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2008年8月27日 (水)

古民家を見んか!

本電子日記(ぶろぐ)の記帳標題(たいとる)は「旧家で休暇」、「旧民家で休眠」、「廃屋で杯置く」と記すことも可能である。山村・藤野で知る人ぞ知る元養蚕農家。そこに棲息する藝術家かっぷるは「繭や」といふ、ろまんちっくな名を与へた。

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開口部(げんかん)に嵌め込まれた円形の窓。遠く亜米利加(あめりか)の新英吉利(にゅういんぐらんど)には、工藝愛好恐怖小説家(らぶくらふと)描く西洋館が幾年もの間風雨に晒され、同類なる円形窓は異界に通ずる開口部として機能すると記されて要る。この「繭や」の円形窓もその妖異なる世界への導きをするものなのであらふか。

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我が国(じぱんぐ)にはかつて「二笑邸」なる不可思議な住居が建造されていた。その開口部は「繭や」のそれとは形状を異にするものなれど、そこから発散される生命体発生燐光(おーら)は誰しも同質のものと感じざるを得ないであらふ。

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開口部の下方には荷車牽引車輪(くるま)が二つほど並べられて居る。これは魔除けの効力を持たせた物なのだらふか。古来輪廻の象徴である車輪が一対になることにより、通常世界と異界との接点がここにある事実を暗示しているかもしれない。

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蛮勇を奮って開口部(げんかん)を潜り抜け、左の壁面に目をやる。そこには巨大な眼を見開いた赤い怪物が鎮座し、いきなり度肝を抜かれる。これは我が国(じぱんぐ)の凧と呼ばれる飛行具である。その横には、白黒(ものくろーむ)の凧が、これまた鎮座しておられる。

凧の下には数々の使用目的不明雑多調度品(おぶじぇ)が並べられておる。南蛮式動力発生源(えれきてる)を用いて動かすのであらふ微風発生機械(せんぷうき)、熱式衣類皺延具(あいろん)、鉄製緑茶保存器(きゅうす)などが犇(ひし)めき合って居る。

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ふと後ろ(開口部を入り右手)を振り返ると、赤い怪物と一対になるかのやふに怖ろしい表情の人口頭部(かめん)と目を合わせ、慌てふためいてしまふ。この人口頭部(かめん)は第三の眼を具有しておるからして、やはり怪物の仲間なのであらふ。ただ首に付けたる装身具が美しく、恐怖はやがて美を愛でる気持に変容してゆく。

思へば人類はこの一対の怪物に開口部を守護させる傾向が見られる。例へば神社は一対の狛犬により邪悪なるものから守られておる。この「繭や」では、凧と仮面が守護神として開口部を固め、妖異なるものの進入を喰い止めているのであらふ。

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仮面の右に目を移す。つまり、開口部(げんかん)から進入後、振り返ることになる。すると円形窓を裏側から見ることが出来、その色彩が外部のそれとは全く異なることに驚く。そして円形窓の裏側を覆うやふにして小さき壺が二つほど置かれて居る。その下には多くの室内使用履物(すりっぱ)の堆積があり、その中の「白きもの」は悲痛な表情を浮かべている。外来者に使用してもらへなかった恨みなのであらふか。

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先に進まふとすると、前方に置かれた椅子の上に深皿があり、その中に幾多の人形(ひとがた)が犇(ひしめ)いて居る。その人形(ひとがた)達から発する生命体発生燐光(おーら)が上方に行き、一塊(ひとかたまり)となって光の玉が形成されて居る。古き時代より人類はこれを「人魂」と呼んだであらふが、怖れるに及ばない。この光の玉は外来者を歓迎し、守護する念の集合体なのであるから。

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外来者は、ここで上を見上げる。そこには行動的絵画制作(あくしょんぺいんてぃんぐ)で描かれたやふな絵の具の滴りが五筋見へる。天井に染みたこの文様はいかなる方法にて描かれたのであらふか。伊太利亜偉大藝術家(みけらんじぇろ)はてんぺら画により天井に驚異なる絵画を残した。「繭や」の住人は、その上をゆく技法を編み出し、天井画に結実させたのであらふか。

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外来者はさらに奥の間へと進む。そこには、「繭や」の静けさを象徴するかのやふな美しい灯りが点(とも)されて居る。淡い緑色の室内灯用覆(らんぷしぇーど)と、紐(ひも)で下げられた赤い手鞠(てまり)の色彩的対立と調和が、この住人の藝術的感性(せんす)を感じさせるものである。

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天井に下げられた球形の灯が淡い光を投げかけてくる。日系亜米利加人藝術家(いさむのぐち)制作の和風調度品的照明器具のやふである。この球形の灯は、開口部の円形窓、車輪などと呼応し、宇宙的球形を求める修行僧の拝む対象にされているのか。

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その想ひは、内部探検を終へて開口部の外へ出た時にさらに強まる。この鯉が泳ぐ円形の壺を見よ。まさに「繭や」が円状のものを宇宙的調和の象徴(しんぼる)としていることが氷解するであらふ。ああ、何といふ感動であらふか。

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コメント

詳細なレポート、有難うございます。
次の機会こそは、是非私も探訪したいです。
私も写真とるのに夢中になりそうです。

テツさんこんにちは。ズッコケと駄洒落の私が、渾身の力で真面目の衣を着たレポートを書きました。この落差を笑って下さると嬉しいです。

テツさんは「探訪」のプロですから、もっと深くこの研究対象を解剖して下さることでしょう。楽しみです。

うーん、ワシにはちょっと、使い勝手の悪い普通の家にしか、思えないが・・・
この記事のような奇怪な棲家であったのか!

まぁ、食い気しかないからなぁ~。

ヘソマガリガンジーさん、カレー等の調理ありがとうございました。お陰様で消毒薬がおいしく感じられました。これぞ健康の秘訣!なんちゃって。

あの旧家、壁を食することもできたって知ってましたか?なんてね。

これだれんち?

舞ゐりました

KYOUさん、舞踏歌さん、コメントありがとうございました。これは「きょーんち」です。

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