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2009年1月 3日 (土)

2008年アート探訪総括

2008年の展覧会通いを振り返って総括してみた。

◆好きなアーティスト
今年は何と言っても★「ライオネル・ファイニンガー展」(横須賀美術館)に尽きる。昔、近代美術の書籍に掲載された図版を見て、これこそ私の求めてきた絵だと惚れ込んだ。しかし個展が開催される気配は全くない。ファイニンガーの作品をまとまって観る機会は日本では永久にないのかなあ、と半ばあきらめかかっていたのだ。そんな時にひょっこり開催されたのだから、この驚きと嬉しさは格別だった。長年待ち続け、いいだろうなと期待して行き、そしてその通り良かったという展覧会はあまりない。★「没後80年 佐伯祐三展」(そごう美術館)。佐伯ファンの方には説明の余地なし。★「澁澤龍彦 生誕80年回顧展」(県立神奈川近代文学館)。これも澁澤ファンの方には説明の余地なし。★「難波田史男展」(世田谷美術館)は多数の展示で史男の世界を堪能できた。

◆興味深いテーマ
★「バウハウス・デッサウ展」(東京芸術大学美術館)ではオスカー・シュレンマーの作品をじっくり見ることができて良かった。★「青春の ロシア・アヴァンギャルド」(Bunkamura ザ・ミュージアム)は展示内容的には期待外れだったが、テーマ設定の努力は買うことができる。★「アール・ブリュット/交差する魂」(松下電工汐留ミュージアム)はインパクトが強すぎて傷を負うと友人から忠告されていた。実際その通りになったが、観ておいて良かったと思う。

◆新人発掘タイプ
昔は敬遠していたが最近は面白くてしょうがないタイプの展覧会は「新人発掘タイプ」だ。★「選抜奨励展」(損保ジャパン東郷青児美術館)は文句なしの面白さだった。毎年楽しみにしている展覧会だ。★「VOCA展」(上野の森美術館)は初めて行ったが、「選抜奨励展」ほどのインパクトは得られなかった。★「朝日陶芸展」(そごう美術館)は期待以上に面白かった。★「国展」(国立新美術館)は展示点数の多さに圧倒された。次回行くときはまる一日つぶす覚悟で臨もう。しかし今年の★「横浜トリエンナーレ」(横浜各会場)は前回ほどのオーラが感じられなかった。★「BankART Life Ⅱ」(横浜各会場)もしかり。新人発掘というより新進気鋭の作家の競演というべき★「両洋の眼展」(日本橋三越)は「旧人」の出展も多いが刺激に富んだ面白い展覧会だった。

◆鉄道密着型アート
一方、今年は「鉄道密着型アート」を楽しんだ年でもあった。★「駅2008」(鶴見線沿線5駅)は特殊な企画だった。5駅それぞれにアサインされた気鋭のアーティストのレベルは決して低くなかったと思うのだが、駅の放射する魔力がそれを上回って凄かった。そのため作品が色あせて見えてしまったのだ。また展覧会ではないが、取り壊し寸前だった★「旧東横線架線跡壁画」も強い印象を残してくれた。行っておいて本当に良かったなあ。

◆たかが技術、されど技術
作家や作品が好きだ嫌いだという次元を越え、あまりにも達者なので、その技術だけで感銘を受けた展覧会があった。★「速水御舟 新たなる魅力」(平塚市美術館)、★「人間国宝 濱田庄司展」(川崎市民ミュージアム)が両雄という感じか。それに★「アンドリュー・ワイエス 創造への道程」(Bunkamuraザ・ミュージアム)を加えようか。

◆女流画家
以前から好きだった★池口史子に関しては、「池口史子展 静寂の次」(渋谷区松涛美術館)で作風の変遷を再確認することができた。美しい色彩が好きな★田村能里子については、「田村能里子展」(日本橋高島屋)で期待通りの作品群を楽しんだ。★曼荼羅りえは「展曼荼羅りえ展」(GALLERY AB-OVO)で若い感覚の色彩世界を繰り広げた。

◆親しいアーティスト
友人・知人のアーティストの場合はえこひいきの側面が強まってしまうが、それを割り引いても素晴らしい作品を見せてくれた。
<絵画>
祖父のクリスタルガラス作品展の企画から運営まで通してお世話になった画家★平本公男は「平本公男展 森の幻想~彷徨う秋」(湘南画廊)で輝きのある風景画を発表した。植物画家★松本千鶴は「松本千鶴植物画展」「ハスキーズ・ギャラリー:茅ヶ崎)で健在ぶりを見せてくれた。★神崎憲子は「21美術協会 神奈川支部展」で存在感を示した。上海出身のアーティスト★周豪は「周豪展」(ギャラリーかわまつ)および「周豪、白木ゆり、中村桂子展:その気流」(山手ギャラリー)で相変わらずセンスの良い空間を創造していた。
<彫刻>
前出の「国展」では、親しくなった彫刻家の★岩崎幸之助の「水太鼓」を叩いて楽しんだ。★サクサベウシオは「サクサベウシオ展」(ZAIM)で「浮石」の魅力を教えてくれた。
<陶芸>
祖父のクリスタルガラス作品展で作品を洗浄して戴いた★佐藤和彦は「佐藤和彦 作品特集」(三越本店)と「佐藤和彦 作陶展」(クラフトショップ俊:茅ヶ崎)の2回の展覧会を通じてすっかりファンになってしまった。★茂原淳は今年「茂原淳作陶展Ⅵ・変化と永遠」(クラフトショップ俊:前出)と「茂原淳作陶展Ⅲ 花器<調和>」(彩香:桜新町)の2つの個展を開いた。追番(ⅣとⅢ)は異なるギャラリーでそれぞれ通算して付けている。

以上、昨年のアート観賞を振り返ってみた。この他に、既に高名の★山口薫、★池田満寿夫、★岡鹿之助とか、アヴァンギャルドのアーティスト★川俣正、★中西夏之などの展覧会も楽しんだが、全てを列挙しても焦点がぼけるので名前だけに留めておきたい。

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コメント

昨年は大変お世話になりました。

2008年のジョヴァンニさんのレビュー大賞を選ばせていただくなら
「駅2008」と「旧東横線架線跡壁画」ですね。
とても面白く楽しませていただきました。

「アール・ブリュット/交差する魂」は、
ジョヴァンニさんのおかげで見逃さずにすみました。

今年も独自の路線で、アート探訪を続けてくださいね。

テツさん、初コメントありがとうございました。

初練習のあとの飲み会で飲みすぎ、酩酊状態ですみません。今年も「独自路線」を崩さないように頑張ります。また鶴見線のようなイベントにご一緒させてください。

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