軽井沢の夏:根性樹木のゆりかもめ運動
この植物を見よ。
画面右手から左の方に伸びた樹の枝が、途中で何らかの要因により下方へ向きを変えた。そしていったん真下を向いたのだが、円弧を描くようにまた上方へと向かってきた。そしてついに垂直に上へ向かって伸び続けるに至った。何という根性であろうか。
新橋駅を出発した「ゆりかもめ」が東京港を渡るために架けられたレインボーブリッジに接近する。すると電車はいったんあさっての方向に向かって進む。初めての乗客は不安になるが、ゆりかもめは円弧を描きながら向きを変え、同時に高さも増して橋を渡ってゆく。
最初、ゆりかもめは直進している。これは一次元の運動だ。次にループを描くように動くので、これは一見二次元の運動に見える。しかし同時に高度も上げているから、実際には三次元の運動である。一次元から一気に三次元に達するこの円環運動は、誠に美しく、誠に楽しい。
ひるがえって軽井沢の「根性樹木」はどうであろうか。円弧を描いた後、この枝は2つが隣接する格好になるから厳密には三次元だ。しかし2つがくっついているので、大まかに見たら二次元的であろう。しかし、根性樹木はゆりかもめと大きく異なる点がある。
それは、ゆりかもめの円環がほぼ水平であるのに対し、根性樹木の円環は縦になっていることである。水平の場合と異なり、縦の場合は重力なるものが働く。従って途中から垂直に上に伸びる場合は、重力に打ち勝つ必要がある。見かけだけでなく、力のうえでも「根性」が必要なのだ。
根性樹木よ、以上のようなくだらない思考で頭を刺激する材料を提供してくれてありがとう。このご恩は一生忘れないよ。
« 軽井沢の夏:5人の建築家 | トップページ | ジム・ハサウェイ展 »
コメント