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2009年9月13日 (日)

江の島で聴く、オペラ名場面

オペラ ピアチェーレ 第4回本公演 オペラガラコンサート「江の島で聴く、オペラ名場面」(かながわ女性センターホール)に行った。

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本来なら得意の「選曲評」を書くところなのだが、私はカンケーシャの一人なので怖くて書けない。抜粋とはいえ「夕鶴」の主要部分(全体の3分の2程度)をまとまって聴けたのが良かった、というコメントにとどめておこう。

♪團伊久磨作曲「夕鶴」(抜粋)
それにしても團伊久磨は素晴らしい作曲家だ。このオペラ「夕鶴」は1951年(個人的に大切な年。理由は秘密。)に完成したのだが、古典的手法の中に全音音階など近代的な技法を巧みに織り交ぜて構成している。今回はピアノ伴奏なのでオリジナルの響きはわからなかったが、オーケストレーションもきっと見事なのだろう。

登場人物の性格については予備知識が無かったのだが、真摯な愛を貫こうとする「つう」と、天真爛漫な「与ひょう」という設定かな。そして悪人たちにそそのかされ、与ひょうが変わってしまうという筋書きであろう。ただ与ひょうは金に目がくらんでも生来の憎めない性格が持続していたので、つうとしても振り切ることができずにずるずると与ひょうとの生活を続けてしまったという感じがした。

そして「もし与ひょうが悪意をむき出しにするようになっていたら、つうもきっぱり与ひょうと別れて早く楽になれたのに」などと感情移入してしまった。これは右近史江(つう)と藤田卓也(与ひょう)の素晴らしい演奏と迫真の演技の証拠だろう。

♪ヴェルディ作曲「椿姫」より「乾杯の歌」、「私の胸の中にどんなに生き生きと」
「乾杯の歌」が始まったら、アルフレード役の藤田卓也が前曲の与ひょう役から一転、ヨーロッパの社交界に登場した。その切り替えが見事だった。

♪ヴェルディ作曲「ファルスタッフ」より「アリーチェ、メグ、ナンネッタ」、「光り輝くアリーチェよ!」
私はイタリア語が全くわからないので漫然と聴いていたが、「アリーチェ、メグ、ナンネッタ」の二人の婦人がラブレターを見せ合うシーンで「同じなのね」というような言葉を聞いてはっとした。これはもちろん空耳なのだが、イタリア語で偶然それに近い言葉が歌われたのだろう。オペラや歌曲の中の「空耳特集」というのも面白いかと余計なことを考えてしまった。
「光り輝くアリーチェよ!」では女性歌手のテンポの速いやりとりが絶妙だった。

♪ヨハン・シュトラウス作曲「こうもり」より「雷鳴と稲妻」、「アデーレのクープレ」、「杯をあげろ」、「ワルツ」
台本の扱いと演出面ではヴェルディにかなわないヨハン・シュトラウスが、楽曲構成のほうで頑張って聴きごたえのある作品を産み出しているという感じがした。
早河明子は終始華やかなオーラを放っていた。またゲスト出演のヒロコ・バレエスタジオの方々の踊りは機敏な動きで見事だった。

♪アンコールはレハールの「メリー・ウィドウ・ワルツ」。観客も一緒に歌う場があったので、歌詞カードがあると良かったな。

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