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2009年7月 5日 (日)

ムットーニ ワールド からくりシアター

「ムットーニ ワールド からくりシアター」(八王子夢美術館)の最終日に駆け込んだ。面白く、別世界に入り込む楽しさを味わった。行って良かった。

Photo

機械仕掛けのからくり人形というと、「こけおどし」とか「子供だまし」というような先入観にとらわれやすい。しかしムットーニ(本名は武藤政彦)の作品に実際に接すると、そのような失礼な事を考えたこと自体を恥じ入ることになる。今回展示されたどの作品も眼と耳を楽しませてくれただけでなく、別世界へ誘ってくれた。

ムットーニのからくり作品は動いて音を発する。そのうち「動き」は次のように分解される。
A. 水平回転運動:人形などが水平に回る運動。
B. ドア開閉運動:ドアが空いてまた閉まる運動。
C. 上下運動:人形などが垂直に上がり、また下がる運動。
D. 左右スライド運動:引き戸を開け閉めする運動。
E. 垂直回転運動:時計の針のように垂直な面に沿う回転運動。

上記のうちB. ドア開閉運動は厳密には水平回転運動に含まれるが、作品のなかで観ると別の動きのように感じ取れるので、別の運動と呼んでみた。

殆どの作品はA.、B.、C. の動きの組み合わせで出来ていた。逆にいうと、これら3要素(B.をA.に含ませればたったの2要素)だけでこれだけ楽しい世界を構築するのだからすごいと思った。

一方、D. 左右スライド運動とE. 垂直回転運動は全展示作品のなかでは組み込まれた回数が少なかった。

D. 左右スライド運動は★「猫町」で採用されていた。この作品はD. 左右スライド運動により背景に手の込んだ仕掛けが施され、奥行と変化があり内容的に楽しさいっぱいだった。ナレーションが入るのも他作品と異なる点だった。

E. 垂直回転運動は★「ドリーム オブ アンドロイド」の回転針で見られた。あまり動きがない作品だが、どことなく異様な雰囲気が出ていた。

各作品は上記の「猫町」を筆頭に個性に溢れていた。例えば★「ワルツ オン ザ シー」は箱の中から現出した少女の人形がだんだん上へせり上がり、その身長は箱のサイズを上回っていた。一瞬、あんな小さい箱にどうやって収まっていたんだろうと不思議に思った。人形の両側にあるマイクスタンドの高さもしかり。実際はその箱の下に大きな台座があり、人形やマイクスタンドが楽々収容できるスペースがあるのだが、つい上部の箱だけに注目するので錯覚するのだ。

★「グロリア マリアが来たりて」は私好みのゴシック・ロマン仕立てで嬉しかった。雷鳴が轟く瞬間に閃光がひらめく等、効果面でも工夫があった。冒頭、重厚なパイプオルガンの響きで荘重さを表現し、中間部では一転アップビートの音楽が鳴るなど「異種の取り合わせ」がシュールっぽくて良かった。

★「摩天楼」はニューヨークらしき街のベンチに中年カップルがデートしている場面のようだ。太陽がめぐっている間は昼、夕焼けを経て夜になると月が回転を始めるなどステレオタイプの描写だった。これで終りかと思いきや、最後に摩天楼がD. 左右スライド運動により両袖に分かれ、その間から背後を見ると寺院のような建造物が出現した。単純では終らない苦心の組み立てを称えたい。

他にも様々なシーンを現出する作品が多く、楽しめた。本当に行って良かったなあ。

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コメント

「摩天楼」というのが気になります。単純では終らない苦心の組み立てを見てみたいです。

最後の展示室では小箱を小窓から覗き込む作品がありました。しかし混んでいたので1つだけ観て帰りました。逃した作品はぜひ観たいです。「摩天楼」も。人気アーティストなので、いずれまた個展が開催されるでしょう。

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