「生活と技術―アーツ&クラフツ展 ウィリアム・モリスから民芸まで」(東京都美術館:上野)に行った。F君から割引券ありがとう。
入口の看板を見る。
左側の樹木は看板にぴったりと寄り添っている。そして延ばした枝は看板の中で分岐し、その一部は「ARTS & CRAFTS」という文字の果実を産み出している。
一方看板の右側奥には桜が「まだ健在よ!」と訴えるように咲いている。その桜の葉が看板に進入してデフォルメされ、やはり「ARTS & CRAFTS」という文字にからみついている。
その上を見上げると、樹木までがこの展覧会に波長を合わせたかのように姿態をつくろっている。見事だ。
あっいけない。展覧会を観る前に「路上観察」ごっこを始めてしまった。悪い癖だ。
以下、気になった作品を備忘録を兼ねて列挙してみる。
♪モリスの「いちご泥棒」
地味だが惹かれるものがある。つられてショップで「いちご泥棒のジャム」を買ってしまった。
♪ヴォイジーの「置時計」
どうしてこれが好きなんだろう?赤、緑、青、黄という派手な色を塗り、草原、川、船、樹木などの絵が描きこまれているという点は本来私が好まない要素なのだが。気になったので絵葉書を買ってしまった。
これはもしかしてコーネルの「箱」に似たオーラを発しているのか。それなら惚れ込む理由がわかる。そう思ったら、この作品がますますコーネルの作品に似て見えた。
♪マッキントッシュの家具「ハイバック・チェア」
これはいいなあ。何十年も前に「マッキントッシュ展」があったと思った。その時は展覧会に行けなかったけど、この背もたれが高い椅子は強く印象に残っていた。
♪マッキントッシュの絵画「酒宴」
こういう構成感あふれる絵画は大好きだ。
♪モーザーのポスター「第13回ウィーン分離派展」
これは有名で書籍の図版などで何回も見ているが、実物はシックでいいなあ。色などが以外と地味なので、ケバケバしさが無いのだ。
♪昭和時代の鉄瓶
これは純粋に造形美を称えたい。シンプルなほど美しいという好例。
♪スリップウェアの皿
これも何てことない皿なんだけど気になった。線刻が施されているようだが、すっきりしていて気持がいい。
♪河井寛次郎の「白地草花絵偏壺」と「鉄薬丸紋隅切鉢」
文句なし。同じコーナーには濱田庄司、芹沢銈介、棟方志巧など巨匠の作品がひしめき合っていたが、それらの中でも河井寛次郎は絶品だ。泥臭さと上品さ、感覚と構成の裏打ちなど相反する要素が自然に溶け合って作品に結実しているという感じだ。ちょっと例えが強引だけど、ブランクーシの土着性と洗練された都会性との融和に通づるものを感じた。
以上の他に、書籍の装丁や飾り文字を駆使した本文ページの装飾なども好ましい印象を残した。これは植物画家の松本千鶴さんの専門領域のようなので、後日教えを乞おうと思う。
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