小林かいちの世界
「謎のデザイナー 小林かいちの世界」(ニューオータニ美術館)の最終日に駆け込んだ。
小林かいちが活動したのは大正から昭和初期だが、当時の木版技術でこんなに繊細な表現が出来るとは驚いた。もちろんデザインそのものも素晴らしいと思った。
かいちの作品は、当時目新しかったトランプなどの素材を取り込み、その時代の最先端のモダニズムであったと想像できる。そして80年ほど経過した現在、彼の作品群はトランプという題材自体が新鮮でなかったり、登場する女性の服装が時代にそぐわない、等のハンディを背負うことになる。
ところが、そのようなマイナス要素を引き算しても、依然としてかいちの作品は光を放っており、現存作家の作品と比べても遜色ない。ということは、デザインの根幹がよほどしっかりしているのだろう。
例えばチラシの右中に紹介されている作品(トランプを背景に、テーブルに腰を下ろしている和服姿の女性像)などは、女性の着ているのが和服だということなど認識する暇もなく美しいと見とれてしまう。かいちの作品はそういう力を持っているのだ。
« ミュージカル「八月の青い空」 | トップページ | メキシコ20世紀絵画展 »
小林かいちのこと、嬉しく拝見しました。
実はかいちは、私の知人の帝塚山学院大学の山田俊幸教授が最初に注目し、新聞に記事を書かれたとき、謎だった画家の遺族が名乗り出て、一躍知られるようになった画家です。私も、遺族に取材に伺い、「季刊銀花」に記事を書きました。下記ブログにその記事を掲載してあります。また国書刊行会の『小林かいちの世界』にも収録されています。
高円寺南のポルトリブレデ・ノーヴォさんを調べていて、ここまでとんでしまいました。
https://yt076543.hatenadiary.com/entry/20150223/1424718670
カイ・ニールセンと小林かいちの「様式としての嘆き」
投稿: 田中淑恵 | 2020年6月18日 (木) 23時44分
田中淑恵様コメントありがとうございました。旧ブログまで飛んできて戴き感謝します。
小林かいちの絵葉書を友人に郵送したら大変喜ばれました。絵葉書なのに、額装して部屋に飾って戴いたとのことでした。
投稿: ジョヴァンニ | 2020年6月19日 (金) 06時28分