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2008年7月10日 (木)

デザイナーさんの仕事場

音楽ライター・ハシビロコウさんの導きで彼が知っているデザイナーさんの仕事場を訪ねる機会を得た。現代作家の版画を見せてもらえるという。場所は都内某所の高級マンション。その某階に仕事場はあった。看板などは無く、普通の住居同様「○○○号室」という表示があるだけだ。

中に入ると、白壁に架けられた20を超える作品群が出迎えてくれた。版画が多いが、ドローイングや写真も混じっている。その制作技法は多岐にわたる。「銅版画」「リトグラフ」「シルクスクリーン」など馴染みある技法が半数近くを占めていたが、なかには「木版リトグラフ」など珍しいものも潜んでいた。

一群の作品の中で唯一既知のアーティストがいた。菅井汲だ。どこかで観たことがある大きめの版画が真ん中あたりに据えられて存在感のオーラを放っていた。他の作家は名前を知らなかったが、作品はみな水準が高いように思えた。

私が最も気に入ったのは池上勇夫の「GEN原5」と同じ作家の「Gi妓」だ。黒を基調として鮮やかな赤が乗っている。西洋的な洒落た抽象構成であり、かつ和風の味付けがなされた線が縦横に延びる。しっとりしていながら、秘めたる情熱もありそうな、深みのある2作品だ。手に入るものなら自宅にぜひ飾りたいという気持にさせられる。

それとは別に佐久間嘉明の「FILTER 89-D」はデュシャンを想わせるオブジェ構成で面白かった。もう一つ今井雅洋の「影」はマグリットばりの幻想を味わえて楽しい。これら2作品はダダ、シュールの残像のようで、あまり大きな声で「好きだ」と言えない。少々気恥ずかしい感じがするのだ。でも自分の気持ちに正直に、率直に言えばこれら2作品は大好きだし、欲しいなという気も起きて来る。

また、とくだあきらの「View07-Cors」も良かったし、その他の作品も決してつまらないというわけではない。河井宣行の「Y-1」「Y-2」はアクリルボードに四角い形を並べただけの単純な作品だ。これはハシビロコウさんの解説によると部屋の間取りを表現したものだとか。縦横に沢山並べると面白いだろうなと思った。 一方ハシビロコウさんは筆塚稔尚の「遊-2」に注目したとのこと。筆塚作品は、和紙という東洋・自然的な基盤に鋼鉄のような線という西洋・工業的な要素を重ねたという感じで面白かった。

辞去した後は、再びハシビロコウさんの導きでこんどは某所の某スナックへ。無事消毒を果たして楽しかった一夜は終わった。

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コメント

すごい、はやい、観に行った日の夜にアップしてますね。僕は仕事で寄ったら、展示部屋の壁に、ジョヴァンニさんのこの出力紙が掲示されていましたよ。

ハシビロコウさん「アートの現場」へのお導きありがとうございました。

感想文を掲示して戴き嬉しいのですが、専門性がないので恥ずかしいです。当日も言いましたが「いい」「綺麗」「好ましい」など「形容詞だけで構成した感想文」なので。

少しづつでも専門知識を蓄え、形容詞以外の言葉で感想文を書けるようになりたいです。

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