサンブル曲「日本の四季」も編曲した。和声を意図的に旋律とミスマッチさせ、モダンな感じを出していた。近代曲に慣れてない聴き手には、和音の間違えというように聴こえたかもしれないが、そのギリギリの線を狙っていた感じだ。また随所に有名曲をコラージュし、サービス精神をうかがわせた。

MCを努めた橋本淳平は、冒頭に自作のパフォーマンス+楽曲を披露した。ユーモラスなパントマイムが受けていたようだ。秋田孝訓との小太鼓の共演では、バチを1本づつ持ち、交互に叩いてスピードを徐々に上げてゆき、ついには一人で演奏しているかのような音にもっていった。私は演奏についてわからないが、これは高度な技術だったのではなかろうか。

中山航介は演奏に加え、複数楽器のアンサンブル5曲のうち半分以上の3曲の編曲を受け持った。各パートに見せ場があり、よく考えられた編曲だと思った。

その他、前半で見事なデュオをみせ、その後も技巧的な演奏を続けた長谷川剛士と松本英之、それにエレキギターで迫力を添えてくれたゲストの吉岡大典も素晴らしかった。

「前半は発表会、後半がコンサート」と、若干批判的なトーンで言った人もいた。今回のコンサートは、そのような側面もあるだろう。しかし私はむしろ前半に置かれた演奏者自身にとってのチャレンジの場が、観客に対しても意欲的なオーラを投げかけ、それが高揚感をもたらしたと考えている。

むしろ、これをもっと進めて、演奏者の「実験の場」ぐらいに位置付けてもいいのではないか。その方が演奏者も真剣勝負となり、それが結果的に観客を喜ばせる演奏になるのだと信じたい。

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