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2008年9月14日 (日)

東横架線跡壁画:番外たち

通常「番外」というと「正式採用には漏れたがチャームポイントがあるので捨てるに忍びなく没を逃れた」というイメージがある。しかし、ここに紹介する「番外」たちはみな立派な作品ばかりである。

ではなぜ選に漏れたかというと、型通りの分類に当てはまらなかったり、うっかり見逃したり、あえて見送って最後に紹介しようという意図があったり、様々な理由による。それは紹介する作品をご覧になれば納得いただけると思う。


これは、な、なんと写真だ。

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この作品を観た途端に夢中でシャッターを切った。しかしその後ブログに記そうと思ったら、はたと困った。思い描いた分類のどこにも当てはまらないからだ。「写真たち」というジャンルを設定すればすんなり収まるのだろうが、あいにく写真らしい作品はこれ一つだけだ。たった1作品で1つの分類項目を設けるのはちょっと大げさになる。というわけで「番外」になってしまったのだ。

この作品は魅力的だ。これはどこの街だろうか。人力車が見えるのでアジアのどこかの都市なのか。しかし魅力を形成しているのは、被写体が地理的にどこかということではない。全体構成だ。右上にはモノクロームの原作に後から化学的に加えられたと思われる色彩(赤)が、右下には手作業で塗られたように見える色(緑)がある。おなじみ補色関係だ。

そして全体の配置・構成の見事さ。四角と丸の幾何学的図形の重なりが、被写体の人力車の有する形態(本体の四角と車輪の丸)に呼応している。「壁画」中、異色の傑作だ。

この作品は「人物たち」というジャンルを設けていれば当てはまった。

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しかしジョヴァンニの趣味で人物に関しては「美女たち」という女性だけの分類は作り、男性は無視してしまった。そのためこの作品が宙に浮いたというわけ。ごめんなさい。漫画チックというか、ほとんど漫画なのだが全体のバランスが良く、秀作だと思う。緑の地に青を浮きたたせているあたりは地味だが美しい。


これは人ではなく神様だ。

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「魔物たち」という分類を設けたが、七福神を魔物と一緒にしたら失礼だよね。しかしほのぼのとした神様たちだなあ。神がこんなに大らかなら信者たちも信心深さの追求にあまりキリキリしなくて済みそうだな。よく見ると、七福神が乗っている船も猫か何かの化身のようだ。

「動物たち」というジャンルを設けたが、この作品を含めなかった。

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これは「鼠のマウス」という洒落を絵にしたものだろうか。それで「冗談たち」という分類を考えたのだが、票が集まらないまま置き忘れてきたというわけ。それにしても下部に描かれた看板の見事なこと。本物の板が鋲で打ちつけられているようだ。「トランプ・ルイユ」(だまし絵)の一種かな。

これは動物とも人間ともいえる。

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夫婦喧嘩を描写したものだろうか。対峙した男女がそれぞれ鰐(わに)の面をすっぽりかぶって睨み合っている。描き方と人物の表情からして外国人アーティストらしく見える。風刺なのか、寓話などのテキストがあるのかわからないが、目を引く作品だ。

人物という概念を超えた作品もある。

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大きな手が示しているのは神の言葉であろうか。そして指先には宇宙の星々が光輝いている。上部には緑色の真ん中に赤い星が。ここでも補色関係の効果が用いられている。与えられた区画を下にはみ出し、出っ張った帯状部分までを使って描かれているのが印象的だ。

「建物たち」というジャンルも設けず、次の作品の紹介が後にまわってしまった。

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何ということない建物の並び。でも楽しい。よくできた絵本の1ページのようだ。そしてここにも赤~緑~橙(だいだい)という補色の並びが。こう多いと、表現手法の頻度ナンバーワンに認可したくなる。

メッセージ系では次の作品が番外だ。

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美しいのだが、メッセージが読み取れない。逆に、その不可思議さが気に入ったので分類困難の名作ということで、あえて番外に置いたのだ。ここにも補色・・・。もう飽きたからよそう。そのメッセージは、もしかしたら「永遠」という願いなのかもしれない。

そして壁画たちは帝国を築く。

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壁画が取り壊されても、そのスピリットは「大未来帝国」に継承され、永続する。するとそのオーラはアーティスト、自治体の関係者などに浸透し、いつか新たな壁画誕生に寄与することだろう。

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