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2008年12月21日 (日)

難波田史男展

2008年12月21日(日)
「難波田史男展」(世田谷美術館)を観た。「山口薫展」と同時開催だった。以前より好きな画家だったので嬉しかった。

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形のうえでは山口薫展のおまけみたいだったが、なかなかどうして立派な内容だった。作品リストによると78点もの展示があった。世田谷美術館の2階全フロアーをぶち抜きで使用するという贅沢なスペース活用だ。

私は1963年に何点か描かれたペン画に興味をそそられた。細い描線が自由自在に幻想的な形を生み出してゆく。無彩色なので、それがかえって観る人の想像力を引き出してくれるようだ。

また1970年以降に見られる淡い水彩を施した作品群も好きだ。他の史男の作品と異なり、情緒深い幻想風景が描かれている。色調も地味で心地よい。山口薫展と併せて二倍得した気分になって良かった。

山口薫展

2008年12月21日(日)
「都市と田園のはざまで 山口薫展」(世田谷美術館)に行った。展示点数も多く、系統立って並べられており、いくつかの作品では的確な説明が付されるなど、満足度は高かった。

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既に高名なので、私などが下手な解説を書いても茶番になるから一言だけ感想を書こう。「構成感あふれる具象」という理由で「鳥と娘と矢羽の譜」など戦後の諸作品が好ましく思えた。

美術館側の立場では、山口薫は有名画家で、新日曜美術館でも紹介され、会期終了間際の週末で、しかも好天に恵まれるという、これ以上は望めない条件が重なった日だった。しかし会場は以外と空いており、有名作品の前に一人も観客がいなかったこともあった。これはどうしたことであろうか?

先日上野で観た「ヴィルヘルム・ハンマースホイ展」(国立西洋美術館)の混雑と比較すると、その差に驚く。これはもう「場所が人を呼ぶ」理論が正しいことが証明されたに等しい。山口薫展を上野でやったら大変だったろうな。観たい作品の前には人垣が出来ていたことだろう。

2008年12月18日 (木)

時事川柳<空耳バージョン>

時事俳句、時事川柳が私の恩師F君に酷評されているが、めげずに頑張っている。今日は「空耳バージョン」という新種を思い付いた。

  工場を見学したら「暗いっすなー」

F君、これに呆れて私のアート教育を放棄しないで下さいませ。

2008年12月16日 (火)

鳥海青児と三岸好太郎展

「鳥海青児と三岸好太郎展」(平塚市美術館)に行った。

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この二人を単純に比較したら、私は鳥海清児のほうが好きだ。厚塗りの背後に堅固な構成を感じ取れるから。今回の展示では「石だたみ(印度ベナレス)」が最も良い印象を残してくれた。類似の作品、「川沿いの家」なども同じような好印象だった。またパステル画の「静物」は味のある清楚な感じで、厚塗りの鳥海にもこういう珠玉の作品があるのかと嬉しくなった。

これに対して三岸好太郎の作品はあまり趣味に合わなかったが、晩年の作品「コンポジション」は、三岸の作品中異例のキュビズム風の作品で目を引いた。また「花」は油彩を施したキャンバスを引っ掻くようにして描かれており、これはなかなか洒脱な感じで良かった。いずれにせよ、三岸がもっと長命だったらどんなに素晴らしい作品を描いてくれただろうと思うと残念でならない。

2008年12月15日 (月)

UFO?

2008年12月X日
音楽仲間と室内楽の練習を終え、さあ恒例の「お清め」だと宵の街に向かって歩いていたとき、僕たちは空飛ぶ円盤を見た。その円盤に乗っている異星人と交信した。

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「ソコノ地球人タチヨ、待テ。何処(ドコ)ニ行クノデアルカ?」
「これから飲みに行くんだけど。」
「我々モ行キタイ。イチド<ごうこん>ナルモノヲヤッテミタカッタノダ。」
「いいよ。じゃあ×××という店に行くからすぐ来てね。」
「ソコノ女子(ヲナゴ)タチハ邪魔ナノデ来ナイデ欲シイ。」
「なぜ男性だけが好きなのだ?」
「我々ノエンバンハ<あだむすきー型>トイウノダ。」

うーむ。またF君とテツさんに怒られそうだな・・・。

メンデルスゾーンのパロディ曲 完成

来年はメンデルスゾーン生誕200年にあたる。この機会に「メンデルスゾーンと共に新年を」という編曲ものを作った。過去にベートーヴェンやグリーグも同様のパロディを作ったのでシリーズ化してきた。

どういう曲かというと、「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」などメンデルスゾーンの有名な曲のさわりだけを繋いだメドレーだ。でもそれだけでは能が無いので、「一月一日」の冒頭の節を随所に重ね合わせたんだ。「年の初めのためしとて・・・」というあのメロディだよ。

これまでは弦楽四重奏のために作っていたけど、今回は独奏ヴァイオリン、ピアノ、コントラバスも加えて少し大きな編成になった。

1月11日(日)横浜市イギリス館で14:00開演のサロンコンサートの最後に演奏する。入場無料で、このパロディを演奏するのは3時半から4時半の間になると思う。出入り自由だから「パロディってどんなものだろうか?」と興味を持った人は、冷やかしに来てください。

私はチェロで出演するけど、あまり上手くないからそのつもりで。私は作曲とか編曲とか、あくまで創作力で勝負している人間だから。一緒に演奏する仲間は上手いよ。

2008年12月14日 (日)

音楽練習帳の名(迷)言

2008年12月14日(日)
私はアマチュア仲間と「クワトロ半世紀」という弦楽四重奏団と「トリオレヴリー」というピアノトリオを組んでいる。そして練習後は定番の「お清め」を行う。その席で活躍するのが「音楽練習日記」だ。ここには飲み会の席での面白い発言がすべて記録されている。

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このノートは昨年6月から始まり、8月7日に一度このブログで内容の一部を紹介した。それからさらに1年以上経過したので、この辺で興味深い名(迷?)言をおさらいしておきたくなった。

凡例:先生(音楽監督)、Vn1(第1ヴァイオリンの仲間の発言)、Vn2(第2ヴァイオリン、以下同文)、Va(ヴィオラ)、Vc(チェロ=私)

「シベリアの理髪師」(Va)
「今年の風邪にバルトーク」(Vn1)
「日本酒の赤」(Vn1)
「人間弱音器は体脂肪により変わる」(意味不明)(Vn1)
「シューマンの歌は、うぶなメロディー」(先生)
「本番で暴れる」(Vn1)
「日帰り御膳」(意味不明)(Vn1)
「蟹(かに)食うと表現力が増す」(発言者不明)
ジョヴァンニ注:クレッシェンドの後デクレッシェンドが付いていると、かにさんが両方のはさみ を掲げているように見えるから。
「後打ちのあだ討ち」(Vn2)
「サンザーンスよ」(発言者不明)
「酔演(すいえん)」(酔って演奏すること)(発言者不明)
「『全然平気』という言葉を使った文豪がいる」(発言者不明)
「チェロを売って最高の弓を買う」(Vn1)
「暑気凍死」(Vc)

セザンヌ主義

2008年12月13日(土)
「セザンヌ主義」(横浜美術館)に行った。

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展示点数が予想以上に多く充実していたのだが、あいにく時間に制約があった。そのため、不本意ではあるが急遽今回の観賞テーマを作り、それに絞って観ることにした。

まず会場をざっと回ってめぼしい物はないかと探した。すると以前より関心があった川口軌外の作品があった。そこで今回は欲張らず、川口作品をじっくり鑑賞し、あとは流すことにした。

川口作品は「裸婦群像」、「風景」、「水差しのある静物」の3点が展示されていた。少ないようだが、川口作品を3つでもまとめて観るのはこれが初めてだったので嬉しかった。どれもキュビズムあるいはキュビズムを想起させる構成で、期待を裏切らないたたずまいだった。西洋的構成感をべースに持ち、そのうえに独自の「乾いた叙情」とでもいうものを載せたという印象だった。

セザンヌは大好きだ。好きな分、他の作家より過去に多く作品を観てきている。音楽に例えると、大好きなバッハの好きな作品を何回も演奏して「ああいいな」と言って喜んでいる感じだ。しかし、逆に観ることによって新鮮味が感じられることはない。「セザンヌ主義」の作家も同様である。

そのため、今回の展覧会は展示点数が非常に多く、ほとんど好ましい作品ばかりであるにもかかわらず、それが逆に災いして強烈な印象を得て帰ることができなかった。川口軌外作品に触れるという部分的満足感はあったが。考えてみれば、これは贅沢な悩みでバチ当たりものだな。

流して観たなかに「やっぱりいいな」という爽やかな「読後感」を残してくれた作品がいくつかあった。前田寛治の「赤い帽子の少女」などの美しい色彩による気品ある作品、キース・ヴァン・ドンゲン描く個性ある人物画、モーリス・ドニのこれまた独特の詩情、そしてセザンヌ自身のいつ観ても変わらぬ美しさ・・・。同じ「主義」の作品群のなかにも多様な個性が光っているのは嬉しい。

多田美加ソプラノリサイタル 

2008年12月12日(金)
「多田美加 ソプラノリサイタル」(藤沢市民会館小ホール)に行った。


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真剣に・誠実に取り組むオーラが感じられる歌手で、以前よりファンだった。そして今回も期待通りのステージだった。

レスピーギは好きな作曲家の一人で「夕暮れ」を弦楽四重奏伴奏で歌ってくれたら最高だが、今回のステージでは「霧」が演奏された。上行・下降音階を主要モチーフとした組み立てで、その大胆ともいえる単純さの中に和声の豊かさをどれだけ盛り込めるかという曲だ。作曲家が制約条件を自身に課し、それを乗り越えて創造する執念のようなものを感じた。理性が勝ってしまう曲なのだろうが、その中にもテーマである「Passion!」が秘められているようだった。

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演奏では、単純な意味で、ブラームスとリヒャルト・シュトラウスのドイツものが最もいい出来に聴こえた。ドイツ語の歌詞は多田に合っているからだと私は勝手に解釈している。「献呈」はもっと激しい熱情の曲だと思っていたが、多田は抑制の効いた歌いまわしでまとめていた。ここでも秘められたPassionが感じられた。

全体的に、渋い玄人好みのプログラムだったようだ。多田の歌手仲間が客席で聴いていたようだが、プログラムや演奏方法に関してプロ同士でも参考になることが多かったのではないだろうか。そんな印象を受けたリサイタルだった。

2008年12月12日 (金)

保土ヶ谷の異次元スポット

保土ヶ谷駅にはJR横須賀線しか止まらない。従って東海道線通勤の私はめったに下車することはない。横浜と戸塚の2駅で乗り換え「バイパス」しなければならないからだ。

その私が保土ヶ谷駅で降りた。同駅はおなじみ「F君」のお膝元で、面白いところに連れて行ってくれるというのだ。それは駅の東口側。線路と並行に走る国道沿いに一列しかない商店街の中にある飲み屋だった。

この線路と国道の間が以外と距離がある。そのため商店街の店は鰻の寝床のように奥行きが深いということになる。ル・コルビジェのなんとかアパートみたいだ。

その店は道路沿いの入口を入るとまずカウンターがある。そしてその奥のドアを開けると、細い通路を挟んで奥に座敷を備えた別棟があるのだ。この通路が異次元スポットだ。

それは、先日の鶴見線アートで圧巻だった国道駅と互角に渡り合える「洞窟」だった。踏み込むと真っ暗。すぐに目が慣れたが、左右を見渡すと昭和初期にタイムスリップしたような異世界の景色があった。あいにくカメラを持ってなかったので、その異様な光景を撮れなかったのが残念でならない。

そこでぜひもう一度そこを訪れ、異次元の雰囲気に浸りたいと思うのだ。誰か一緒に行きませんか?

2008年12月 8日 (月)

横浜西洋館でクリスマスのBGM

2008年12月7日(日)
横浜山手西洋館8館が「世界のクリスマス2008」を企画した。

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このうち、私たちトリオレヴリーがお世話になっているブラフ18番館では「CHRISTMASSY クリスマシー」というテーマで、オランダのクリスマスを表現した飾りつけが行われた。

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私たちは来館した見学者のためにボランティアでBGMを担当した。今回はトリオレヴリーの3人にヴァイオリン1名、ピアノ2名を加え、総勢6人となった。演奏風景はこんな感じ。二人のヴァイオリニストの後方に使ってない譜面台があるでしょ。他の曲では、その席でジョヴァンニがチェロを弾いたんだよ。

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ブラフ18番館は近くから見上げると美しい。

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遠くから眺めても美しい。

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庭の樹木も美しければ、

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庭に落ちた紅葉も美しい。

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寒いから室内に戻ると、調度品も美しい。

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2階の展示コーナーもなかなか面白かった。

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こんな物まである。渋い。

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来年のクリスマスが楽しみだ。

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2008年12月 7日 (日)

上郷・森を描く会作品展

2008年12月7日(日)
「上郷・森を描く会作品展」(ブラフ18番館:横浜山手イタリア山庭園内)を観た。

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同館の「オランダのクリスマス」企画で演奏に参加した際に立ち寄ったのだが、思わぬ収穫があった。

このグループには指導者の方がおられるそうだが、メンバーの個性を大事にされる人のようだ。その証拠に展示されている作品のどれもタイプが違って見えた。これはすごい事だと思った。一人一人のメンバーが先生のいいところを模倣しつつも、本来持っている個性を活かしているということになるからだ。

これに対して、作品が似ているから嬉しいという、先の話と相矛盾する話もある。それはメンバーの一人、菊池正子さんの作品を観て、友人の植物画家・松本千鶴さんの作品の雰囲気に似ていると思ったからだ。

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これは、出来上がりの巧拙、作品の値段、作者の経歴などの俗世間のこととは次元の異なる話だ。お互いに異なる環境に育ち、異なる経歴で絵を学び、異なる場所でたまたま描いた作品の「雰囲気」が似ているだけに過ぎないからだ。そしてそれが一種の親近感を引き起こし、「ああ絵をやっていて良かったなあ」という気持の高揚につながる気がするのだ。それはとても価値あることだと私は考える。

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2008年12月 6日 (土)

21美術展

「第3回 21美術展」(東京都美術館:上野)に行った。

日本画家 神崎憲子の「永遠」は困難な課題に果敢に挑んだ意欲作だ。縦長の作品の上部3分の2を占めるのはエジプトの壁画を模して、ファラオや神官たちの立像群が描かれている。一方、下3分の1はがらっと変わって典型的な日本画で草花が描かれている。この一見ミスマッチな相反する題材を一つの作品にまとめあげたところに作者の努力と信念がうかがえるのだ。

上のエジプト壁画は金色と茶色を主体としている。これに対して下の日本画は緑の草の広がりをベースに白い花々が配置されている。金色・茶色と緑・白の色は、普通は調和しないように思う。ところがこの作品の色使いには工夫があった。エジプト側の中央に鮮やかな青い四角が描かれ、そこに生命のシンボルが置かれていたのだ。この青が作品全体でひときわ目立つため、ついつい眼がそこにいき、上下の色調の相違ということを忘れさせてくれるようなのだ。

もう一つの工夫は、その青い四角から白い粒子のようなものが螺旋形で下に落ちているところだ。これはDNAの螺旋をイメージしたとのこと。それは作品名「永遠」から「永遠の命」を象徴すると同時に、上下の性格が異なる部分の結節点にもなっている。

この作品が「努力賞」を勝ち得たのもうなずける。神崎さん、お疲れ様でした。

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