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2009年6月22日 (月)

浅草では上下を向いて歩こう

浅草に行った。浅草は「上下を向いて歩こう」の街である。

これはお馴染み「下を向いて歩こう」の基本形。下を向くと煉瓦が敷き詰められた道路にマンホールの蓋が割り込んでいる。

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しかし浅草では眼を上へも転じることが肝要である。この「浅草公会堂」の堂々たる外壁を見よ。往年のスター達はこの煉瓦一つ一つのように、日本の芸能文化を積み上げてこられたのだ。

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そして再び眼を下へ向けると、そこには「スターの広場」なるものがあった。

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十朱幸代さんもいるし、八千草薫さんもいる。いいなあ。

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この華麗なる女優の前では、時節柄美しいはずの紫陽花も萎れて見える。

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お寺の結界を潜り抜けても、この「上下の法則」は効果を発揮する。最近では珍しく公衆電話が並んでいると思ってふと上を見ると、そこには「浅草寺てれほんせんたあ」なる看板が。

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この看板は金と黒の額に納められて、いかにも由緒あるスポットだという雰囲気を醸し出している。でも「てれほんせんたあ」のアナグラムをやると「せんてんあほたれ」(先天(性)阿保たれ)となり、何か知性が吸引されたような気分になる。

阿保になって目的地の方向がわからなくなった。こんな時は下を見よ。このように行き先の方向を的確に示したタイルが設置されている。なるほど「かっぱ橋道具街」は逆方向か。

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「かっぱ橋道具街」に行っても、眼の上下運動は必要である。

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下ばかり向いて歩いていると、このような見事なオブジェを見逃すことになる。

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また、このようにポール・デルヴォーの「こだま」を立体化したような河童の美女にも会えなくなる。

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でも、下も捨てたものじゃない。このように気分を高揚させる黒板も置かれている。

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何が関係するのかと思ったら、この店は「食料飲食用器具」販売店だった。そう、ビールが喉に格納されるまでの間、格納する器具などを売っているのだ。うーむ、そろそろビールが飲みたくなってきたな。

2009年6月20日 (土)

業界初のジョイントコンサート

「業界初! ジョイントコンサート 日立コールシステムプラザ 富士通川崎合唱団」(神奈川県民ホール 小ホール)に行った。

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このコンサートでは次の2つの驚きがあった。
1.電機・電子業界ではライバル同士である日立と富士通それぞれの合唱団が手を組んで共催したこと。「業界初!」というチラシのキャッチフレーズが印象的だ。
2.どちらの団体も最初から最後までアカペラ(ピアノ(等)の伴奏がなく声だけでハモる演奏)で通し、ちゃんとハモっていたこと。

二人の指揮者は曲によっては演奏者に加わり歌っていた。指揮者は演奏のほうでもエース級なのだろう。野球でいえば監督が選手兼任で「代打オレ」みたいだ。

そういえば途中で「この木何の木・・・」というコマーシャルソングが飛び出し、不意をつかれた。これは面白かったなあ。

これは楽しい企画だ。これをきっかけに企業の壁、業界の壁などを越えてどしどし共同企画をしてもらいたいと思った。

千葉の街角から

千葉市美術館は旧川崎銀行千葉支店を保存・修復し、美術館と区役所との複合施設として甦らせた建築物だ。その残留思念は「さや堂ホール」のたたずまいで味わうことができる。

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ネオ・ルネサンス様式で造られたという。中を見たかったが叶わず。

こんなオブジェがあった。

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銘版が見当たらなかったが、ポスター等を貼る衝立の背後にやっと発見。江屹(Jiang Yi)という作家の「生命の浸透」という作品だった。「ファサード・レリーフ・コンペ」という競作で優秀賞を獲得した作品だ。ゆるやかな形と抑制された色彩が好ましい。

付近の通りには屋外彫刻が並んでいる。これは高田大の「蜃気楼」。

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大きな手の表情が面白い。台形状の形もしっくりくる作品だ。

これは登坂秀雄の「無窮」。

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遠くから見るとイサム・ノグチの太陽か?と思った。あるいは吉原治郎の描く円環絵画を彫刻にしたようにも見える。こういう作品は大好きだ。

ベンチに忘れ物があるかと思ったら、これは高嶋文彦の「ベンチと花束」という彫刻作品だった。

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「だまし絵」ならぬ「だまし彫刻」とでも呼ぼうか。ユーモアあふれる作品だ。

これは工藤健の「楽器と女」。

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キュビズム風で好ましい。また背景の黄色と赤の看板と組合わせると総合的キュビズムのたたずまいになり、別の魅力が増す。街中の彫刻だから、そういう側面も併せて作ると面白いと思う。もっとも店の看板は永続しないものだから、時限的な魅力になるかもしれないが・・・。

これは千葉市美術館横の植え込み。

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ふと戸谷成雄の「森の像の窯の死」を思い出した。樹が人工的に並ばされると、一種独特の風情が生まれる。不思議な空間だ。

そして梅雨時の憂鬱な気分を明るくしてくれる紫陽花。

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脇には「駐車ご遠慮下さい」の無粋な看板。これが高貴なる草花とコントラストを形成し、鑑賞者の眼をさらに楽しませる仕掛けとなっている・・・わけないか。

そして拙ブログの最大の魅力(笑)である「下を向いて歩こう」特集。

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同じ模様で色付きとモノクロームの2種がある。それぞれ違った魅力があり、さすが千葉市だと思った。

2009年6月19日 (金)

千葉県美:屋外彫刻

過日になるが「パウル・クレー東洋への夢」を観に千葉市美術館を訪れた際、千葉県立美術館にもハシゴした。

入館する前、庭に点在する屋外彫刻を観て回った。前庭には木村賢太郎の作品が多かった。例えばこんな具合だ。

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ロダンの「カレーの市民」に似た雰囲気の作品は、零駒無蔵(ぜろこま むぞう)という大胆な名前の彫刻家の「集う人々の列に・・・」だ。人々の表情と視線が一人ひとり異なるところが面白い。

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これだけでも結構いい線だが、屋外彫刻はどうやら美術館の周囲をぐるりと取り囲んでいるらしい。建物の裏手に回ろうとした途端、大きなオブジェが鎮座していた。

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鎧を着たポリネシアの戦士が己の強さを示すために舌を出しているようだ。と思ったらこれは単なる焼却炉だった。これに銘版でも付いていようものなら、迷わず現代アートだと錯覚してしまいそうだ。美術館もたまにはそういう遊びをしたら面白いんじゃないか。県立だから難しいか。

裏庭に出た途端、その広さに驚いた。そして中央には一対の抽象彫刻が白く輝いていた。F君も私も一瞬、安田 侃だと思ったが実際には鈴木啓子の「FEELING-LOVE 白いポエジー」という作品だった。それにしても、このスペースの使い方の贅沢なこと!

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この白い作品は煉瓦を積み上げた美術館の外壁をバックにしてもよく映える。煉瓦の赤は芝生の緑と補色関係にあり、白い彫刻がその仲介役としてコントラストを和らげているといった感じだ。

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さらに進むと大勢の紫陽花が笑顔を振りまいてくれた。ここでは人工物と自然が共にもてなしの心を持っている優しい空間だ。

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鈴木 徹の「帰雲の春」はダイナミックなトルソーだ。左奥に見える彫刻と呼応し、庭に奥行きを与えている。

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そして再び木村賢太郎の「海」。巨大な抽象立像は防人のように敷地を守っているようだ。直線と曲線が織り成すコンポジションが見事だ。

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美術館の周囲をぐるっと一周して元の場所へ。玄関前にはベリーが。青い実と葉の色調が不思議とバックの煉瓦色とマッチしている。

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2009年6月17日 (水)

坂倉準三展

これは何でしょうか?

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「なーんだ簡単じゃん。コルビジェの<なんとか邸>だよ。」と答えた方はいい人だ。私の期待通りの回答だから。

実際は、「建築家 坂倉準三展 モダニズムを生きる 人間、都市、空間」の展覧会場で、坂倉の設計になる神奈川県立近代美術館(愛称:鎌倉近代美術館)だよ。自分の生み出した建築の中で自分の個展が開催されるなんて、坂倉も嬉しいだろうな。コルビジェの弟子だけあって、この絵葉書はコルビジェの作品そっくりだね。

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今回の展覧会では、渋谷、新宿の街づくりに取り組む様子が垣間見られて良かった。ガソリンスタンドの丸い屋根の設計も、当時は斬新で強いインパクトを与えただろうな。モダンな感覚がいつまでも錆び付かないのはすごい事だ。地味な展覧会だが楽しめた。

2009年6月14日 (日)

パウル・クレー 東洋への夢

F君と「パウル・クレー 東洋への夢」(千葉市美術館)へ行った。

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「クレー命」の私だが、東アジア文化がクレーに与えた影響という視点は初めてであり、新鮮だった。パウル・クレー・センター研究員の奥田修氏の研究成果が結実したということだ。それぞれの論証は具体的な証跡に基づいて展開されているので説得力があった。

この展覧会の素晴らしさは以上のポイントに尽きる。専門家の仕事を発表したようなものだから、素人の私が何もコメントすることはできない。そのため、他の内容について勉強になったことを書いてみる。

まずはチラシに採用された「蛾の踊り」の制作技法について。これは「油彩転写素描」技法によるという説明があった。油絵具を塗った転写用の紙を裏返し、素描(これを原画とする)の描線を尖った筆で強く押しながらなぞると描線に効果を与えることができる、ということらしい。今までクレーの作品を多数楽しんできても、こういう専門的なことは知らなかった。

もう1つは「艦隊」。これは一度完成した作品を上下に切り離し、2つの部分を左右に配置しなおしたという説明があった。作品を分断することで失う部分が生じるが、新たに生まれた作品はそれを補って余りある効果を生むというしかけである。これも大変興味深い制作方法だ。

このようにして、私のクレー好きはますます大きく膨れあがった。

2009年6月 7日 (日)

A LITTLE CONCERT (リリス)

「A LITTLE CONCERT」(栄区民センター・リリス)でチェロを弾いた。

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コンサートと名付けているが実際はおけいこ発表会だ。観客も「カンケーシャ」だけで、まあ気楽と言えば気楽かな。

妻が先生グループの一人なので、やりたい放題やらしてもらえた。当初は梅雨にちなんでブラームスのヴァイオリンソナタ第1番「雨の歌」を弾くつもりだったのだが、練習が間に合わず断念。残念だが、いつか弾いてやるぞ。

その代わりにヘンデルのフルートソナタ ロ短調 作品1-9から「緩・急・緩・急」になるように4つの楽章を選んで弾いた。演奏にあたっては、ちょっとズルしてチェロで弾きやすいようにイ短調に移調した(♪補足あり)。簡単だと思ったのだが、いざ取り組んでみると意外に弾きにくく難儀した。

先生方は最後のステージで2台のピアノによるアンサンブルで模範演奏。妻(仮名ジョアンナ)はラフマニノフの組曲第2番 作品17より「Ⅳ.タランテラ」に取り組んだ。お疲れ様。

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♪弦楽器に馴染みのない方のために補足します。(知っている方には釈迦に説法ですので以下の補足は無視してください。)

ヴァイオリンやフルートなど高音楽器の曲をそのままチェロで弾くのは超絶技巧になるので、おおかた1オクターブ下げて弾きます。でも、それだけではダメなことが多いのです。例えばヴァイオリンとチェロでは弦の配列が異なるので、重音(和音)の場合は音の組み合わせを変えないと弾けないことがあるのです。

配列がどう違うかというと、ヴァイオリンは(以下、便宜上ハ長調読みにします。)上からミ、ラ、レ、ソですが、チェロはラ、レ、ソ、ドです。ラ、レ、ソは共通ですが、最高・最低の弦がずれているのですね。だからヴァイオリンで一番上のミの弦を使う音は、チェロではその1つ下のラの弦で弾かねばならず、その分だけ高いポジションで弾かねばならず、演奏が難しいのです。

ですからヴァイオリンの曲をチェロで弾く場合は全体を5度下に移調すればこの問題(弦の配列の違い)はかなり解決します。しかしこの方法だと曲全体として響きが全く異なり、良い結果を得られないことが多いのです。いろいろ難しいですね。

一方、フルートは弦楽器ではありませんから、上記のこと(弦の配列の違い)は関係ありません。今回フルートの曲をおおかた1オクターブ下げ、さらにロ短調からイ短調に移調しましたが、これはただ単にチェロの運指上、弾きやすいように調整したものです。この詳細は省きます。

絶対音感のある人・かつ原曲を知っている人にとっては今回のフルートソナタは聴きづらくなってしまったと思いますが、そういう人は少数派だと思います。会場にそういう人が一人もおられなかったことを祈ります。

2009年6月 4日 (木)

川上澄生展

「文明開化を描いた版画家 川上澄生展」(そごう美術館)に行った。

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とても楽しい展覧会だった。版画は美しいし、異国情緒に溢れている。また作品形態も版画、油彩、ガラス絵、本の装丁など多岐にわたり興味が尽きない。独自の創意に基づくトランプや積木も眼を楽しませてくれた。

気に入った作品の中で「地球儀・書物・洋燈」が絵葉書になっていたので購入した。

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色彩、線刻、構成のどれをとっても素晴らしい。題材もエキゾチックな雰囲気を出すのに一役買っているようだ。横浜開港150周年に相応しい企画だった。

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